「サンドラの小さな家」ををオンライン試写会にて観ました。Fan's Voice(@fansvoicejp)独占最速オンライン試写会に当選いたしました。
ストーリーは、
2人の幼い娘を連れて虐待夫のもとから逃げ出したサンドラ。しかし公営住宅は長い順番待ちで、ホテルでの仮住まい生活から抜け出せない。そんなある日、サンドラは娘との会話から、小さな家を自分で建てるアイデアを思いつく。インターネットでセルフビルドの設計図を探し出し、サンドラが清掃人として働いている家のペギーや建設業者エイドの協力を得て建設に取り掛かるが、執念深い元夫に妨害されてしまう。
というお話です。
シングルマザーのサンドラは、虐待をする夫のもとから2人の幼い娘と共に逃げ出した。ホテルで仮住まいの生活をしており、公営住宅には長い順番待ちをしなければならない。早く安心して生活が出来る住まいを見つけたいと思っているが、色々思案しても、公的援助と今の生活費では新しい住宅を借りる事は出来ない。
ある日、娘の寝る前のベッドサイドストーリーからヒントを得て、手頃な家を自分で建てることは出来ないかと思い立つ。ネットで調べ始めると、土地さえ手に入れれば、何とかなるかもしれないという希望が持てる。放置されている国有地を見つけ、役所に貸して欲しいと頼むが、了承される訳もなく、このアイデアはダメかと考え始めた時、サンドラの雇い主であるペギーが、彼女の事情をしり、土地を提供してくれるという。そして資金も貸してくれるというのだった。
喜び、家を建てる計画を進めるサンドラだが、材料を調達しに行くと、ネットでの情報だけでは実際に家を建てるには無理がある事を実感させられる。その建材屋で、建築の仕事をしているエイドと出会う。勇気を出してエイドに手伝って欲しいと申し入れるが、忙しいと言って断られてしまう。それでもと懇願すると、エイドと一緒に仕事をしていた障害を持つ彼の息子がサンドラに靴を差し出す。息子を見たエイドはサンドラに協力を申し出る。
土地と資金、そして協力者を見つけたサンドラは、今度は建てるのを助けてくれる人手を探し、友人を当たると、助けてくれる人も見つかっていく。
一方、サンドラは夫との話し合いで決まった、子供の面会日に娘たちを夫の元に連れて行っていたが、妹の方がどうしても父親と会いたくないと騒いでしまう。嫌がる娘を夫に渡せず、8回目が済んだ後、夫が面会の約束を反故にしていると裁判に訴えてきた。家を持てるかもという願いが叶いそうな時、娘が夫に取られてしまうかもしれない。娘のための家なのに、娘がいないのでは意味が無い。苦しむサンドラを周りの人々が励まし、サンドラは対抗するための手立てを打つことにする。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
とても感動的な良い映画でした。うーん、考えさせられました。サンドラは、最初は普通の主婦だったのだと思います。でも、夫がDVをするようになり、危険な状態にまでなった為に、子供を連れて家を出るんです。凄く現実的で、日本でも沢山起こっている事だと思います。表に出てきてないけど、多いと思います。
家を出たのは良いけど住むところが無く、公営住宅は長い順番待ちで、補助が出る賃貸住宅はほとんど空きが出ません。ホテル住まいをしているのですが、ホテルのコンシェルジュらしき人に、裏口へ行けと言われるんです。それ、おかしくないですか?だって、お金払って済んでいるんでしょ。いくら国からの補助だからって、表から入るなっていうのは間違っているでしょ。お客様なんだから。扱いが酷いなと思いました。
アフタートークの大学准教授の方と立石さんのお話の中で、日本では、DVなどでシングルマザーになった方への住宅支援はある程度充実しているようなお話がありました。でも、まだまだ支援は行き届いていなくて、結局、DV夫の元に帰ることになってしまう女性もいるようです。ダメですよ。DV夫の所なんて、絶対に戻ってはいけません。援助の窓口があるので、お願いですから諦めずに頼って欲しいです。
サンドラは、みんなの協力で自分の家を建て始めますが、うーん、こんなに簡単じゃないんだけどなぁ~。壁枠を作って建てて行くのはそうなんだけど、映画だからね。そんなにうるさい事は言いませんが、これで家が建つと思われたら大変だなってちょっと思っちゃった。(笑)アイルランドの建築基準法を知らないけど、日本やアメリカでは、これ、ダメですね。アメリカも結構厳しいんです。日本は耐震性だし、アメリカは台風などへの防御が大切なので、法律が厳しいです。でも、どちらの国でも、自分で建てても良いんですよ。大工じゃなきゃいけないって事はありません。
それにしても、暴力夫、酷かったな。だって、ムカつくのが、全然悪いと思っていないんだもん。カウンセリングに行って、俺、変わるからとか言ってたけど、笑いながら話している時点でアウトでしょ。全く変わらないじゃんって思いました。でも、この夫も、どーも子供の頃から父の母に対するDVを見て、それが当たり前だと教育されてしまったようでした。なので、彼も親の被害者ですよね。DVは目で遺伝するのだから、ちゃんと学校教育すべきだと思うんだけどな。家庭で出来ない教育は学校でするしかないんじゃないの?
娘2人は、ママと一緒に暮らしていて、パパに逢いに行くんだけど、姉の方はパパが好きで喜ぶのですが、妹は怖がって震えているんです。妹は、父が母に暴力を振るっているのを見てしまってトラウマになっているんです。姉は無邪気にパパに抱きついているけど、妹との行動のギャップが、DVの恐ろしさを良く表していたと思いました。
それにしても、どうしてDVしちゃうんでしょうね。暴力が犯罪だって、誰もが知っているのに、家族にはしても良いと思ってしまうのかしら。私にはどうしても理解が出来なくて、それも病気だというけど、何だか甘やかされているような気がしてしまいます。親がDVをしていたから、自分が親からDVをされていたから、という言い訳があるけど、それでも自分はDVをしないという人も沢山いるんです。言い訳はダメでしょ。何度も言うけど、それは、犯罪です。
この映画で幸せだなぁと思ったのは、周りの人々がサンドラの事を思って、協力してくれることなんです。最初は、ちょっと嫌々ながら、躊躇しながらに見えたけど、でも、みんなで一つのモノを作り上げるという達成感のようなものが、みんなの絆を強くしたように見えました。仲間の言葉が心を突くんですよ。ジーンと感動しちゃいました。本当にこころが温かくなりました。あまり詳しくは書けないけど、良い仲間でした。
今回、大学准教授の葛西リサ先生と映画ジャーナリストの立田さんがアフタートークをしてくださったのですが、日本のシングルマザーの現状などをお話してくださって、ためになりました。立田さんがインタビュアーだと、本当に解りやすいんです。きっと聞くことを頭の中でしっかり決めていらっしゃるからかなぁと、いつもお話を聞きながら、ふんふんって聞き入ってしまいます。今日は、「国際女性デー」ということで、こういう日に、女性が頑張る映画を観て、またまた考えさせられました。女性も頑張らねばね。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは良い映画でした。シングルマザーの辛い現実も描いているけど、”助けて!”と叫べば、みんな助けてくれるんだと言う事を描いていました。そこには大きな希望が見えます。そして、何度挫けても、立ち直れるんだということも描いていました。思っているよりも、世の中捨てたもんじゃないんだよって事です。4月2日公開です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「サンドラの小さな家」