【フランス映画祭】「ゴッドマザー」を観ました。オープニング作品でした。
ストーリーは、
警察でアラビア語の通訳として働くパシャンス。彼女は20年前に夫を若くして亡くし、それからは一人で二人の娘を育てて、母親の面倒も見ている。母親は老人ホームに入れたのだが、その費用が高くてお金に困っていた。母親の入居費も延滞し、マンションの管理費も滞り、警察の通訳だけでは難しいのかと考えていた。
ある事件で、警察が追うドラッグディーラーの一人が、自分の母親を世話してくれている看護師の息子だと知ってしまう。その息子が取引しようとしている麻薬は高品質のもので、量も今までとは比べ物にならないほどあるようだ。
パシャンスは介護士の所へ行き、息子に警察が追っている事を話して、直ぐに積み荷を隠し、携帯を壊すように伝えてと言う。介護士は直ぐに息子に連絡をし、息子はドラッグを持っていない所を逮捕された。ドラッグ所持では無かった為、それほど長い刑期にはならないようだった。
介護士にしばらくは隠れているようにと言い、パシャンスは、彼が隠した積み荷を探し出し、それを闇ルートに売って稼ごうと試みる。アラビア語は得意なので、アラビア系の人間に連絡を取り、売り捌き始める。アラビア風の服装に身を包み、大きなサングラスをして現れる姿は、その内、警察内でゴッドマザーと呼ばれるようになっていく。そして・・・。
後は、映画を観て下さいね。
今年のフランス映画祭は、この映画から始まりました。イザベル・ユペール主演のサスペンスコメディです。
イザベル演じるパシャンスは、警察でアラビア語の通訳を仕事にしています。警察官ではありません。普通の民間の仕事をするよりはお給料が良いのかもしれませんが、それでも母親の介護やマンションの管理費が支払えないと言っていたので、経済的に大変そうでした。
そんな時、アラビア人のドラッグ組織の会話を聞いていて、自分の母親が入っている施設の介護士の息子が大量のドラッグの運び屋だということを知ります。警察が追っていて、もうすぐ逮捕というところまで来ています。その時、介護士にこっそりと連絡をして、息子にドラッグを捨てさせます。持っていなければ、逮捕されても懲役刑が少なくて済むからです。
警察は逮捕しますが、目的のドラッグは積荷に無く、肩透かしを食らいます。そしてドラッグを捨てたことを知っているのはパシャンスと介護士だけ。パシャンスは、捨てたドラッグを探し出し、自分一人でドラッグを売り捌き始めます。大量の高純度ドラッグを売るオバちゃんって凄いでしょ。相手の売人たちも、なんでこんなオバちゃんがコロコロバッグを引いて売りに来るの?と驚きますが、ドラッグが欲しいので仕方ありません。
その場違いな感じがとっても笑えて、パシャンスは、必死で売り捌いてお金にしようとしているんだけど、どこか間抜けで、よく警察に捕まらないなぁと思いました。だって、怪しすぎるんですもん。その恰好にも笑えました。
夫を亡くし、一人で娘2人を育て、母親の面倒も見て、頑張っているパシャンス。息子がドラッグの運び屋をしているのを辞めるように説得する介護士。そしてパシャンスが住んでいるマンションの大家の中国人女性。この映画は、男性社会だと偉そうに言っている男たちの裏で、社会を動かしているのは女性なのだという事を訴えているような映画でした。特に、パシャンスと中国人の大家さんは、水面で足をパシャパシャしている男たちを尻目に、水面下に潜り、確実に目的のモノを手に入れて行く、そんな感じなんです。楽しかったなぁ。
男たちも、全く気が付かない訳ではありません。パシャンスの動きに気が付く人もいるのですが、女に弱いというか、優しいんですよ。ここら辺が、今一つ、女が男に勝てない要因なのかなと思いました。女だったら、決して見逃してあげたりしないでしょ。まぁ、性格にもよるのかしら。女は目的の為なら、味方も捨てるからなぁ~。(笑)
介護の問題なども描いていて、日本でも共感できる方は多いと思います。ホームなどに入れても、凄くお金がかかって、オプションなんかもかかってきちゃって、どんなに稼いでも追いつかないって感じがよく出ていました。でも、自分が仕事をするなら、どこかで見て貰わないと仕方ないからホームに入れるしかないですよね。うーん、難しい。
この映画、まだ配給が付いていないみたいだけど、これだけ面白いんだから、日本公開してくれるんじゃないかしら。こんなに楽しい映画、公開しなかったら勿体ないと思いました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。もう一つ”超”を付けたかったけど、配給が付いていないので、日本公開が決まっていないんです。もし、公開されなかったら観れない方に申し訳ないから。でも、本当に面白い映画です。日本公開を期待しましょう。そうなったら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ゴッドマザー」