「不思議惑星キン・ザ・ザ」を観てきました。
ストーリーは、
ある日、建築技師のマシコフは、「あそこに自分は異星人だという男がいる」と困った様子の学生ゲデバンに助けを求められる。異星人など信じられないマシコフが、その男が持っていた空間移動装置のボタンを押すと、次の瞬間、マシコフとゲデバンは地球から遠く離れたキン・ザ・ザ星雲のプリュク星へとワープしていた。そこでは何故か地球のマッチが超貴重品で、2人はマッチの価値を利用してなんとか地球へ帰ろうとするのだが・・・。
というお話です。
モスクワ、冬。マシコフは帰宅するなり妻に「マカロニを買ってきてくれ」と頼まれ外出する。街角でバイオリンを抱えた青年に「あそこに自分のことを異星人だという男がいる」と声をかけられ、「裸足で寒そうだから」という青年に付き合って、その男と言葉を交わす。自称異星人は「この星のクロスナンバーか座標を教えてくれ」と尋ねるが、何のことか解らず、マシコフは、つい男の持つ〈空間移動装置〉を押してしまった。瞬間、マシコフと青年は砂漠のど真ん中にワープしてしまう。
街をめざして歩き始める二人に灼熱の太陽が襲う。疲れ果てて座り込む二人。すると、奇妙な音を立てて釣鐘型の宇宙船がやって来る。飛行物体から出てきたのはこぎたない男二人。檻を出ると踊りながら、「クー」と言っている。
英語もフランス語もドイツ語も通じず、返ってくるのは「クー」ばかり。毛皮の帽子もコートも差し出したが、取られるだけ取られて、宇宙船には乗せてもらえずに放り出される。だが、マシコフがタバコを喫おうと、マッチを擦った瞬間、釣鐘型の宇宙船がUターンして舞い戻ってくるではないか。マッチを欲しがる男たちに「街まで乗せてくれるなら、“クー”だ」と交渉するマシコフ。なんとか船に乗り込む二人。
二人がワープしたのはキン・ザ・ザ青雲のプリュク星。マッチがえらい貴重品らしい。幸いなことに、煙草を吸うマシコフのポケットにはマッチが二箱ある。なんとかこれで地球に帰れるのでは?だが、簡単に思えた交渉も、マッチの貴重さを軽くみてしまったマシコフのヘマで失敗し、釣鐘型の宇宙船は燃料切れで立往生。
今度は卵型の宇宙船がやってきた。乗っていた権力者エツィロップは、“クー”をしなかったマシコフを殴ったうえに、釣鐘型宇宙船の二人から金を巻き上げていく。これでは燃料を買う事もできない。四人で釣鐘型の宇宙船を押して歩くにしても、街は遠い。
果たしてマシコフとゲデバンは“反クロス系”に位置する地球に帰ることができるだろうか。帰り着いたとしても、愛する家はあるのか。このまま二人は宇宙の浦島太郎となってしまうのだろうか。後は、映画を観てくださいね。
摩訶不思議なソ連映画でした。1986年に製作された映画だそうで、その頃は、まだロシアではなくソ連でして、その中のグルジアで作られたそうです。今は、グルジア共和国になりましたよね。そんな国で作られたので、もっとお堅い感じで、難しいお話かと思って観に行ったら、とんでもなくユルい感じで、ソ連でこんな映画作ったら怒られるんじゃないのぉ~?っていうくらい脱力系でした。
そのキン・ザ・ザ・星雲のプリュク星では、”クー”という言葉でほとんどの事を表して、”キュー”という罵倒語が時々出てくるくらいで、意思の疎通が出来ないんです。あー、これは無理だなーって主人公たちが思っていると、その内、脳の中を読んで、言葉を話すようになるんです。もー、それなら、最初っから読めばいいじゃんって思うけど、やっぱり最初はクーで始めないとダメみたいでした。
マシコフとゲデバンは、たまたま、街中で困っている人を助けようと手を出した途端、宇宙の果ての異星に飛ばされてしまい、そこから帰りたくても帰れないんです。何とか、意思の疎通がはかれたから、地球に戻してもらおうとするんだけど、エンジンが無いとか、機械が無いとか言われてしまい、戻れないんです。そんな時、タバコを吸おうとして、”マッチ”を出すと、その星ではマッチが貴重なモノらしく、それに飛びつきます。
でも、マシコフはマッチを2箱しか持っていなくて、その2箱と引き換えに、色々な装置を手に入れ、地球に戻ろうとするんだけど、何だか、あーでもない、こーでもないって、モタモタしていて、全然進まないんです。その星の人たちって、明日で良いことは今日はやらないって感じの人種のようで、その上、上下関係が強くて、その星の権力者エツィロップに何か言われると、全て言いなりなんです。でも、見た感じは、エツィロップも貧しそうなんですよ。でも、身なりで人を判断する文化が無いのかな?不思議な人達でした。
あまりにも進まないし、ダルダルしているし、ユルイので、途中で眠くなるんですよ。2時間15分も、そんなユルイことされたら、眠くなるでしょ。もー、結構、私、寝ちゃわないように頑張りました。
考えてみると、今から35年も前に、この内容のSFを作っていたなんて、天才だなって思いました。ちょっと”JUNK HEAD”に似たような部分があるんです。こういう世界なんだよって、観る人の脳の基本を変えさせてから進んで行く内容で、ユルイけど、凄く面白いんです。そして、観続けて行くと、その世界にどっぷり入り込んで、ワクワクドキドキしてくるんです。不思議な映画でした。テンポはユル~いんですけどね。
このプリュク星は、ソ連の共産主義を模したような感じで、みんな同じ仕事をして、上の人間には逆らえず、言葉少なに抵抗するしかない人々を描いていて、ギャグコメディとして描いているから許されたのかもしれないけど、よく公開出来たなぁと思いました。だって、体制批判になってますもん。怒られそうだけど、大丈夫だったのかな?
この映画、アニメーションでリメイクしたらしく、アニメも同時公開しているのですが、時間が無くて、まだアニメの方は観ていないんです。観に行きたいんだけど、もう早朝しかやっていなくて、時間的に無理かなぁと思っています。どこかで配信してくれるとイイな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。面白い映画なのですが、独特で、好き嫌いが激しいかなと思います。同じテンポで、ずーっと同じような事が続くので、淡々とした映画がダメな方には無理かもしれませんが、不思議なSFが好きで、ユルい系の映画も大丈夫な方には良いかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「不思議惑星キン・ザ・ザ」