「街の上で」を観てきました。
ストーリーは、
下北沢の古着屋で働く青年・荒川青は、たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったりしながら、基本的にひとりで行動している。生活圏は異常なほどに狭く、行動範囲も下北沢を出ることはない。そんな彼のもとに、自主映画への出演依頼という非日常的な出来事が舞い込む。
というお話です。
ある日、部屋で言い合いをしている男女。彼女が浮気をしたようで、彼氏は許せない。彼女の誕生日ケーキを前に、彼女は浮気をしたからあなたと別れるという。彼の方は、何故、浮気をされて、フラれなきゃいけないんだというが、彼女は別れたいの一点張り。別れて、新しい男と付き合うようだ。彼女が帰った部屋に一人残る男。
男は、下北沢の古着屋で働いている荒川青。青は基本的にひとりで行動している。たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったり。口数が多くもなく、少なくもなく。ただ生活圏は異常に狭いし、行動範囲も下北沢を出ない。事足りてしまうから。
恋人の雪と別れた後、彼女を忘れられずに悶々としている青。今日も、古着屋で店番をしていると、若い二人が現れ、痴話げんかをしている。人の気持ちは解らないと思いながら、店番を続けていると、ある女性から声をかけられる。「自主映画に出演して欲しい。」というのだった。
突然の出来事に驚くが、ちょっと嬉しい気持ちになる青。ちょっと練習したりして心の底で楽しみにしていたが、いざ、出演してみても何も変わらない。撮影後に飲み会に誘われ、衣装担当のイハと仲良くなって、恋ばなをしながら良い友達となる。
この街で変わらない日々を過ごしながら、少しづつ変化をしていく自分を楽しむ青。自身は気が付ついていないのだが、実は、彼を気になり始めている女子もいたりして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、好きです。面白かったなぁ。何が凄いとかって言えないんだけど、凄く好きなの。自分が住んでいる街で、毎日、同じ生活をしているんだけど、そんな中でも、少しづつ何かが変わっていて、それに気が付いたり気が付かなかったり、そんな日常が、凄くイイんです。共感が出来るんです。
映画が始まると、いきなり主人公の青くんがフラれちゃうんです。それも彼女が浮気をして、それを許す許さないの話しをしているんだけど、彼女が新しい人と付き合うから別れたいって言うんです。オイオイ、それって、浮気を許すって話し以前に、新しく好きな人が出来たから別れたいっていう別れ話から始めるべきじゃないの?って思うんです。でも、映画で観てるからそう思うけど、実際、自分の別れ話だったら、言いにくいから、こんな感じになっちゃうだろうと言う事が理解出来てきて、うーん、そうそう、そうなのよって思い始めるんです。
そんな出来事が幾つも出てくるので、映画を観ている以上に、あー、そうそう、そうだよねぇ~って共感する部分が多くて、観ていて夢中になっちゃうんです。だから、大笑い(コロナだから遠慮してマスクを押さえてクスクスしてるだけだけど。)しちゃうんですよ。コメディじゃないんだけど、日常の事って、目の前で描かれるとおかしくなっちゃうから、笑っちゃうんです。
主人公の日常を観る事で、自分の何気ない日常の中にも、案外、色々な事が起きているんだろうなぁって思って、それも嬉しくなるんです。考えてみれば、今日は天気が良かったから大好きな運動靴で買物に行けたなぁとか、雨降ってたから新しい傘を下して良かったなとか、スーパーに欲しかったアイスクリームが無くなっていたとか、何かあるんですよね。それが嬉しいのか楽しいのか、悲しいのか苦しいのか、色々なことがあるからこそ、生きているんだなって実感しているのかなって思いました。
何ていうんだろうなぁ~、凄く気持ちよく観ていられる映画というのが一番適格な表現かしら。あのー、お風呂に入って歌うたってるような感覚なの。はぁ~、気持ちいいなぁ~、もう少し入っていたいなぁ~って思うような感じ。だから、映画ももっと続いて欲しいなぁ~って感じで終るんです。130分もある映画なのに、もっと観ていたいと思うなんて凄いでしょ。通常の映画だと、疲れちゃって休みたくなるだろうけど、そうじゃないんです。
若葉さん、素敵な役者さんですよね。葛城事件が衝撃的だったけど、少し前の「AWAKE」が私はお気に入りなんです。「あの頃。」のオタク役も良かったし、自然な感じが良いんですよね。好きなんです。実は、「muro式.9」の時に、ムロツヨシさんとお二人でやっていて、その時も好きだなぁ~って思ったんです。今回は、とうとう主演とのこと。でも、前に出過ぎず、良い味を蓄えながら、下北沢の街をたゆたっている感じが良かったです。素敵でした。
青の関わってくる女性4人も、ガビガビしていなくて、本当に良かったです。私は、特に、衣装係のイハ役の中田さんが良いなぁと思いました。実は、魂胆がありながら、それを見せずに青と関わっていく姿が、楽しかったです。そして青の人柄に触れて、ちょっと惹かれたんじゃないかなって思わせる雰囲気も好きでした。他の女優さんたちも、それぞれに味があって、ラーメン屋で出会った風俗嬢の方も素敵な笑顔で、ああー、なんか、こうやって書いていくと、本当に、誰も彼も良かったな。映画が良かったからだよなぁ。
なんか、スミマセン。褒め言葉しか出てきません。だって、本当に好きな映画だったんですもん。私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。何度も言いますが、私は大好きな映画です。こんな感じのドラマをショートフィルムで良いので、TVで毎週やって欲しいなぁ。凄く癒されそうな気がします。まぁ、そんな簡単には行かないだろうけど、でも、それくらいみんなに観て欲しいと思うような映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「街の上で」