「すばらしき世界」心が綺麗すぎる人は犯罪者になってしまうのかもしれない。どこかで妥協しなければ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「すばらしき世界」を観てきました。

 

ストーリーは、

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、保護司・庄司夫妻の助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、テレビディレクターの男とプロデューサーの女が近づいてくる。彼らの真の目的は、社会に適応しようとあがく三上の姿を番組で面白おかしく紹介することだった。まっすぐ過ぎる性格であるが故にトラブルの絶えない三上だったが、彼の周囲にはその無垢な心に感化された人々が集まってくる。

というお話です。

 

 

冬の旭川刑務所でひとりの受刑者が刑期を終えた。刑務官に見送られてバスに乗ったその男、三上正夫は上京し、身元引受人の弁護士、庄司とその妻、敦子に迎えられる。


その頃、テレビの制作会社を辞めたばかりで小説家を志す青年、津乃田のもとに、やり手のTVプロデューサー、吉澤から仕事の依頼が届いていた。取材対象は三上。吉澤は前科者の三上が心を入れ替えて社会に復帰し、生き別れた母親と涙ながらに再会するというストーリーを思い描き、感動のドキュメンタリー番組に仕立てたいと考えていた。生活が苦しい津乃田はその依頼を請け負う。しかし、この取材には大きな問題があった。


三上はまぎれもない“元殺人犯”なのだ。津乃田は表紙に“身分帳”と書かれたノートに目を通した。身分帳とは、刑務所の受刑者の経歴を事細かに記した個人台帳のようなもの。三上が自分の身分帳を書き写したそのノートには、彼の生い立ちや犯罪歴などが几帳面な文字でびっしりと綴られていた。人生の大半を刑務所で過ごしてきた三上の壮絶な過去に、津乃田は嫌な寒気を覚えた。

 


 

後日、津乃田は三上のもとへと訪れる。戦々恐々としていた津乃田だったのだが、元殺人犯らしからぬ人懐こい笑みを浮かべる三上に温かく迎え入れられたことに戸惑いながらも、取材依頼を打診する。三上は取材を受ける代わりに、人捜しの番組で消息不明の母親を見つけてもらうことを望んでいた。


下町のおんぼろアパートの2階角部屋で、今度こそカタギになると胸に誓った三上の新生活がスタートした。ところが職探しはままならず、ケースワーカーの井口や津乃田の助言を受けた三上は、運転手になろうと思い立つ。しかし、服役中に失効した免許証をゼロから取り直さなくてはならないと女性警察官からすげなく告げられ、激高して声を荒げてしまう。

 


 

さらにスーパーマーケットへ買い出しに出かけた三上は、店長の松本から万引きの疑いをかけられ、またも怒りの感情を制御できない悪癖が頭をもたげる。しかし三上の真っ直ぐな人間味に気付いた松本は一転して、車の免許を取れば仕事を紹介すると三上の背中を押す。やる気満々で教習所に通い始める三上だったが、その運転ぶりは指導教官が呆れるほど荒っぽいものだった。


その夜、津乃田と吉澤が三上を焼き肉屋へ連れ出す。教習所に通い続ける金もないと嘆く三上に、吉澤が番組の意義を説く。「三上さんが壁にぶつかったり、トラップにかかりながらも更生していく姿を全国放送で流したら、視聴者には新鮮な発見や感動があると思うんです。社会のレールから外れた人が、今ほど生きづらい世の中はないから」。その帰り道、衝撃的な事件が起こる。(公式HPより)後は、映画を観て下さいね。


 

西川監督が役所広司さんを撮ったら、そりゃ、凄い映画になるだろうと思っていたら、その通り、やっぱり凄い映画になっていました。

刑務所から出てきた三上。カッとなりやすいタイプみたいで、刑務所の中でもゴタゴタを起こして、13年も入っていたようです。彼の罪状は殺人。ヤクザの若いのが、妻の店に踏み込んできて、格闘の末に、相手が持ってきた日本刀で何度も刺して殺したようです。正当防衛を主張したんだけど、検察の罠にはまり、つい言ってしまった一言が殺す意志在りと判断されて、殺人罪になってしまったんです。

 

刑務所を出て、身元引受人の庄司の所へ行き、そこから再出発を始めるんです。アパートを借りて、仕事を探すのですが、もちろん元殺人犯に簡単に仕事なんて見つかる訳がありません。お金も無く、仕方なく生活保護を受けるしかないとなり、庄司とケースワーカーの所に行くんです。三上は生活保護なんて受けたくないと言うのですが、そう簡単に仕事は見つからないから、まず生活保護を受けて生活することに慣れないとと庄司に言われて生活保護を受けることになります。

 

 

こういう人が生活保護を受けるのは仕方がない事だと思うんです。だって、怠けているんじゃなくて、本当に仕事が無いんですから。三上があまりにもバカ正直なので、可哀想になりました。生きる為には働いて、報酬を貰わなければいけないと心から思っているんです。人様からお金を貰うなんてみっともない事は嫌だと考えているんです。とっても正直で正常な考え方だと思うけど、いまどき正直な人って少ないからね。

 

こういう人ばかりなら、それは助けてあげなくちゃと思うけど、生活保護をうけて、昼から酒を飲んでパチンコ屋に行っている人間は保護したくないよね。保護費を払うなら、それなりの社会奉仕をさせることにしなくちゃ。街の掃除とか、横断歩道の見守りとか、何だってあるじゃない。日本の制度がおかしいと思うのは私だけなのでしょうか。

 

 

話しを戻して、そんな風に生活を始めた三上は、子供の頃に自分を施設に預けた母親を探して貰おうとTV局に自分の経歴を書いたノートを送ります。そしてTVディレクターの津乃田が三上を訪ねてきます。最初は怖がっているんだけど、三上があまりにも正直者で普通のオッサンだったので、安心して取材を始めるのですが、ある時、三上がキレる場面を目の当たりにして、逃げ出してしまいます。

 

三上はキレてしまうと、頭に血が上って、見境が無くなってしまうんです。それが殺人に繋がったんだけど、これって脳の障害とか、精神的な障害とか何かあると思うんですよね。病院で診てもらえばよいのにと思いました。血圧が高くて治療が必要で薬を貰っていたんだから、脳や精神科でも診て貰えば良かったのに。そうすれば、カッとなってしまうのを抑えられて、それに伴い、血圧が一気に上がる事も無くなって、健康的だったと思うんだけどな。何事も、総合的に診て貰わないとねぇ。

 

そんな三上なので、段々と周りにいる人たちも、こいつバカ正直な奴だなぁと感じて、彼の事を親身になって考えてくれるようになるんです。なんか、こんなオジサンがいたら、しょうがないなぁって思って、世話したくなっちゃう気持ち解ります。私もうんうんって思うような場面、幾つもありましたもん。みんな、良い人達で優しいんです。

 

 

でも、みんな、良い人達なんだけど、神様じゃないからね。どうしてもストレスがあったりして、少し悪口を言ってしまったり、軽口を叩いてしまったり、弱い者虐めをしてしまったり。悪気が無い行動でも傷つく人って沢山いて、後から気が付いてごめんなさいと言っても、もう、遅い事ってあるんです。謝っても、もう口から出てしまった言葉は戻らないんです。辛いですよね。私も、何度も後悔するようなことがあります。言わなきゃ良かったと思うけど、どうしようもない。もう、一度言ってしまったら、何十回も挽回をすることをしなければ、その人との関係は戻らないんです。悪気は無くても、傷つけた事実は消えないんです。ホント、人間の世の中って、素晴らしい面もあるけど、残酷な面も同時に存在してしまう。仕方がないけど、やりきれないですよね。

 

そんな事を描いている映画でした。心にグッとくる内容で、観た後に考えさせられる内容です。先日観た「ヤクザと家族」という映画のように、ヤクザの世界が変わってしまった事も描いていました。元ヤクザでは、社会で生きて行くのは大変なんです。うーん、役所さん、素晴らしかった。それに呼応するように、仲野太賀さんが素晴らしかったです。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。最近、本当に良い映画が多くて、感動しまくりです。役所さん、「孤狼の血」でもヤクザのような刑事を演じていらして、最近、こういう荒っぽい役が多いですね。とっても素敵なのですが、私、役所さんの悪徳政治家の姿が観てみたいなぁ。素晴らしい政治家のように見えていて、裏で悪い事してたり、お金貰ったりしていて、バレそうになって追い詰められていくとか面白そう。最後は身体を壊したって事で入院して逃げるとか、やって欲しいな。スーツでビシッとしたカッコいい政治家と、病院に逃げ込んでベロ出してる政治家の二面を役所さんなら楽しく演じてくれそう。(笑)なんか、役所さんが素敵だったので、また彼の映画が観たいなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「すばらしき世界」