「ある人質 生還までの398日」実話を元に作られた衝撃作でした。残酷な動画の裏であった事です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ある人質 生還までの398日」を観てきました。

 

ストーリーは、

怪我で体操選手の道を断念し、ずっと夢だった写真家に転身したダニエル。戦争の中の日常を撮影し、世界に伝える思いを抱き、24歳のダニエルはシリアの非戦闘地域を訪れた。しかし、現地の情勢が変わり、ISに誘拐されたダニエルは拷問と飢えに苦しみ、地獄の日々を送ることとなる。ダニエルの家族は要求された巨額の身代金を用意するために奔走するが、犯人側はさらなる要求を突きつけ、家族たちに追い打ちをかける。

というお話です。

 

 

ダニエル・リューは、デンマーク体操チームのメンバーだったが負傷して選手生命を絶たれたため、ずっと夢だった写真家になることを決意。コペンハーゲンで恋人シーネとの新生活も始めた。戦場カメラマンの助手として訪れたソマリアで、サッカーをする子供たちの生き生きとした表情をカメラで捉えたとき、ダニエルは戦争の中の日常を記録することこそ自分のやりたいことだと確信。そのための撮影旅行先として選んだのは、シリアだった。

戦闘地域へは行かないと聞き、家族は安心してダニエルを送り出した。だが、トルコとの国境付近の町アザズで撮影中、ダニエルは突然、男たちに拉致された。同行のガイドが用意した自由シリア軍の許可証も警護の兵士も役に立たなかった。支配勢力が替わったのだ。アレッポへ移送され、拷問されたダニエルは、一度は高い窓から飛び下りて逃げたものの住民に通報され、連れ戻されてしまう。

ダニエルが予定の便で帰国しなかったため、家族は彼が置いていった連絡先に電話をかけた。人質救出の専門家、アートゥアだ。捜索を始めたアートゥアは誘拐犯を突き止め、その男、アブ・スハイブに接触した。要求された身代金は70万ドル。テロリストと交渉しない方針のデンマーク政府からは支援を期待できないため、家族が全額用意するしかない。



 

ダニエルはさらにラッカへ移送された。そこには様々な国のジャーナリストや支援活動家が拘束されていた。体調を崩していたダニエルは、ふたりのフランス人に親切にしてもらう。監視役の覆面のイギリス人4人を、人質たちはビートルズと呼んでいたが、狂暴な4人の中でも “ジョン”が最悪だという。

家族は犯人側から送られてきたダニエルの写真を見て、変わり果てた姿に衝撃を受けた。家を担保にするなどしても、やっと25万ドルしか用意できなかった家族は、やむなくその金額を提示した。すると犯人側は激怒し、身代金を一気に200万ユーロに引き上げてきた。怒りはダニエルにも向けられた。殺された人質の遺体を前に、天井から吊るされて鞭打たれたダニエルは、苦痛と絶望から自殺を図ったが、一命を取りとめた。

200万ユーロを用意するため、姉アニタの提案で、家族は募金活動を開始。マスコミに知られず、しかも違法にならない方法でデンマーク中の企業や団体に協力を求めていく。

ダニエルたちのもとに、新たにジェームズ・フォーリーという人質が加わった。実はアートゥアが以前から捜していたアメリカ人ジャーナリストだ。明るく前向きなジェームズは、みんなのために服や薬を要求し、屈辱的なロバの真似を強いられているダニエルには、拒否するようアドバイス。ダニエルは、「旅をして現地の様子を伝えることが生きがいだ」と語るジェームズと意気投合する。



 

アートゥアは、シリア人協力者を通じてダニエルの生存を現地で確認し、収容先も特定。その後、ジェームズもそこにいることを知った。だが、その情報を共有したアメリカ軍が急襲する直前に、犯人側はそこを引き払ってしまう。


ダニエルたちはオレンジ色の囚人服に着替えさせられ、砂漠に掘られた穴の前に並ばされた。穴の中には、食事中に騒ぎを起こしたコソボ出身のアレクセイがいた。“ジョン”はアレクセイを射殺すると、恐怖に震えるダニエルを遺体のそばに座らせ、撮影用のメッセージを掲げさせた。「48時間以内に200万ユーロを払え」と。

厳しい要求を突き付けられ、絶望しそうになる家族。そんな中、母スサネはある人物に一縷の望みをかける。果たして家族は目標額を達成できるのか? ダニエルの、そしてジェームズら他の人質たちの運命は……?(公式HPより)後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、凄い映画でした。138分の大作で、本当に恐ろしい作品でした。この作品は、実際に2013年~2014年に、398日間に渡りIS(イスラム国)の人質となり、奇跡的に生還したデンマーク人写真家ダニエル・リューの実話が元となっています。ドキュメンタリーではないので、ある程度の脚色はあるにしても、過酷な体験をした方の話が元になっているので、実際の出来事に近いと思われます。

 

ダニエルは、戦闘地域に入った訳ではないんです。紛争地域の近くの小さな町に行き、もちろんその地帯を支配している組織の許可証も貰ってから、撮影に行っているんです。でも、この頃は、勢力図が入れ替わる時期だったようで、運悪く、人質となってしまったようでした。

 

この頃って確か、アルカイダのウサマ・ビン・ラディンが死んだとか死なないとかでアルカイダが分散し、イスラム国と名乗った組織が活発に活動し始めた時期だったと思います。日本人も人質となって、残酷な動画などが話題になった時期じゃなかったかしら。一般人が見れる動画に、人殺しの動画を上げていたのですから、驚きますよね。あの頃に、身代金を払って、救出することが出来たのですから、本当に運が良かったと思います。

 

 

ダニエルは、全くの一般人写真家なのに、拷問を受けてCIAなんだろうとか尋問され、無理やりに同意させられたりしていたようです。イスラム国としては、スパイだから拘束したという表向きの理由をつけて、身代金目当てだけだったと思います。でも、その金額が莫大で、一般人が直ぐに用意出来る金額ではないんです。

 

最初、ダニエルの身代金は70万ユーロ(9000万円位)なんです。個人で用意出来る金額ではないですよね。でも、デンマーク政府は、身代金要求には一切応じないという体制を取っているので、全く助けてくれません。払うのは個人の自由ですというだけなんです。ダニエルの家族は必死でお金をかき集めても25万ユーロ(3200万円位)しか集められず、それで交渉して貰うことにすると、イスラム国は怒ってしまい、今度は200万ユーロ(2億5600万円位)と言ってくるんです。どう考えても無理でしょ。個人では無理と判断したダニエルの姉が、デンマーク中の企業や個人資産家などに連絡をして、身代金の寄付を募るんです。イスラム国はマスコミにバラしたら殺すと言っていたので、どうやって身代金という事を隠して寄付を募ったのか解からないのですが、必死でかき集めるんです。

 

 

もちろん簡単には集まりません。銀行に頼んでも融資は受けられず、難しい局面まで行くのですが、後は、映画を観て下さい。誰かを説得して、何とか救出に持って行くんです。うーん、凄かった。

 

それにしても、生々しい映画でした。もちろん、イスラム国だって、資金を集めなければ活動が出来ないし、武器も手に入れられないので、必死で人質を利用してお金を得ようとしますよね。カメラマンなどは、一番標的にしやすかったのだと思います。この時期に、沢山のカメラマンなどが拘束され、殺されたようです。エンディングの前に、実際の犠牲者の数などが出ましたが、凄い数でした。でも、自己責任とは言いたくないけど、危ないと言っているのに行くんだから、危険は承知していたんですよね。もし、上手くすり抜けて写真を撮ってこれれば、高額で売れる訳ですから、綺麗事を言いながらも一攫千金を狙っているんですよね。賞を取って名前が売れれば、安泰になる訳ですから。

 

イスラム国は、人質を取って身代金要求をしていたけど、一応、人質を殺さない程度に食料を与えて、清潔にさせていたように思いました。死んでしまったら要求出来ないので、そこら辺はちゃんと管理をしているように見えました。

 

 

この映画の中で気になったのは、イスラム国の兵士たちがイギリス人だった事です。トルコとかイラン、イラク人ではないのに驚きました。私は、あまり詳しくないのですが、イギリスで暮らしていたイスラム教徒がイスラム国に賛同したということなのかしら。その辺りは、イマイチ、解りませんでした。イギリス人なのに、どうしてそんなに残酷な事をするのか、自分の国の為というなら解るけど、そうではないので、理解に苦しみました。そういうものなのかしら。

 

この映画、色々と考えさせられる内容でした。結構、衝撃をうけた作品です。今まで、自己責任とかって思う事もあったけど、この映画を観ると、誰でももしかしたらこんな事になってしまう事があるのかもしれないと思えて、恐ろしくなりました。だって彼は、戦地に行ったわけではないんですから。確かに紛争地域の近くだけど、許可も取って、危なくない所にわざわざ行ったのに、人質にされてしまうなんて、恐ろしいです。今、ミャンマーでも軍事政権がクーデターを起こしましたが、観光していて突然に朝起きたら戦車が目の前を走っていたなんてなる事もあるんでしょ。本当に何があるのか解りません。日本が良いけど、地震が起きる事もあるし、何が起きても強く生きる意志を持つことが大切ですね。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。普通に生きていても、人質になってしまう事もあるんだという恐ろしい事実と、何が起きるのか、どうなるのかという事が詳細に描かれているので、考えさせられると思います。そして、ニュースで見ていたアルカイダやイスラム国、そして残酷な動画が出ていたあの頃、こんな事も起こっていたのだという事も知っても良いのではないかなと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ある人質 生還までの398日」