「あのこは貴族」をオンライン試写会で観ました。年末の試写会でした。公式サイトで当たったと思います。私、この作品、原作が面白かったので、期待して情報を集めていたんです。
ストーリーは、
都会に生まれ、箱入り娘として育てられた20代後半の華子。「結婚=幸せ」と信じて疑わない彼女は、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手段でお相手探しに奔走し、ハンサムで家柄も良い弁護士・幸一郎との結婚が決まるが・・・。
というお話です。
東京に生まれ、箱入り娘として何不自由なく成長し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華子。20代後半になり、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。
華子は3人姉妹の末っ子で、両親にも姉二人にも結婚をせかされ、父親関係の紹介でお見合いを重ねるも、良いお相手にはめぐり逢えず。合コンなどに参加するも、場違いだったりと、どうしようもない。お相手探しに奔走した結果、ハンサムで良家の生まれである弁護士・幸一郎と出会う。彼は紳士で、価値観なども華子と近いようだった。お互いに印象がよく、付き合うこととなり、そして結婚へ。幸一郎との結婚が決まり、順風満帆に思えたのだが…。
一方、東京で働く美紀は富山生まれ。猛勉強の末に名門大学に入学し上京した。友人の里英と校内で話していると、里英が華やかな集団を見て”あっちは内部生”と教える。その名門大学は、エスカレーター式に下から上がってきた名家の子息たちがおり、”外部性”と呼ばれる美紀のような受験組はグループに入れないのだった。そんな学生時代に、ノートを貸して欲しいと”内部生”の青木幸一郎に声をかけられ、出会うこととなる。
美紀は、実家の父親が職を失くし、夜のホステスのバイトで頑張ってみたのものの、学費が続かず中退。ホステス時代に知り合った方に紹介された仕事に就職したのだが、仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。
幸一郎とは、ホステスのバイト先で再会し、男女の関係を続けていた。お互い、サバサバした関係で、付き合うという事ではなく、何となくお互いに都合の良い関係として続いていたのだ。
ある日、華子の友人であるバイオリニストの逸子が、呼ばれたパーティー先で、幸一郎と美紀がパートナーとして参加しているのに気が付く。華子が結婚する相手だと知っていた逸子は、直ぐに華子に連絡をし、華子と美紀を引き会わせる事に。別世界に生きる華子と美紀が出会った事により、二人の人生が交錯して・・・。後は、映画を観て下さいね。
この作品、原作を先に読んでいたのですが、原作の雰囲気を崩さず、よく出来ていました。華子を門脇麦さんが、美紀を水原希子さんが演じているのですが、最初、このキャストを聞いた時、反対じゃないのかな?と思ったのですが、観てみたらピッタリでした。失礼かもしれないけど、門脇さんの方が田舎から状況してきたという美紀に合っていそうな気がしていたのですが、全く違いました。うん、よく出来ていました。
内容としては、固定概念に囚われていて、身動きが取れなかった若い女性が、自分とは正反対の女性に出会うことによって、世界の広さを知り、女性が”嫌だ”と言って良いのだということを覚えて行くんです。
華子は、古くから続く家系のお嬢様で、女性はこうあるべきだと育てられてきているので、大学を卒業したら家事手伝いをして、そのまま家柄の近い人と結婚をして、主婦として夫に仕えて行くと思っていたらしいんですが、いまどき、何言ってんのって感じでしょ。両親も姉たちも、華子はそうなるものだと思っていて誰も疑っておらず、本人も自分はそうなると思い込んでいるんです。なので、付き合っていた男性に別れを告げられ、20代後半で結婚相手がいなくなってしまい凄く焦るんです。
いやぁ、でも、この華子さん、これじゃ普通の男性なら面白く無くて逃げちゃうなぁと思いました。何でも相手に合わせて、自分の意見を言わず、後ろを付いて歩くような女性なんです。私が男なら、自分の意見は無いの?って聞いちゃうと思うよ。そんな感じなので、一人になり、焦ってお見合いをいくつかするのですが、どーもおかしな人ばかり。
そして青木幸一郎に出会うんです。この幸一郎ですが、こちらもまた、政治家などを輩出した名家の男性で、男はこうあるべきと教えられて育った人なんです。ランクは、華子の家より少し上のようでした。どちらの家も東京出身で、移動はタクシー、会食といえばホテルのレストランか有名レストランという感じですかね。そんな二人は順調に付き合って、結婚まで進んで行きます。
そこに、美紀が関わってくるんです。美紀は幸一郎と同じ大学に通っていましたが、地方出身で裕福な家ではなく、学費が払えなくなって中退するんです。仕方なく水商売をしていて、その店で幸一郎と再会し、何となく付き合うようになります。幸一郎は、子供の頃から育てられた”彼の家”の常識で、妻になる人とは別に、都合の良い女性を持つのは当たり前だと思っているようでした。そんな幸一郎を挟んで、華子と美紀は出会います。
普通なら、ここで本妻と愛人の争いってなりそうですが、この映画は違います。全くそうはなりません。そこが、この映画の面白いところです。どちらの女性も、それぞれに自分の常識があって、”女だから”という呪いのような言葉で苦しんできたんです。でもね、そろそろそんな事を言っている時代じゃないよって気が付いて行くんです。面白かったですよ。この二人の間に、逸子というパイオリニストが出てくるのですが、石橋静河さんが演じていて上手かったなぁ。石橋さん、本当に良い役者になりましたよねぇ。主役も行けるし、助演も行けるし、オールマイティで素晴らしいと思いました。
そうそう、ちょっと気になったのが、華子が幸一郎と付き合い始めて、幸一郎の家が興信所を使って華子を調べたという話が出てくるのですが、華子はそれに驚くんです。いやいや、それ、ちょっと名の知れた家だったら当たり前だから。どんな相手かも解らない家の人と結婚させられないでしょ。結婚は家と家の関わりになるんだから。私の家だって、最初の結婚の時、親が調べてましたよ。これは結構当たり前の事と言って良いんじゃないかしら。相手を信用しない訳ではないけど、後から衝撃の事実なんて事が出てきたら怖いでしょ。
原作も面白かったのですが、映画もよく出来ていました。但し、派手な映画ではありません。静かに訴えて来る映画で、女性が色々なしがらみから開放される映画です。私は、とっても気に入りました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。本当は超を2個付けたいのですが、女性に対しての賛歌のような映画なので、男性にはどうなのかなぁと思って、1個にしておきました。2月26日公開の映画です。
これから緊急事態宣言が出るみたいだけど、映画館はそのままのような事を言っていたので、公開出来る事を祈っています。でもね、このままの状態で続けるっていうのは怖いので、せめて飲食禁止で、席を1つ空けにして欲しいです。さすがにこの感染数では、映画館に入ったら、誰か感染者がいるという状況だと思うんです。換気をして話をしないので、何とかうつっていないだけでしょ。このまま続けたら、映画館や劇場でクラスターが起きますよ。もう少し政府も考えて欲しいです。
という訳で、これからも安全に映画鑑賞が出来るようにお願いしたいと思います。
「あのこは貴族」








