「椿の庭」時間の流れは残酷でいつまでも同じ所には居られないんです。美しい写真のような映画でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「椿の庭」を観てきました。

 

ストーリーは、

長年連れ添った夫を亡くした絹子は、夫と子どもたちとの思い出が詰まったその家で娘の忘れ形見である孫娘の渚と暮らしていた。夫の四十九日を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死んでしまう。金魚は椿の花で体を包まれ、庭の土へと還っていった。庭に咲く色とりどりの草花から季節の移ろいを感じ、家を訪れる人びとと語らいながら、過去に思いをはせながら日々を生きる絹子と渚。そんなある日、絹子に一本の電話がかかってくる。

というお話です。

 

 

「もし私がこの地から離れてしまったら、ここでの家族の記憶や、そういうもの全て、思い出せなくなってしまうのかしら」



葉山の海を見下ろす坂の上の古民家を移築した一軒家。絹子の夫の四十九日の法要が行われた。法要のあと、東京から参列した娘・陶子は、年老いた母がいまだ、姉の娘の渚と二人きりでこの家に暮らし続けていることが気が気でない。東京のマンションで一緒に暮らそうと勧めるが、絹子は長年家族で暮らした思い出深いこの家から離れるつもりはない、と言う。

よく丹精されたその家の庭では、四季の移り変わりにあわせ、花が変わり、海からの風も変わり、季節を全身に浴びるように感じることができる。今日も近づく夏の気配を感じながら、朝食をとる二人。



 

梅雨
激しい雷雨に藤棚の花が散り、やがて雨蛙が現れだした頃、渚が家に帰ると、玄関に見慣れない男物の靴が…。絹子は相続税の問題で、訪ねてきた税理士からこの家を手放すことを求められていた。絹子の悲痛な表情に胸を痛める渚。

盛夏
お盆に訪ねてきた夫の友人と、若い頃の思い出話に花を咲かせる絹子。渚は、このところ元気のなかった祖母が久しぶりに見せた笑顔に安堵する。だが、その直後、絹子は過労から倒れ込み、病院に担ぎ込まれる。



 

そして季節は秋から冬へ……絹子にも、渚にも、人生の新しい決断の時が迫っていた。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、本当に美しい映画でした。移りゆく自然と、時の流れ、を映像に描き出していて、その中で生きる人々の姿を静かに見つめていく感じの映画でした。

 

絹子は、夫を亡くして、孫娘と一緒に暮らしています。49日の法要も過ぎ、夫との思い出を胸に、これから穏やかに暮らして行きたいと思っていたのですが、その土地建物の相続の事を生前に考えておかなかった為に、絹子の元に莫大な相続税の請求が来てしまうんです。良くある事なんだけど、絹子は、そういう事を今までに考えてきていなかったので、ただ、唖然とするばかりで、直ぐに動くことが出来ません。

 

 

相続税の期限は10ヶ月。既に49日を済ませたので、それほどゆっくりはしていられません。梅雨になり、税理士が土地建物を売れば相続税も払えるというのですが、絹子は納得が出来ません。どうしても、その家を売るという決断に至らないんです。凄く解るんですけど、でも、どうしようもないんですよね。だから、生きている内に、ちゃんと減税の事を考えておかなきゃいけないのですが、皆さん、あまりやっていらっしゃらないみたいなんですよね。

 

もちろん、ある程度までは免税してくれたりしますが、葉山の古民家を移築した一軒家なんて言ったら、そりゃ、凄い高いと思いますよ。あの地域は、土地の大きさが100坪、200坪なんてザラにあるので、相続税は考えただけでも凄い額になると思います。

 

 

絹子は、見るからに上品な奥様で、あまりお金の事とか考えてこなかったタイプに見えるので、夫に全部任せていたんじゃないかな。ご主人が酷いですよね。そんな美しい奥さんが困らないように、生前に手続きをしておくべきなのに、全く、やって無かったんですから。

 

娘の陶子は、既に結婚して東京に暮らしているようですが、さすがに家の相続税がそんなにかかるとは思っていなかったんじゃないかな。どうしようもないと思っているように見えました。

 

 

静かで美しいその庭と家で過ごしながら、絹子は、その家は自分であるかのように思っていたんじゃないかな。その家で過ごして、夫を思う時間が、彼女の唯一の時間だったから、その家から離れたくないと思っていたのではないかと思いました。そんな祖母を見つめる渚は、自分の母親がこの家を出て帰ってこないまま亡くなった事を思い出しながら、祖母の気持ちも理解し、自分は異国からここへきて、自分の居場所がやっと出来たと思っていたのに、また・・・という思いがあったのかなと思いました。

 

ただ、時の流れを描いている映画なので、ほとんど何も起きないし、変わらないんだけど、その中に、何とも言えない寂しさとやるせなさと、悲しさが描かれていて、感動の作品でした。富司純子さん、本当にお美しくて、観ているとため息が出るようでした。あの百合のような美しさは、富司さんだからですよね。そして、今回、鈴木京香さんとシム・ウンギョンさんが共演だったのですが、お二人も、そんな富司さんを追いかけるような美しさがあり、何だか、もう綺麗だったとしか言いようがないです。その場面を観ても、写真集を観ているようなんですもん。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。こんなに静かな映画なのに、こんなに感動出来るとは驚きでした。素敵な映画です。この良さって、日本人だけじゃなくて、世界にも通じると思うんですよねぇ。うーん、良かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「椿の庭」