「モルエラニの霧の中」3時間半の大作ですが短編集なので頑張れます。時間の流れを感じる映画でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「モルエラニの霧の中」を観てきました。

 

内容は、

「モルエラニ」は、北海道の先住民族であるアイヌの言葉で「小さな坂道をおりた所」という意味で、室蘭の語源のひとつとされている。街で出会った人びとから聞いた実話をベースに、第1話・冬の章「青いロウソクと人魚」、第2話・春の章「名残りの花」、第3話・夏の章「しずかな空」、第4話・晩夏の章「Via Dolorosa」、第5話・秋の章「名前のない小さな木」、第6話・晩夏の章「煙の追憶」、第7話・冬の章「冬の虫と夏の草」の7つの物語から構成され、地方都市に生きる人びとの姿が優しいまなざしで描かれる。

というお話です。

 

 

第1話
冬期休館中の水族館。クラゲ担当の岩内裕樹は、珍しいクラゲを探して毎日海辺を歩き回っている。ある日、港で手紙入りの瓶を拾う。
水族館の近所に引っ越して来た少年、武藤霧が館内に忍び込み、クラゲを盗み、殺して海に捨ててしまったらしい。飼育員から、「クラゲは死んだら綺麗な水になる」と聞いたことがきっかけらしい。謝りに訪れた少年の母親は、港で瓶を流していた女、武藤映子だった。この母子が、また引っ越すことを知った岩内は、二人にある贈り物を用意する。

第2話
老舗写真館の主人、小林幹夫が病に倒れ、離婚した妻の元で育った息子、真太が久しぶりに帰郷する。真太は、倉庫で未受け取りの写真を見つけ、写真館の一室でキャンドルショップを営む、武藤映子に言われるがまま、持ち主を探すことになる。そんなある日、謎めいた老婦人、蕗子が写真館に現れる。蕗子に誘われて訪れた草原で、真太は幼いころから記憶の奥で響き続けていた“歌声”の秘密と、父の気持ちを知る。

第3話
町の港に豪華客船の寄港が決まる。
町内会は歓迎式典の出し物を児童合唱団か、和太鼓の会かで悩んでいた。児童合唱団は、お茶屋を営む水野圭一が指導している。合唱団の前任で、圭一の恩師の野崎美津子は病に倒れて以降、意思疎通のできない状態にあり、夫の野崎芳郎が介護している。芳郎は、美津子を車椅子に乗せて港を散歩するのが日課だった。ある日、芳郎は圭一に、美津子が作った歌を合唱団で演奏するよう依頼する。

第4話
夏の終わりの雨の日。
粗大ゴミ回収業の岸田亮介は引き取りの依頼を受けて、とある場所へと赴く。訪れた先は、激しく雨漏りのする古びた地下駐車場。そこで、依頼主の女から、「ピアノを海に捨ててほしい」と頼まれる。最初は断っていた岸田だったが、「捨てる場所には目印があるから」と引き下がらない女の様子に困惑しながらも、その意味深なピアノに興味を持つ。



 

第5話
7年前に父を亡くした中学3年生の久保桃子。今は、老人介護施設で働く母、久保 七海と二人で暮らしている。母の再婚を機に町を離れることになった桃子は、亡き父との思い出の残る町の科学館へと向かい、かつて父が仕掛けたイタズラの答えを見つけようと中庭を探す。

第6話
科学館の中庭に展示されている蒸気機関車を毎日整備しているのは、元国鉄職員で、かつてはこの車両の乗務員だった老人、吉井武治。科学館の改築にともない、機関車が解体されることを知った吉井は、解体業者の男と揉み合いになって職員に怪我をさせてしまい退職する。ある夜、やけ酒に酔った吉井が科学館に忍び込むと。

第7話
季節の変わり目になると老人施設を抜け出す元樹木医の入所者、河村作次。彼を担当する介護士の久保七海は、再婚を機に退職する日が迫っていたが、常々、河村が施設を抜け出す理由を知りたいと考えていた。河村は、ある桜の老木の世話をしていた。七海が町を離れる日、河村は再び施設を抜け出して、彼女にあるメッセージを伝える。

(公式HPより)

後は、映画を観てくださいね。

 

 

凄く長い映画で、3時間34分の大作でした。でも、短編集という感じなので、思っているほど辛くは無かったです。途中で休憩もありましたので、何とかお手洗いも大丈夫でした。

 

室蘭を舞台に、その街に住む人たちの生活を描いているのですが、古い時代から時は経ち、時代の波に流されていく人、押しつぶされていく人、取り残されていく人、と、色々な人間模様を描いていました。

 

一つの小さな街でも、沢山の人々が住んでいて、それぞれに事情も違うんです。いくつのもドラマが生まれ、それぞれに考え深い出来事があって、普段なら見過ごしてしまうような事でも、こうやって映画になると、あー、そんな事もあるよなぁとか、自分の経験と重なったり、嬉しい事、悲しい事、様々な様相が見えてくるんです。

 

本当のことを言うと、映画が長いので、途中で疲れて眠くなったり、最初の頃の事を忘れたりしちゃうのですが、短編集なので、それほど苦にならず、何となくは理解出来るという感じでも良いのかなと思いました。

 

 

1話目のクラゲちゃんを子供がバケツの中で潰すという出来事は嫌だったなぁ。だって、クラゲだって生きているんですから、痛かったかもしれないでしょ。可哀想でした。子供は海をキレイにする為にしたのかもしれないけど、私はイヤでした。海を綺麗にするより、命を大切にすることを教えて欲しいと思いました。

 

2話目では、写真屋を演じる大杉蓮さんが出演されていて、懐かしく思いました。今も彼の新作が観れることに感動でした。でも、イマイチ、蕗子さんの事が理解出来ませんでした。写真に写ってないんだから、幻ってことだと思うけど、桜の木の精みたいに思って良いのかな。少し謎でした。

 

3話目は、病に倒れた妻と、その妻を介護する夫の物語で、過去を懐かしむ気持ちが描かれていました。そのご夫婦は、住んでいる家の場所が崩壊危険区域に指定されたらしく、安全な市営住宅に移って欲しいと市役所職員が通ってきていて、そんな老人夫婦に今更引っ越しをしろなんて、惨い事をいうなと思いました。でも、危険だからなんだとは思うんですけどね。そういうのって、もう少し、何とかならないのかしらね。

 

 

4話目は、凄く短くて、ある女性が、駐車場に置いてあるピアノを海に捨てて欲しいというっていうお話です。それ、不法投棄だからっ!と思ったけど、まぁ、気持ちを描いたってことでね。この女性、夫との思い出のピアノを思い出の場所に捨てて、新しく生き直すって事なんだと思うけど、印象的なお話でした。

 

5話目は、4話目の女性の娘のお話だと思います。子供の頃の父親との思い出を確認する為に、親子遠足で行った科学館を訪れて、桜の木を探すというものでした。何となく寂しいけど、何となく、娘も父親の事を思い出として受け入れる為の儀式のようで、心に沁みました。

 

6話目は、科学館に展示してある蒸気機関車の整備をしているお爺さんが、科学館が新しく改装されるにあたり、機関車を撤去されると思って、悲しむお話です。そのお爺さん、どーも昔はその機関車に乗っていたようで、思い出が深いみたいでした。でも、時代は変わるものだからね。仕方ないんですよ。時間を感じさせるお話でした。

 

 

7話目は、老人介護施設に住む老人と介護士のお話で、妻も失くして、自分の仕事も出来なくなった老人の喪失感のようなモノを感じられました。でも、イマイチ、最後の方が理解出来ず、どうなのかなぁ~って感じでした。

 

どの作品も、しっかりこうだからという事を解からせてくれる内容ではなく、何となく感じてくださいねって感じで終るので、どう解釈するのが良いのか、ちょっと微妙でしたが、私は楽しめたと思います。香川京子さんが、とっても美しくて、もう90歳になる方には見えませんでした。上品で可愛さもあって、こんな女性になれたら素敵だなぁと思い、見惚れました。

 

大杉蓮さんも、やっぱり素敵ですね。ちょっと出て来るだけなんだけど、その存在感は揺るぎなく、思い出の中だけに出てくるのだけど、イイ感じでした。もう少し、大杉さんのお話も解りやすかったら良かったな。どう理解したら良いのか、今も悩んでいます。

 

 

やはり長い作品なので、どうしても感想も長くなってしまいました。私、思うのですが、こういう長い作品ほど、映画館でやるのも良いけど、映像配信をして欲しいなと思いました。どうしても3時間半だと、集中力が続かないんです。仕事だと同じことを続けるので、何時間でも集中出来るのですが、映画は話しが続いて行き、変わっていくので、それぞれに理解して次に行くというのが、持たないんです。

 

配信をしてくれたら、途中で切って休むことも出来るし、何度も見返せるし、こういう作品って、観る度に違う角度で観るので、新しい発見があると思うのですが、映画館だと、さすがに何度も観に行く余裕もなく、1度で終ってしまうので、そのまま流されてしまうんです。Netflixは、とても上手いと思うのが、良い作品はシリーズ化して配信するでしょ。大御所の3時間半くらいの作品でも、休みながら観れるので、辛くないんです。もちろん、大画面で観る迫力は違うけど、長い映画は、休みながら観たいなぁと思いました。

 

 

私は、この作品、お薦めしたいと思います。良い作品だし、出演者も良い方が多く、室蘭の世界に入り込むことが出来ました。段々と時間と共に寂しくなっていく街の姿が描かれていて、何とも言えない寂しさと、人の心の交流が描かれていて、感動作だと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「モルエラニの霧の中」

 

 

 

 

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