「Swallow スワロウ」何かを呑み込むことで不安を解消し幸せな気持ちになれるのは何故? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「Swallow スワロウ」を観てきました。

 

ストーリーは、

ニューヨーク郊外の邸宅で、誰もがうらやむような暮らしを手に入れたハンター。しかし、まともに話を聞いてくれない夫や、彼女を蔑ろにする義父母の存在など、彼女を取り巻く日常は孤独で息苦しいものだった。そんな中、ハンターの妊娠が発覚し、夫と義父母は待望の第一子に歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていった。ある日、ふとしたことからガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは、ガラス玉を口に入れて飲み込んでしまう。そこでハンターが痛みとともに感じたのは、得も言われぬ充足感と快楽だった。異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは、さらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられていく。

というお話です。

 

 

有名企業の後継ぎである完璧な夫、義父母が購入してくれた美しいニューヨーク郊外の邸宅、ハンターは誰もが羨む暮らしを手に入れた。夫はいつもハンターを愛していると言ってくれるが、彼女の話を真剣に聞くことは無い。その育ちの良さから、少しハンターを下に見ている感じなのだ。構ってくれない夫に不満が募りながらも、この生活を捨てたくないという気持ちがあり、何も訴えることが出来ない。

義父母も、ハンターを都合の良い嫁くらいにしか考えておらず、夫の言う事を聞かないようならいつでも追い出せばよいくらいで、全く相手にしていなかった。



 

そんなある日、ハンターの妊娠が発覚する。待望の第一子を授かり歓喜の声をあげる夫と義父母。彼らはハンターではなく、お腹の中の子供を見ているのだった。どんどん孤独感が増して行くハンターは、ふとしたことから、目の前にあったガラス玉を口に入れてみる。そして何となくガラス玉を飲んでみると、痛みと共に得も言われぬ充足感と快楽を感じ、心がスッとしたのだった。

その日から、何となく目に入ったものを口にいれ吞み込むようになったハンターは、時には危険な針やドライバーなども口に入れ始める。

病院の妊娠診断でエコー検査をすると、お腹に異物が入っている事を発見され、直ぐに緊急手術を行い、異物をお腹から出してもらう。あまりにも危ないものが出てきて、夫も義父母も大騒ぎをし、ハンターはいつも見はられるようになってしまうのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、じりじりする映画だったぁ~!うーん、面白かった。これは、好き嫌いが分かれるだろうなぁ。私は、こういう感じ、大好きなんですけどね。なんか、じりじりと病んでいくという姿が解かる解かる~って感じで、楽しいんですもん。それに、玉の輿に乗ったと思ったけど、やっぱ辛いわって姿がとっても良く描かれていて、嬉しくなっちゃったんです。

 

主人公のハンターは玉の輿にのって、大会社の社長御曹司と結婚します。彼女の生い立ちは、最後の方で判ってくるんだけど、酷い家庭で、母親はハンターを嫌っているみたいでした。だから、愛の無い家庭にそだったので、こんな男が素晴らしいと思っちゃったのかもしれません。この夫は、”愛してる”とか口だけは達者なんだけど、心は無いんです。彼女を自分が買った人形くらいにしか思っていないんです。それでもきっと、ハンターは愛してると言ってくれる彼が好きになったんだと思いました。

 

 

最初は、そんなんでも良かったんだと思うけど、それが段々と息苦しくなっていくんです。義父母から素晴らしい立地の豪邸を貰い、朝、夫を送り出して、何となくぼんやりして、帰ってきたら夕食を作って出すだけの生活。友達も無くて、一人ぼっちなんです。たとえ友達がいたとしても、レベルが違い過ぎて呼べなかったんじゃないかな。まぁ、でも、きっと友達は居なかったんだと思います。だって、いざとなった時に、誰にも連絡出来てなかったもん。

 

夫の前でも静かで優しい女性でいて、義父母の前でも、大人しくて言われるまま、我慢しているんです。というか、このハンターは、あまり強い意志を持っているような女性では無くて、何となく過ごしていて、好きなものを買って貰えて、美味しいモノを食べれていれば幸せなのかもしれないという漠然としたものしか持っていないような女性でした。そんな彼女でも、さすがに壊れて行くんです。恐いよねぇ~。

 

 

夫も義父母も、決して悪い人達ではないんです。彼らの常識で生きている人達なんですね。だから、ハンターが辛いと思おうと、嫌だと思おうと、彼らには理解が出来ないんです。こんなにしてあげているし、なんの不自由も無いでしょって。面倒な事はさせていないし、好きに過ごしていいんですよって言っているだけなんだけど、そういう世界を知らないハンターにとっては、とても息苦しくて辛かったのだと思いました。

 

もし、彼らと同じレベルで育っていれば、何か習い事をしたり、買い物に出たり、友達を作って食事に行ったりと、エンジョイ出来たハズなんです。でも、ハンターの知らない世界なので、どうしたら良いのか解らないんです。一言、出かけてきますと言えばいいだけなのにね。だから、玉の輿が良いと思っているかもしれないけど、価値観が違うというのは、決定的にダメなんですよ。

 

 

ハンターは、何か吞み込むことでストレスを発散していた訳です。ガラス玉を最初に吞むのですが、後日、排せつ物からそれを取り出して、コレクションとして飾るんです。さすがに、私、これはダメでした。よく出来たね、そんな事ッ!私は、自分の排せつ物を探って、呑んだものを探し出して飾るというのは、生理的にダメでした。

 

どんなにカウンセリングをしても、止めさせられずに、家族は苦労をしていました。うーん、一度、楽しくて始めちゃったら、止められないかもねぇ。でも、さすがにドライバーとかは止めた方が良いと思ったなぁ。あと、ガラスの人形とか。そんなデカいモノ、よく喉を通ったね。

 

妊娠して子供がお腹にいるのに実感が湧かず、誰からも愛して貰えていないので、子供に対しての愛を感じなかったのかなと思いました。だから、何かを呑み込んで自分の身体の中を通して、子供も同じようなものだよねって思おうとしたのかなと思いました。なので、最後の衝撃的なシーンに繋がるのかなと思ったんです。エンディングである場所がずーっと写っているのですが、私はゾッとしました。ちゃんと愛し合っていれば、子供は嬉しいんですよ。大丈夫です。これは映画ですから。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。でも、この作品は、賛否が分かれると思います。深く考えながら観ないと、玉の輿に失敗して、ストレスで色々な物を呑み始めた女ってだけになっちゃうので、それだと面白くないんです。まぁ、でも、じりじりと来る作品なので、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「Swallow スワロウ」