「先生、私の隣に座っていただけませんか?」漫画家夫婦のお互いの不倫劇は現実なのか妄想なのか? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「先生、私の隣に座っていただけませんか?」のオンライン試写会に参加しました。Fan’s Voiceさんの最速シークレット試写会でした。

 

ストーリーは、

少女漫画家・佐和子の新作漫画のタイトルは「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。それは、佐和子の夫・俊夫と編集者・千佳との不倫現場をリアルに描いたものだった。さらに物語は、佐和子と自動車教習所の先生との淡い恋へ急展開。この漫画は、完全な創作? ただの妄想? それとも夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!? 恐怖と嫉妬に震える俊夫は、やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく。

というお話です。

 

 

漫画家・佐和子は、やっと連載漫画の最終回を描き終えた。漫画家の夫・俊夫も手伝い、締め切りに間に合わせ、編集者の千佳に渡す。次の連載の話をする千佳に、少し妻を休ませて欲しいという俊夫だった。

一段落した直後、佐和子の母親から電話があり、足を怪我したという。佐和子と俊夫は、漫画はどこででも描けるからと言って、郊外の母親の家に同居することにする。郊外で車が無いと不便だからと、佐和子は夫に勧められて、車の教習所に通うようになる。

長閑な郊外で暮らし始めた佐和子は、以前から疑っていた夫と編集者の千佳の不倫を考え、モヤモヤしていた。疑って直ぐに俊夫を問い詰めたのだが、俊夫は不倫などしていないと一喝し、そのままになっている。



 

教習所通いが少し楽しくなってきた佐和子は、新作漫画にも取り組み始めた。新作漫画のテーマは「不倫」。そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、佐和子の担当編集者・千佳と不倫をしていた俊夫は、「もしかしたらバレたかもしれない!」と精神的に追い詰められていく。

さらに物語は、佐和子と自動車教習所の若い先生との淡い恋へ急展開。この漫画は、完全な創作?ただの妄想?それとも俊夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!?段々と追い詰められ、恐怖と嫉妬に震える俊夫は、やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく。そして・・・。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、今年の夏に公開予定なのですが、いやぁ~、ホラーじゃないんだけど、ゾッとする映画でした。普通に観ていると、別に、良くある奥様劇場的な不倫恋愛劇なんだけど、よく考えながら、その人物たちに同化していくと、マジでゾッとするんです。

 

佐和子の立場になると、愛していたのになんで?ちゃんと向き合ってくれれば、もしかしたらやり直せたのに、なんで?っていう気持ちが伝わってきて、自分が描く新作漫画で、じわじわと夫を追い詰めながら、夫がどう対処するのか静かに見つめている”静”の動きなんですね。

 

 

俊夫の立場になると、まさか浮気はバレてないよねって思いながら、この漫画の内容が真実かもしれないと思って、教習所の教官と妻が不倫をしているなら、妻を取り返さなくちゃと慌てるんです。自分は千佳と不倫をしていながら、妻は自分だけを見ていて欲しいという願望があり、妻を取り返して、自分は外でちょっと遊んでという気楽な生活に戻りたいと思っているんです。

 

俊夫は、有名な漫画家だったのですが、ここ4年以上、新作を描いていなくて、妻の手伝いくらいはするのですが、自分では全く描いていなかったんです。創作意欲が無くなったのか、妻の稼ぎで十分だから怠けているのか、それは判りませんが、筆を下している状態なんです。佐和子はきっと、俊夫のそんな状態も変えなければいけないと思っていたのかなと思いました。

 

 

それにしても、佐和子から突然に上がってくる原稿を読むと、自分の不倫が描かれてるなんて、恐ろしいでしょ。え?だって、俺は不倫は認めていないし、バレていないハズと思っていたのに、俺の不倫が描かれていて、妻も男を作って、自分から離れて行こうとしている!という内容が描かれていたら、そりゃ、驚きますよ。でも、漫画原稿にはそう描かれていても、目の前にいる妻は普段通りだし、教習所の教官との不倫も、後を付けたけど、普通に教習をしているようにしか見えなかったし、どうなっているんだ、と不安でいっぱいになって行く俊夫の姿は、笑っちゃいけないけど、自業自得よねーって思ってしまいました。

 

不倫をする人って、自分は良いけど、自分のパートナーがすると許せないんでしょうね。自己愛が強いから、自分は許されるけど、相手は許されないと思っちゃっているんだと思うんです。でもね、みんな一緒なんですよ。目には目を、自分が不倫をしたなら、パートナーにされても文句をいう筋合いは無いんです。それが嫌なら、ちゃんと向き合わないといけないよね。間違えはあるから、正直に謝るべきだと思うけど、実は、一度不倫をしたら、またやるんだよねぇ。不倫するパートナーが嫌なら、一度した人とは別れた方が、私は良いと思います。信頼出来ないですもん。

 

 

この映画の中の佐和子は、自分の漫画に、夫の不倫も描いて、自分の不倫も描いているんだけど、それは漫画に描いているだけで、実際は判らないですよね。漫画に描かれていることが、現実なのか、空想の中の事なのか、それは、映画を観て、ゆっくり考えて欲しいと思います。上手く作ってあって、それは、観た人の考え方によるんです。素直に受け取るべきなのか、実は、漫画の中の事なのか、それは、自分で考えて楽しんで欲しいです。うーん、面白かった。

 

黒木さん、淡々と佐和子を演じていて、あまり表情を出さないので、何が本当なのか解らないんですよ。そんな佐和子に対して、俊夫を演じる柄本さんは、もう、慌てて慌てて、カッコイイんだけど、笑っちゃうほど無様にも見えるんです。それが、上手いんですよねぇ。さすがだと思いました。やっぱり、柄本さん、好きだわ。

 

 

この映画、面白かったし、身近な内容で、それぞれの人物が自分に置き換えられるので、凄く面白かったです。どちらの立場も理解が出来るので、凄く怖いと思いながらも、笑っちゃうんです。人間の愚かさが良く描かれていて、復讐する佐和子も、妻の怒りに気が付かない俊夫も、どちらも、向き合わない、話をしない、素直にならないという愚かな行動が自分たちの首を絞めている事に気が付かないんです。お互いに人間なんだから、向き合っていたなら、もっと違う道があったのかもしれないけど、まぁ、仕方ないよね。

 

内容としては、「ゴーン・ガール」を思い出したかな。あちらほど、悪意のある場面は無いんだけど、俊夫の立場になると、やっぱり、ゾッとすると思うんです。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この映画は、パートナーがいる人の方が、自分に置き換えられるので、身につまされて、面白いし、怖いと思います。人間の関係って本当に難しいよねぇという事を、まざまざと見せつけられる内容でした。ぜひ、観に行ってみてください。この夏に公開予定です。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : 同日に「ベルセルク」の三浦先生の訃報を聞き、漫画家の大変さを感じていたのですが、映画の中の漫画家先生は健康的で良かったです。三浦先生のご冥福をお祈り申し上げます。

 

「先生、私の隣に座っていただけませんか?」

 

「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM」