「水を抱く女」恋をしたウンディーネを裏切ると命は無いけど、彼女が心変わりしたらどうなのかな? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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ストーリーは、

ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネは、アレクサンダー広場に隣接するアパートで暮らしながら博物館でガイドとして働いている。恋人ヨハネスが別の女性に心変わりし悲嘆に暮れる彼女の前に、愛情深い潜水作業員クリストフが現れる。2人は強く惹かれ合い、新たな愛を大切に育んでいく。やがて、ウンディーネに違和感をクリストフが感じ取ったことをきっかけに、彼女は自分の宿命に直面することになる。

というお話です。

 

 

ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。博物館でガイドとして働きながら、アレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らしていた。ウンディーネは恋人のヨハネスに呼び出され、カフェで会っていた。ヨハネスはウンディーネに別れ話を切り出すが、ウンディーネはそれを拒否し、「私を捨てたら殺すわよ。」とヨハネスに突きつける。

悲観にくれていたウンディーネの前に、先ほど博物館のツアーに参加していたクリストフが現れる。案内に感動し、彼女を気に入ったようだった。潜水士をしているクリストフは、愛情深く、ウンディーネを真っ直ぐに愛してくれる。彼に惹かれたウンディーネも、彼を愛し始める。

 

 

お互いに強く惹かれ合った二人は、いつも傍にいる事を望み、仕事の合間を見つけては、二人で過ごせる時間を持っていた。ある時、二人でスキューバダイビングをしていると、ウンディーネが水の中から消えてしまう。慌てたクリストフが探すと、大きなナマズが彼女を連れて行くように見えたのだが、何故か彼女は機材を外し、水の中に浮いていた。直ぐに地上へ上がり、人工呼吸を施す。

 

ダイビングの事故から、クリストフはウンディーネが何か隠し事をしているような気がして、不安が募っていく。何かから逃げるような、そんな感じがあるような気がする。ある日、クリストフとウンディーネと街を歩いていると、カップルとすれ違うが、その男性はウンディーネが別れたヨハネスだった。ヨハネスは幸せそうなウンディーネに嫉妬し、ウンディーネの元を訪れ、彼女と別れるからやり直そうと言い出す。

 

クリストフへの愛は揺るがないが、最初に愛したのはヨハネスだった。ウンディーネは、自らの宿命に直面することになる。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画は、ドイツの”ウンディーネ”伝説を元に、描かれています。ウンディーネとは、水の精霊で本来は魂を持っていません。人間の男性と結婚すれば魂を得ますが、3つの禁忌があります。①水の傍で夫に罵倒されると水に帰ってしまう。②夫が不貞をした場合、ウンディーネは夫を殺して、水に帰らなければならない。③水に帰ったウンディーネは魂を失う。というものです。ウンディーネ伝説は、人魚の元になったお話なので、人魚姫を思い出すのが一番近いかな。

 

主人公のウンディーネは、ヨハネスという男性と恋に落ちて、人間となりますが、ヨハネスは酷い男で、直ぐに新しい女を作ってしまいます。ウンディーネは、ヨハネスを殺して、水に帰らなければと思うのですが、そこへクリストフという男性が現れ、新しい恋にのめり込みます。でも、最初に好きになったのはヨハネス。彼との恋が成就しないならば、掟に従わないといけません。

 

 

ヨハネスを殺すのは別にどーでもいいけど、水に帰って魂を失い、クリストフを忘れるのは嫌だと思ったウンディーネは、そのまま、騙し騙し、人間として生きて行くんです。でも、水からの呼び声は聞こえてくるし、段々と焦り始めます。そんなウンディーネの不安を、クリストフは感じてしまうんです。

 

なんか、この人間になるっていうのって、1回しかダメなのかしらね。ヨハネスを早く殺して、1回水に戻ってから、またクリストフと出会ってっていうのは無理だったのかしら。最初にバカな男に引っかかったのが悪かったんだけど、リベンジ出来ればいい訳でしょ。もー、人生長いんだから、リベンジくらいさせてあげてよねぇ。1回しかダメだなんて、ケチ臭いでしょ。おまけしてくれれば良いのにねぇ。

 

 

クリストフは、潜水作業の仕事をしていて、とても心の優しい、愛情深い人間なんです。運命的な出会いで、二人はあっという間に恋におちるんですけど、この辺りまでは、普通の恋愛映画に見えるんです。ウンディーネが精霊だということも、人間として生きるには条件がある事も、全く描かれていないんです。でも、いつも彼女の言動や、行動に違和感があるんです。それが、後半で明らかになってきて、ファンタジーの世界に引き込まれていきます。

 

この映画の良いところは、伝説を題材にしたファンタジーなのに、何処までも現実的で、ディズニーのような甘さが無く、大人恋愛映画として描かれているところです。なので、観る人によっては、一人の女性が突然に消えてしまっただけで、色々な事は幻想だったのだと思うかもしれない。そんな所が、凄くイイ雰囲気なんです。

 

 

人魚姫だと、王子を殺せなくて自分が泡になっちゃうけど、ウンディーネの伝説は違うみたいですね。人魚姫のように甘くないんです。精霊って言うと、良い精霊もいるけど悪い精霊もいて、悪魔の手先だったりもするので、そこら辺は怖いかな。ウンディーネも、良い精霊という訳でもないようでした。おとぎ話でも、良い事をしてくれた人には恩返しをするけど、悪い事をした人には酷い仕打ちをしますもんね。精霊と天使は違います。

 

今回もアフタートークがありまして、ドイツ映画研究者の渋谷さんと映画ジャーナリストの立田さんがトークをしてくださいました。博物館でベルリンの模型を上から見下ろすシーンなどの解釈や、ベルリンの現状、そして、病院や湖の場所の事など、細部に渡っての解説をしてくださっていて、トークを聞いた後に、もう一度、映画を観たくなりました。ベルリンには、古い建築物と新しい建築物が混在して、過去と未来が混ざり合って、浮いているような状態だというのが印象に残りました。地上で人間として魂を得ていても、ウンディーネは、水の中にいる時と同じように、浮いていたのかなと思いました。トークが面白かったです。

 

主演のパウラ・ベーラさん、まだ26歳なんですね。大きな映画に沢山出ているので、こんなに若いとはビックリです。美しかったです。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。もし、ファンタジー映画が好きな方がいらしたら、その方には、超!を付けてお薦めです。ファンタジー映画って好き嫌いがあるので、全員に薦めてよいか、いつも悩むんですが、やはり伝説などをある程度信じられる”想像力”が豊かな人でないと、難しいかなと思います。ぜひ、観に行ってみてください。3月26日公開です。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「水を抱く女」