「アンモナイトの目覚め」美しい愛に完璧を求めてはいけない。いつも遊びが無ければ切れてしまいます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「アンモナイトの目覚め」をFan’s Voiceさんの(@fansvoicejp) 独占最速オンライン試写会で観ました。

 

ストーリーは、

1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。人間嫌いの古生物学者メアリー・アニングは、ひとりこの町で暮らしている。かつて彼女の発掘した化石が大発見として世間をにぎわせ、大英博物館に展示されたが、女性であるメアリーの名はすぐに世の中から忘れ去られた。今は土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てている。彼女は、裕福な化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることになり、何もかもが正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すが、自分とあまりにかけ離れたシャーロットに、メアリーは次第にひかれていく。

というお話です。

 

 

荒い波が打ちつける海岸で、化石を求めて岩場によじ登るメアリー・アニング。時は1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスに母親と二人で暮らすメアリーは、独学だが古生物学者としてその名を知られていた。だが、大英博物館に展示されている魚竜イクチオサウルスの化石を発掘した栄光も遠い過去となり、今では生活のために観光客の土産物用アンモナイトを探して売っている。

そんなメアリーの店に、ロンドンから化石収集家のロデリック・マーチソンが、妻のシャーロットを伴って訪れる。裕福なロデリックは、メアリーが磨き上げたアンモナイトを購入し、採集に同行させてほしいと頼み込む。人付き合いが苦手なメアリーは露骨に迷惑そうな顔をするが、謝礼を弾むと言われて渋々受けるのだった。



 

ロデリックが町を去る日、流産のショックから立ち直れず、抜け殻のようになったシャーロットをこの静かな地で療養させるので、数週間面倒を見て欲しいとメアリーに頼んでいく。翌日、シャーロットは浜辺までついてくるが、不機嫌そうに黙ったまま何もしない。そうかと思うと突然、採集を見せろと要求するシャーロットに、メアリーは「口出ししないで」と冷たく言い放つ。憤慨したシャーロットは、一人で水泳を始めるのだった。

次の日、メアリーの店に現れたシャーロットは、高熱を出して倒れてしまう。往診した地元の医師から24時間の看護が必要だと言われたメアリーは、「冗談じゃない」と拒絶するが、苦しそうにうなされるシャーロットをほおっておけなかった。メアリーの献身的な介抱のおかげでシャーロットが完全に回復した時、二人の間に温かな感情が芽生え始めていた。



 

そんな中、メアリーは医師から自宅で開く音楽会に招待され、シャーロットを連れて出かけていく。だが、かつてメアリーと関係のあったエリザベス・フィルポットを紹介され、すぐに上流階級の輪の中に溶け込むシャーロットにショックを受けたメアリーは一人で帰宅してしまう。そんなメアリーの想いを深く汲み取ったシャーロットは、「今夜のあなたは輝いていた」と励ますようにメアリーの手を握るのだった。

翌日、一人では運べない大きな石を海岸から二人で持ち帰ると、それは価値のある化石だった。二人は発見の喜びと互いへの想いに満たされ、初めて知る幸せを抱きしめ合う。ずっと心に巣くっていた孤独から解放される悦び。だが、輝く日々は光のように過ぎ去り、シャーロットはロンドンへ戻ることとなる。一緒にロンドンで暮らしたいというシャーロット。しかし、メアリーが選んだ選択は。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、凄く素敵な映画でした。空気感がとても良いんです。同性愛の映画と見られがちですが、それだけじゃなくて、自立していて貧しくても仕事を生き甲斐としている女性と、上流階級の妻という立場を当たり前と思っている女性の立場の違い、考え方の違いがとても良く描かれていました。現代にも通じるところがあると思います。

 

古生物学者のメアリーは、一時期話題になった学者でしたが、この時代は男性社会なので、女性学者は直ぐに忘れ去られてしまい、今は貧しく暮らしているんです。そんなメアリーを、上流階級の考古学に興味のあるロデリックが訪ねてきます。裕福で、考古学を自分の趣味として楽しんでいる彼と一緒に、妻のシャーロットも訪れます。シャロットは流産のショックでふさぎ込んでおり、ロデリックは環境の良い場所でシャーロットを静養させる事にし、メアリーに面倒を見て欲しいと頼みます。これ、どう考えても面倒な妻を押し付けた感じに見えちゃいました。

 

 

メアリーは嫌がりながらも、お金の為に仕方なく引き受けるのですが、面倒を見ている内に、段々と惹かれ合っていくんです。メアリーは、母親と暮らしてはいますが、母親はメアリー以外に8人の子供を亡くしており、その悲しみで壊れてしまっているんです。母親の面倒を見ながら、ずーっと孤独だった彼女は、何の疑いも無く素直で無邪気なシャーロットが眩しく見えたのかなと思いました。

 

シャーロットは流産で沈んでいましたが、メアリーの看病の甲斐もあり、元気になっていきます。きっとメアリーは、自分の母親が子どもを亡くして壊れた事もあり、シャーロットには回復して欲しいと思ったのだと思います。そして、二人は急接近し、恋愛関係に進んで行きます。とても自然に惹かれ合い、恋愛関係になるのですが、二人の視線の絡み合いが熱いので、観ているこちらもドキドキしました。

 

 

もちろんシャーロットは上流階級の奥様なので、いつまでもメアリーの所には居られません。帰る日がやってきて、二人は離れるのですが、そこからの展開も、うーん上手いなぁと唸るような感じでした。裕福で何不自由ない暮らしを持っているからこその考え方と、自立した女性ならではの考え方が対立します。シャーロットは、裕福というか、奥様だから庇護されている立場よね。自分が勝ちとったものではなく、人から与えられているもの。この時代は主婦業なんてものではなく、夫の所有物だから、彼女が良しとしていても、夫がNOと言ったなら、全てが壊れる事もあり得るのよね。でも、シャーロットは、全くそんな事を考えていない所が、無邪気というか、物を知らないのだと思いました。

 

 

メアリーは、もちろんシャーロットを愛しているのだろうけど、彼女は自立した女性であり、古生物学者であることを辞める事は無いと思いました。それが彼女の生き甲斐なのだから、それを全て捨てて、シャーロットを選ぶことは、彼女には出来ないんじゃないかなぁ。それに、メアリーから発掘を取り上げてしまったら、メアリーでは無くなってしまうような気がします。メアリーであるためには、古生物学が無ければいけないんじゃないかなって思うんです。シャーロットも、今のメアリーを好きになったのだろうから、それを理解しなくちゃね。

 

凄く深い内容で、後から後から、考えが浮かんできてしまいます。アンモナイトって、古代生物の中でも有名だけど、オウムガイと同じように螺旋状になっているでしょ。あの螺旋は対数螺旋だから、自然に出来たものだけど計算が出来るんですよね。そして、黄金比になっている。アンモナイトは完璧な美しさを持っていたのに、絶滅してしまったんです。それって、完璧であることは良いことばかりではないと言われているようで、そこには曖昧さとか、日本で言う”良い塩梅”という「遊び」が大切なんだと言っているように思えるんです。メアリーとシャーロットの愛も、完璧を追求するのではなく、良い塩梅で続けて行く方が良いのではないのかなって思いました。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。本当に素敵な映画です。大人の映画と言った方が良いかな。女性同士の絡みなどもあるので、子供にはちょっとという感じです。でも、本当に綺麗だった。こんな恋愛が出来たなら、男性優位の世界でも生きていけるかもって思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「アンモナイトの目覚め」