「プラットフォーム」残酷な内容の底に聖書の教えが刻み込まれています。キリスト教を知ってから観て。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「プラットフォーム」を観てきました。

 

ストーリーは、

ゴレンは目が覚めると「48階層」にいた。そこは遥か下まで伸びる塔のような建物で、上下の階層は部屋の中央にある穴でつながっており、上の階層から「プラットフォーム」と呼ばれる巨大な台座に乗せられて食事が運ばれてくる。食事は上にいる人々の残飯だが、ここにはそれしか食べ物はない。各階層には2人の人間がおり、ゴレンは同じ階層にいた男・トリマカシから、1カ月ごとに階層が入れ替わること、食事を摂れるのはプラットフォームが自分の階層にある間だけ、というルールを聞かされる。そして・・・。

というお話です。

 

 

ある日、ゴレンは目が覚めると「48」階層にいた。部屋の真ん中に穴があいた階層が遥か下の方にまで伸びる塔のような建物の中、上の階層から順に食事が"プラットフォーム"と呼ばれる巨大な台座に乗って運ばれてくる。上からの残飯だが、ここでの食事はそこから摂るしかないのだ。同じ階層にいた、この建物のベテランの老人・トリマカシからここでのルールを聞かされる。

ゴレンがここに来たのは、ここでの仕事を無事に終えられれば”ある認定”を貰えると聞いたからだった。ゴレンは契約期間を何とかここで過ごして、外へ出たら自分の希望が叶うと信じて、ここへ来たのだった。何か1品だけ持ち込むことが許され、ゴレンは本を1冊持ち込んだのだった。



 

「48」階層でのトリマカシとの生活を続ける間、上から人が落ちてきたり、プラットフォームに乗ってきた女性もいた。この女性は子供を探しているらしく、何度も上から下りてきているという。彼女は危険な目に遭っても、相手を殺して、生き延びて探しているらしい。

そして1ヶ月後、階層の入替えを行う為にガスが流され、参加者は全て眠らされる。ゴレンが目を覚ますと、そこは「171」階層だった。何故かベッドに縛り付けられて身動きが取れなくなっている。誰がやったのか。部屋を見回そうとすると、目の前にトリマカシが現れ、手にナイフを持っている。彼が1つ持ち込んだのはナイフだった。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、凄かった・・・。久しぶりに、超ドキドキして、目を背けるシーンが何度もありました。このタイプは「CUBE」以来、時々作られていますよね。不条理で、目的も解らず、5W1H(何時、何処で、誰が、何を、何故、どのように)を完璧に無視した内容で、私は、キャ~!と思いながらも指の間から観ているような、そんな感じで楽しんできました。

 

主人公のゴレンは、自分から望んでここに入ってきます。でも、内容が何かは、全く知りませんでした。この世界での、何かの認定が貰えるから来たようで、この仕事というか、実験に参加して、無事に帰れば、その認定で良い暮らしが出来るということなのかなと思います。

 

ゴレンが入ってみると、同じ階層にいたトリマカシは、1つ持ち込める物としてナイフを持ってきているし、上から降りてきた残飯を食べろと言われるし、ふと気が付くと、上から人が降ってきたり、下の階では人殺しをしていたりと、とんでもない世界なんです。自分は、1つ持ち込んだのは「ドン・キホーテ」の本だけ。何とも、呑気な奴だなぁと思われていました。でも、この本が「ドン・キホーテ」なのも重要なんですけどね。

 

 

でも、普通、何か月か閉じこめられるという内容を聞いただけで、危険を感じ取ってナイフを持ち込むなんて、無いですよね。このトリマカシという人物が、どんな人生を歩んできた人なのかは分かりませんが、持っていたナイフは、日本で言う包丁で”サムライ・ソード”って言ったかしら。悪魔的でしょ。

 

映画の中で、聖書・ヨハネによる福音書の6章54節の「私の肉を食べ、私の血を飲む者には、永遠の命があり、私はその人を終りの日に蘇らせるであろう。」という言葉が使われています。これ聖書の解釈としては、イエスは人の罪を背負って磔になりますが、"彼の教え=肉と血"を信じている人は、信仰を伝えることにより永遠の命を得るということなんです。この映画では、言葉をそのまま描いていて、マジで、肉を食べ、血を飲んでいます。ちょっと残酷ですが、この聖書の言葉は、この後のストーリーに関しても、重要になってきます。

 

この後に現れて来る女性が連れている犬がいるのですが、その犬の名前が「ラムセス2世」なんです。エジプトの偉大な王として有名ですが、犬にその名前をつけるという事で、その女性も知的な女性で、このシステムを正したいと思っているんです。この女性の動きも見逃せません。

 

 

もう一人、綱で上に上がろうとする男性がいます。まるで芥川の”蜘蛛の糸”のようです、やっぱり落とされますが、ちゃんとゴレンが助けます。この男性との絡みがとても重要となってきます。またも、聖書の言葉がここかしこに関係していて、スペイン映画ならではの、カトリック的なキリスト教の教えを伝えながら、ストーリーを進めている事に気が付きます。

 

ゴレンは、まるで新約聖書のペテロのように、最初は理性を保ち、絶対に酷いことはしないと思っているのですが、追い詰められて、結局は、「鳥が鳴く前に3回私を知らないという。」という言葉のように、残飯を食べ始め、他のモノにも手を付けて、罪を犯して行きます。もう信仰から目を逸らしているんですね。でも、ある人が十字架ではありませんが、首を吊る場面があります。その姿を見た後、人の為に働く者を見て、考えを改め、正しい道に戻ります。もう、ガッツリとキリスト教をなぞっていて、唸りました。

 

最後に、ここはネタバレとなります。観ていなくて、知りたくない方は飛ばして欲しいのですが、この事は、観る前に知っていた方が面白いと思います。

 

 

この建物の階層は、333階層あります。何故、333なのかは解りますよね。1階層に2人づつ振り分けられているので、666人の人間がこの建物の中に収容されているのです。皆さま、ご存じの悪魔の数字です。この建物は、人間の欲望、罪、全てを呑み込んだ、悪魔のタワーなんです。このタワーを倒して、神の世を迎える為のお話なんですね。ハルマゲドンです。深いでしょ~。という結論に達した私でした。

 

観ている最中は聖書の事を深く考える間もなく、どんどん進んで行き、衝撃的なシーンの連続で頭がぐちゃぐちゃになりましたが、観た後に、出てきた聖書の引用などを考え始めたら、全てが聖書に繋がっていったんです。いやぁ、やっぱり洋画を観るには、キリスト教の事を頭に入れながら観ないと、理解が難しいですね。最初に、ゴレンにトリマカシがリンゴを投げた時に気が付かなきゃいけなかったんだけど、そこまで頭が回らなかったのよ。(笑)

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。但し、出来れば、私のブログのネタバレ部分も読んで、理解してから観に行った方が良いのではないかなと思います。キリスト教や聖書の教えを知らずに観ても、ただ、残酷な映画を観ているような気持ちになってしまうような気がしました。聖書の教えを描いていると判れば、残酷な場面でも、少し我慢が出来るんじゃないかな。きっと、もっと細かく観れば、聖書に沿って描いている部分があると思います。1回観ただけじゃ、全部理解が出来ないのよ。(笑)ネトフリの映画だから、きっと、もうすぐネトフリで観れるようになると思うので、そしたら、また観て、解明をしたいと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「プラットフォーム」

 

 

 

 

映画の中の階層にも、このクッション置いてあげたい。(笑)

 

彼らもこんなキレイなシーツで寝せてあげたい。(笑)