「ミナリ」親の背中を見て子どもは育つから、どんなに辛くても頑張るお父さんって本当に凄いと思う。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ミナリ」をオンライン試写会にて観ました。Fan's Voice(@fansvoicejp)独占最速オンライン試写会に当選したんです。

 

ストーリーは、

農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見いだす。やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャも加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり・・・。

というお話です。

 

 

1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブ一家は、アメリカのカリフォルニアからアーカンソー州の農村部に引っ越してきます。ジェイコブは新しい土地で農作物を栽培し、ダラスの韓国系バイヤーに売ろうと考えていました。移民が増えて、韓国野菜も売れると思ったのです。

新しい土地に着くと、そこには荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスがありました。妻のモニカは約束と違うと怒り、心臓病の息子デヴィッドもいるのにどうするのとジェイコブを責めますが、この土地は豊で農作物が良く育つからと、話を聞いてくれません。



 

ジェイコブとモニカは、農業が起動に乗るまで、近くの孵化場でひよこの性別判定の仕事を始めます。そこには韓国系の移民も多いのですが、あまり仲が良さそうではありませんでした。そして、二人が働いている間、子どもたちの面倒を見るために、モニカの母スンジャが韓国からやってきます。

スンジャは、長女アンと弟のデヴィッドの面倒をみながら近所を散策し、心臓の弱いデヴィッドが禁止されている場所にまで連れて行ってしまいます。そこには小川が流れており、韓国から持ってきた「ミナリ(セリ)」の種が育ちそうだと植えてみます。それまで、祖母を嫌っていたデヴィッドですが、段々と祖母と仲良くなっていきます。



 

ジェイコブは農作物の栽培に力を入れますが、新しく掘った井戸は枯れて水道水を使うしかなくなり、収穫が出来て納入しようとすると、突然にダラスのベンダーが注文をキャンセルしてしまいます。水道代もかかり、その上、注文キャンセルになり、手詰まりになって行くジェイコブ。

モニカは最初からカリフォルニアに帰ろうと言っているのですが、ジェイコブは成功する姿を子どもに見せるまでは辞めないと意地を張っており、一家は窮地に立たされていきます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画は、家族の大切さを描いているような気がしました。家族って、色々あるじゃないですか。お父さんが引っ越しするぞって言うと、仕方なくみんな付いて行ったりするでしょ。最近は単身赴任とかあるけど、昔は、家族は一緒に生活するのが当たり前で、このジェイコブの家族もそうなんです。そして、ジェイコブは、自分が頑張って成功する姿を子どもに見せたいと思っているんです。親になったら、きっと、誰もがそんな望みを抱きますよね。

 

妻のモニカは現実的で、夢のような事を言っている夫をたしなめて、面白味は無いけど、安定した生活に戻りましょうと何度も言うんです。母親になると、守ろうという気持ちが強くなるので、こういう考えになりますよ。私も、無理に農業なんて始めない方が良いと思うぞ~って思ったもん。そしてやっぱり簡単に上手くは行きません。そりゃそうよね。

 

 

そんな所に、モニカの母親のスンジャが韓国からやってきます。英語が話せないので、孫たちとのコミュニケーションがギクシャクしたりして、孫のデイヴィッドにちょっと嫌われちゃうんです。だってね、韓国から苦い漢方薬を持ってきて、心臓病のデイヴィッドに無理やり飲めって言うんです。子どもには辛いよね。でも、これがきっと、後々、効いてきたんじゃないかな。

 

この孫息子と祖母の関係って、凄く不思議な感じに見えました。スンジャがデイヴィッドの事を思い、色々な事をする度に、デイヴィッドの悪い所をスンジャが引受けて行くように見えたんです。煉獄さんの「後輩の盾となるのは当然だ」という言葉と同じように、年配者なら若者の楯となり、全てを引き受けていくのが当然だと言わんばかりに、祖母がオネショなどを引受けて行くんです。デイヴィッドはその分、強くなり、成長していく。そして家族は、そんな祖母を大切に包んでいくという感じが、とっても良かったです。

 

 

自分の国ではないところで暮らすのって、凄く大変なんだろうと思うんです。もちろん差別はあるだろうし、考え方も違い、風習も違うから、生活習慣を新しい国に合わせようとするのだろうけど、そう簡単に出来るものではありません。そりゃ、凄い努力が必要だったと思います。でも、夢があるからこそ、それが続けられる訳で、それがジェイコブにとっては、子どもに成功する姿を見せるというものだったのだと思います。

 

そしてそんな努力を見せる父親を息子のデイヴィッドがずっと見ているんです。失敗も、母親との喧嘩も、ジェイコブは見せないようにしているつもりでも、ちゃんと息子は観ているんですよ。そして、沢山の事を学んでいくんです。どんな困難にぶつかっても、立ち上がって前に進もうとする姿を、ちゃんと息子は見つめて、受け取っているんです。それが、良く描かれていました。

 

 

”ミナリ”とは、「芹」のことです。冬に鍋に入れますよね。公式HPに書いてあったのですが、セリって、2度目の旬の方が美味しいんだそうです。なので、移民の方々も、最初は苦労してゴツゴツした味かもしれないけど、その子供世代になると、親の姿を見ているので、良い味を出せるという事を表しているそうです。沢山の事を学びますからね。そんなことを伝えてくれる映画でした。

 

これ、蛇足かもしれませんが、アメリカに韓国の”セリの種”を勝手に持って行って植えちゃったら、外来種が増えて大変なことになっちゃうよぉ~!そういう事をやるから、日本にもアメリカザリガニが増えちゃったし、川や湖に外来種の熱帯魚とかがいるようになっちゃったんだよっ!美味しいのは解るけど、ちゃんと種が他に出て行かないように管理しなくちゃ。きっと、韓国種のセリが、アメリカの植物と混ざって、変な事になっちゃうと思います。本当に、こういう勝手な事は止めようね。(笑)

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、きっと明日になると、もっとジーンと感動が大きくなっていくんじゃないかなって言うような映画でした。今のところ、超!1個だけど、2個くらいにはなると思います。日本では、3月19日に公開です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : 昨日書いた”藁にもすがる獣たち”にも、スンジャ役のユン・ヨジョンさんが出演されていました。韓国の国民的女優さんですね。

 

 

「ミナリ」