「SNS 少女たちの10日間」を観てきました。
ドキュメンタリー映画なので内容は、
巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋で、幼い顔立ちをした3名の女優(18歳以上)は偽のSNSアカウントで12歳のふりをするという任務を与えられた。
各々の部屋のＰＣで、連絡をしてきたすべての年齢の男性とコミュニケーションを取った。当初のプロジェクトと同様、大多数の成人男性はビデオセックスを要求し、自身の性器の写真やポルノのリンクを送信してきた。なかには恐喝する者も。
精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家の万全なバックアップやアフターケアを用意しながら撮影を続けること10日間。児童への性的搾取者が徐々に尻尾を出し始めるのだった。
現代の子どもたちが直面する危険をありのまま映し出した恐るべきこのリアリティーショーは、SNSと常に接するジェネレーションZ世代やその親たちに恐怖と共に迎えられ、本国チェコでドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録。
児童への性的搾取の実態を描いた映像として、チェコ警察から刑事手続きのための映像が要求された。実際の犯罪の証拠として警察を動かした大問題作。
という映画です。
この映画、凄かったです。はっきり言って、観た後に絶句してしまい、直ぐに立ち上がれませんでした。同じような事が世界で起きているのだと思うと、脳がパンクしてしまいそうです。この感想を書くのも辛いほどで、うろうろして、やっと書く気になりました。いや、これは、書かなくちゃいけない作品です。伝えなきゃいけない作品だと解かっているんだけど、辛かったな。
幼く見える大人の女性を集めて、12歳の少女という設定でSNSに登録するんです。最終的に３人の女性に絞って、彼女たちが演じることになります。面接には何人も幼く見える女性が集まっていて、彼女たちに少女の頃に、性的虐待で嫌な思いをしたことがあるかと聞いてみると、半数以上が経験があると話していました。驚くような数字ですよね。
メイクや衣装の方も付いて幼く見えるように用意をして、スタッフが偽アカウントを作って登録すると、１分も経たない内に男からの連絡が山ほど入ってくるんです。スタッフも驚いていました。どれも成人男性ばかり。彼女たちはPCの前に座り、男たちからのメッセージを見ると、もう既に、下品な言葉を投げかけて来る奴もいて、12歳の少女と登録してあるのにも関わらず、平気で性欲のはけ口にしようとしているのがありありと解るんです。恐ろしいと思いました。
何人かとメッセージのやり取りをして、チャットをして、オンラインで電話をするのですが、もう孫やひ孫がいそうな男性もいるんです。ビックリしました。12歳の子供相手に、70歳くらいの男性が胸を見せろとか正気じゃないでしょ。他にも、突然に自分のペ〇スを画面に見せたり、写真を送りつけたり、エロ動画を送りつけたり、あまりのとんでもなさに、本当に絶句すると思います。こんな男が山ほどいるのかと思うと、スタンガンでも持っていないと怖くて外を歩けません。
私が子どもの時代は、まだＳＮＳなんて無かったけど、中学校から帰ったら電話がかかってきて、出たら、「警察ですけど下着が盗まれたと通報があって～」と話し始め、警察だというから真面目に話していたら、その内、「今履いているのパンツの色は白ですか？」とか、「脱いだものを預かる」とか言い出して、驚いて、これは偽警察で変な人だと気が付いて、電話を切った思い出があります。でも、怖くて母親には言えずじまいでした。今思うと、私が家に帰って一人だった時にかかってきたので、近所にいた人で、一人なのが判っていたからなのかと思うと、ゾッとします。本当に怖いですよね。昔は、突然に襲われて連れ去られた子が多かったのかなと思います。今みたいに監視カメラも無いし、神隠しとかで片付けられていたのだろうと思うと辛いことです。
ＳＮＳ上で、男たちは少女相手に性的な話しを続け、裸の写真を送らせようとするんです。言葉巧みで、少女は折角できた話し相手を失うのが怖くて、つい写真を送ってしまうのだそうです。親が見ていればと思うのですが、思春期の子供たちは親に干渉されるのをウザいと思う年頃だし、両親が仕事などをしていて、あまり会話が無いと、子供はＳＮＳなどで話し相手を捜し、優しく話しかけてくれる人を信頼してしまうんです。ダメ、絶対！と思うけど、簡単に止める事は困難なんです。
この恐ろしさを伝えたいけど、上手く伝えられません。あまりにも酷いので、普通の言葉では伝えきれないんです。酷すぎて、12歳を演じている３人の女優さんも、もう大人だけどメンタルがズタズタのようでした。当たり前ですよ。だって、こんなにあからさまに性の標的みたいにされて、言葉と映像で性的虐待を繰り返すのですから、耐えられなくなります。もちろん、精神科医なども付いていてくれたので、直ぐにカウンセリングなどを行っていましたが、それでも可哀想でした。
同じような事が日常で、子供たちに起こっているかと思うと、何とかして止めたいと思いますよね。これは許せないと思いました。でも、そんな酷い状況の中で、ただ一人、本当に良い大人の男性もいて、映画の中の女優さんも泣いていましたが、私も泣きそうになりました。ああー、普通の人もいるんだって思ったら、少しホッとしたんです。この映画を観ていると、男性全てが変態で、子供に性的虐待をしているような感覚に陥ってしまうので、この１人の人もちゃんと映画に取り入れてくれていて、良かったと思いました。
日本だって、これくらいのドキュメンタリー、やれば良いのに。個人情報やら、プライバシーやら、下らない法律上の事を言う前に、子供たちが被害に遭っているんだから、それを止めるべきでしょ。チェコでは、この映画が発端になり、警察が動き出したそうです。ホント、日本でもやった方が良いよ。映画としてやる予算が無いなら、警察がおとり捜査はダメとか言っているけど、子供関係に関してはＯＫにして、おとり捜査をすれば良いんですよ。じゃないと、子供が行方不明になって何年か後に助け出されるなんてことがまた起こるかもしれませんし、既に監禁されている子供がいるかもしれない。これから変態に連れ去られる子供がいるかもしれない。そんな事を心配するくらいなら、捜査した方が良いです。
私も子供の頃から本当に嫌な思いを何度もしたので、他の子供には、私のような嫌な体験をして欲しくないんです。一度でも体験してしまうと、ずーっと死ぬまでトラウマになるんです。忘れられる事はありません。だからこそ、子供は守らなければならないし、起こってからでは遅いんです。事件が起きる前に止めないと、何もならないんです。児童への性的虐待は決して容認してはいけません。当たり前の事です。
私は、この映画、超！超！超！お薦めしたいと思います。お薦めというか、観て欲しい！こんな現実が起こっている事を知らなければ、誰も対処をしようとしないでしょ。現実なのですから、受け止めて、日本もやらなくちゃ。沢山の方に現実を知ってもらうためにも、ぜひ観ていただきたい１本だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。（いや、楽しめないけど考えて欲しいです。）
「SNS 少女たちの10日間」
