「靴ひも」を観てきました。
ストーリーは、
母の急死により、残された発達障害のある50歳の息子。かつて家を出て行った父親が呼び出され、約30年ぶりに親子2人での生活がスタートする。生活習慣へのこだわりが強い息子に、父はどう接したらよいか戸惑いながらも2人は徐々に打ち解けていく。そんな中、父が末期の腎不全と診断され、人工透析が必要となる。特別給付金申請の面接の場で、特別な支援が必要であるとアピールするため、息子が靴ひもを結べないふりをする。
というお話です。
エルサレムで小さな車の整備工場を営むルーベンの生活は、ある日一変した。数十年前に別れた妻が交通事故死し、一人息子のガディを引き取ることになったのだ。30代半ばのガディには発達障害があり一人暮らしが困難なため、受け入れてくれる施設が見つかるまでの間、父と息子は狭いアパートで同居することになる。
今まで自分を守ってくれていた母を突然失い、悲しみと不安に包まれたガディに対し、ルーベンは戸惑うばかり。さらにガディには皿の上の食べ物の配置から、寝る前のルーティーンまで、独自のこだわりがあり、長年疎遠だったルーベンはどう対応すればいいのかわからない。
だが、誰に対してもフレンドリーで明るいガディは、整備工場やルーベンの行きつけのリタの食堂ですぐに人気者になるのだった。そしてガディは整備工場の従業員デデの恋人で食堂で働くアデラに恋をする。
やがてルーベンとガディが互いの存在に慣れ始めた頃、ルーベンは末期の腎不全と診断され、人工透析が必要になる。また、障がい者の自立支援コミュニティに空きが出るまで3、4ヶ月かかることが判明し、ルーベンはソーシャルワーカーのイラナの勧めで特別給付金を申請する。ガディに特別な支援が必要であることを証明するため、面接の場で、ガディは靴ひもを結べないふりをするのだが・・・。(公式HPより)後は、映画を観て下さいね。
この映画、良い作品でした。生まれてすぐに別れていた息子と一緒に住む事になり、どう接して良いのか判らない父親の姿がリアルに描かれていました。知的障害のある息子・ガディは、母親と住んでいたのですが、母親が交通事故で亡くなってしまい、障がい者の施設に入るまで時間がかかるので、それまで父親の所で面倒を見て欲しいとソーシャルワーカーに言われるんです。
突然に息子と住めと言われても、どう育ってきたのかも全く判らず、突然に親子と言われても、どうしてよいやらわからない。まして、知的障害があり、父親のルーベンには、どう接して良いのか判らないんです。どちらかというと、男性の方が障がい者が苦手という方が多いようなのですが、ルーベンも苦手なようで、だから子供とは住めなかったと告白するシーンがありました。苦手なら仕方ないですよね。
しかし、今回ばかりはどうしても面倒を見るしかありません。そして手探りでルーベンとガディの生活が始まります。ガディは障害はあるものの、性格はとても素直で優しい子なので、周りの人にも好意を持たれるし、迷惑はほとんどかけないんです。でも、こだわりはあるようで、食べ物が一つの皿に一緒に盛ってあるとイヤみたいで食べません。寝る前に足のマッサージをして貰う事と、食事は12時にするという、規則があるようでした。
そんな事に上手く折り合いをつけながら、2人は何とか上手く生活をし始め、ルーベンもガディとの生活に幸せを感じ始めるんです。しかし、ルーベンの身体に異変が生じ始めます。今までの荒れた生活が災いして、腎不全になっている事が解ります。それも既に酷い状態で、透析が必要だし、出来るだけ早く腎臓移植をした方が良いと言われるのですが、今まで、蔑ろにしていた息子に腎臓をくれとは言えません。今まで面倒を見なかったことを悔いているんです。
その上、ガディの知的障害が、自分で腎臓を提供するという事を理解出来ないのではとされてしまい、移植手術は許可出来ないと言われてしまいます。以前に障害給付金を貰うために受けた審査がネックになってしまうんです。ここら辺が、日本でも一緒だと思うけど、役所の判断の酷い所ですよね。
そして二人はどうなるのかという内容ですが、うーん、この展開、上手いなぁと思いました。簡単に思っているようなハッピーエンドにはなりません。凄く現実的な展開が待っていて、ちょっと驚きました。でも、良い映画だったなぁ。父と息子の関係、障がい者との関係について、色々考えさせられました。
差別とかではないのですが、どうしても障がい者の方が苦手という方っていらっしゃるでしょ。私は、そういう感覚が無いのですが、どうしてもダメな人に無理に関係を良くしなさいとは言えないでしょ。自分の子供が障害を持って生まれてきたとして、誰もが受け入れられる訳ではないと思うんです。そういう微妙な感情を、良く描いていたと思います。いくらあなたの子供なんだからと言われても、無理な人もいると思うんです。難しいですよね。
とてもよく出来ている映画でした。私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。複雑な父と息子の関係を、良く描いている作品でした。日常の中で、ガディのちょっとした事がみんなを温かくしてくれるというのが良かったです。足りない部分もあるけど、その分、彼には温かさがあったような気がしました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「靴ひも」