「ビバリウム」を観てきました。
ストーリーは、
新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder」を紹介される。内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。2人で帰路につこうと車を走らせるが、住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており、2人は訳も分からないまま世話をすることに。追い詰められた2人の精神は次第に崩壊していき・・・。
というお話です。
新居を探すトムとジェマは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、不思議な営業マンからアピールを受け、全く同じ家が並ぶ住宅地<Yonder(ヨンダー)>を紹介される。
9番の家を内見をすると、まるで男の子が生まれるような設定の家に少し引いてしまうが、大きな間取りで良い住宅だった。とりあえずは他も探そうと、内見を終えて帰ろうとすると、一緒に来たはずの営業マンが居なくなっていた。彼が乗ってきた車も無くなっている。
不安に思った二人は、帰路につこうと車を走らせるが、どこまでいっても景色は一向に変わらない。何度周っても、9番の家の前に帰って来てしまう。何度も二人はこの住宅地から抜け出せなくなってしまったのです。
9番の住宅の前に食料や道具が置かれており、そこで住めと言われているようでした。怒ったトムは、9番の家を燃やし、そのまま眠ったのですが、目を覚ますと、燃えたハズの9番の家は元通りになっていました。そして家の前に新しい箱が置いてあります。
箱の中身は男の赤ちゃんでした。「この子を育てれば開放する。」というメッセージがあり、仕方なく9番の家で子どもを育て始めます。
この赤ちゃんは誰の子なのか。育てたらどうなるのか、全く何も解らないまま、そこでの生活を始めるのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。
まず、「ビバリウム」という題名ですが、ビバリウムというと、爬虫類とか両生類を育てる飼育用ゲージの事を呼んでいます。カエルちゃんとか、イモリちゃんとか、トカゲちゃんを、下に砂などを敷いて木や草などを植えて、ちょっと湿気が多い感じにして育てます。爬虫類も、ある程度飼っていると意思の疎通が出来て来るので、名前を呼ぶと近寄ってきたり、手の上でリラックスしてくれたりします。これが一般的なビバリウムです。
今回の”ビバリウム”ですが、まさにそれでした。そして、始まってすぐに、カッコウの托卵の様子が映し出され、何かが人間に托卵させるんだろうな~と想像がつきました。そして、その通りの内容になっていきました。凄く怖かったです。サスペンススリラーと書いてあったけど、どう考えてもホラーでしょ。凄く怖かったもん。
トムとジェマは、いたって普通のカップルで、そろそろ同棲しようかと考えているんです。そして部屋を探しているのですが、たまたま、戸建を販売している不動産屋に入ってしまいます。冷やかしのつもりだったと思うのですが、営業マンが、イヤにぐいぐい押してくるので、見るだけならいいだろうという軽い気持ちで内見に行ってしまうんです。まさか、”捕獲”されてしまうとは思わず行くのですが、ヨンダーという町は、凄く不気味なんです。誰も居ないし、家以外の何も無い。普通は、コンビニとか、派出所、郵便局、マーケットなど、ある程度の生活に必要な施設は在るはずでしょ。でも、全く無いんです。家だけ。絶対におかしいと思うよね。
抜けられなくなったと思ったら、子供が運ばれてきて、育てろと言われてしまいます。この子供、超キモいんです。赤ちゃんなんだけど、あっという間に少年になって、少年なのに、声は大人の男の声なのよ。もー、キモかった。ちょっとだけ、ネタバレなんだけど、あるとこで、「ゲコー!」っていう場面がありました。詳しくは書けませんが、グリム童話の「カエルの王様」を思い出しました。
子供は大きくなっていくし、自分たちは出て行けないし、食事に味は無いし、仕事も無い。本も無いし、TVも変なモノしか映らない。これ、気が狂いますよ。ホント、人間って、何もすることが無いと、おかしくなっていくんです。観ていて、可哀想でした。
この住宅街は、異次元に作られているのかな?街中の不動産屋から、思ったほど遠くなさそうだったけど、でも、一度入ったら抜けられないとなっているので、どこかに異次元の入口があったのでしょうね。でね、その不動産の営業マンや、子供なんだけど、みんなどことなく似ている感じで、表情が無いんです。そして、彼らが読む本には、全く知らない言語が書かれているし、彼らがTVで観る番組は、モノクロのモダンアートを動かしているような、全く認識出来ない映像でした。徹底的に人間じゃねーなって思わせるような感じでした。でも、見た目は人間よ。
トムとジェマが、その状況に追い詰められていく様が凄かったです。なんか、監禁されておかしくなっていくという人間の心理描写が、本当に良く描かれていました。普通に生活してくださいって言いながら、凄い拷問なんですもん。これは耐えられないでしょ。
それにしても、よくこんなストーリー、考えましたね。ホラーとしては、ちょっと珍しいです。だって、一見、全く怖くないんですもん。普通のカップルが、ある家に引っ越して、子供を育てているだけ。ただ、他に人がいないだけです。でも、心理的なストレスというか、恐怖は、そこらのゾンビものよりも、よっぽど怖いんです。うーん、嫌な映画だったけど、面白かったなぁ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。面白い映画です。ちょっと観た事が無いような内容でした。でも、とても嫌な感じになり、後味が悪いです。私は、この気持ち悪さが楽しめるのですが、後味が悪い映画を好きでない方には、お薦め出来ないかな。でも、映画としては、とても面白い作品だと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
「ビバリウム」







