「旅立つ息子へ」をオンライン試写会で観ました。
ストーリーは、
自閉症スペクトラムの息子ウリの世話をするため、売れっ子グラフィックデザイナーというキャリアを捨て、田舎町でのんびりと暮らしているアハロン。別居中の妻タマラは息子の将来を心配し、全寮制の特別支援施設への入所を決める。定収入がないアハロンは養育不適合と判断され、行政の決定に従うしかなかった。しかし入所当日、大好きな父との別れにパニックを起こす息子の姿を目の当たりにしたアハロンは、自分が息子を守ることを決意し、2人の逃避行がはじまる。
というお話です。
愛する息子ウリのために人生を捧げてきた父アハロン.。田舎町で2人だけの世界を楽しんできた。アハロンは、グラフィックデザイナーとして地位を築いていたのだが、大きな仕事を目の前に、息子の為に全てを捨てて二人の生活を築いたのだった。
しかし、別居中の妻タマラは自閉症スペクトラムを抱える息子の将来を心配し、全寮制の支援施設への入所を決める。定収入のないアハロンは養育不適合と判断され、裁判所の決定に従うしかなかった。アハロンは、心配ながらも、ウリに施設へ入る事を教え、良く言い聞かせて入所日を待つ。
入所の日、施設への移動途中で、ウリは大好きな父との別れにパニックを起こしてしまう。誤魔化しながら、先へ進もうとするが、どうしてもウリは行くのは嫌だと言い出す。そこでアハロンは決意した。息子は自分が守ろうと。そして、方向転換しホテルに泊まるのだが、ウリの口座が凍結されており、お金が無い。タマラが凍結したのだろう。困ったアハロンは、友人の家へ向かう事にする。自宅に帰れば、タマラがやってきて、ウリを無理やりにでも入所させてしまうだろうからだ。
友人の家で少し休み、今度はアハロンの弟の所へ向かうが、ウリを施設にいれた方が良いと説得され、そこにもいられなくなる。彷徨った挙句、海辺で休んでウトウトしていると・・・。後は、映画を観て下さいね。
いやぁ、この映画、良い作品でした。どうなっちゃうんだろうと、途中で心配で心配で、ドキドキしちゃうんだけど、最後、感動しました。題名で判ると思うけど、自閉症スペクトラム障害のウリという息子を旅立たせるまでを描いている映画です。
父親のアハロンは、息子の為に自分の全てを捨てて、尽くしてきたんです。有名なデザイナーだったようですが、その仕事を捨てて、息子のウリといつも一緒にいることを選んだんです。勇気のいる選択だと思いました。でも、果たしてそうすることが良かったのか、それは解りません。私は、家族だけではなく、他人とも関われるようにしてあげるのが、その子の為じゃないかなと思いました。彼の妻のタマラと同じ考えです。
もちろん、ウリはお父さんと一緒にいるのが楽しいし、いつも変わらない生活を続けて行けるのは安心なのだと思いますが、いつまでも同じように出来るとは限らないし、それこそ父親がいなくなった時、ウリはどうしたら良いのか、その方が可哀想ですよ。だから、普段から他人と関わらせた方が良かったのですが、アハロンは責任感が強く、息子も可愛いので、子離れが出来ないんです。
そして、いざ、外に出て、息子と二人だけで生きて行こうとやってみると、お金も無いし、頼る人も居ないと言う事を実感するんです。そりゃそうよ。息子と二人だけの生活を続けていたのでは、人との関わりも減ってしまうし、仕事をしていないんだから、お金も無いですよね。そんな事、解っていたハズなのに、解ってなかったのよねぇ。
凄く責任感の強い父親だと思いました。周りからは甘やかしているように見えるかもしれないけど、自分の息子だから、自分が全て責任を持たなければという使命感のようなものがあり、アハロンは必死なんです。息子が苦しむ姿は見たくないし、苦しませちゃいけないと思っているのだと思いました。
それくらい、息子を大切にしているのですが、妻のタマラは、もう成人になるのだから、手を放して、自分で生きて行けるようにしてやらなければと思っているんです。それも、大きな愛ですよね。親の方が普通なら先に死ぬのだから、その後、息子が一人で生きて行けるように、道筋を作ってあげておかなければいけません。それも親の責任ですから。
本当に、ご両親の心配が良く伝わってきました。アハロンもタマラも、自分の息子のためを思っているんです。でも、意見が食い違ってしまう。難しい問題ですよね。二人とも、同じように、しあわせになって欲しいと考えているのに。
障害を持った子供を育てるのは、考えているよりも大変そうだと思いました。いつまでも子供のような息子が可愛いと感じられるのは幸せかもしれませんが、予期出来ない事が起こるとパニクってしまうので、大人になればなるほど力も強くなり、押さえるのが大変だろうと思いました。親が年を取ったら、やはり他人の力を借りるべきだと思います。暴れて、誰かを傷つけたりしてしまったら大変ですからね。
穏やかに旅をしている姿は、本当に素敵な親子でした。羨ましいくらい仲が良くて、何をするにも一緒にするというのが可愛かったです。最後がとっても良いのですが、ネタバレ厳禁なので、お楽しみに取っておいてください。本当に感動でした。
色々あるけど、こういうもんなんですよ。鳥を放す時も、スッと飛びだってしまいますもんね。旅立たせる時は、何とも言えない感動が心に湧き上がってくるんです。素晴らしかったです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。感動作でした。良い映画だったなぁ。親離れ、子離れというものを、この映画で俯瞰して観てみてください。人の姿を見て、自分の事も考えてみようかなって思える映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「旅立つ息子へ」