「ハッピー・オールド・イヤー」断捨離って素晴らしいように言われているけど、本当にそうなのかな? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ハッピー・オールド・イヤー」をオンライン試写会で観ました。Fan's Voiceさん(@fansvoicejp)の独占試写会でした。

 

ストーリーは、

デザイナーのジーンはスウェーデンに留学し、ミニマルなライフスタイルを学んで帰国する。かつて父が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルで、出ていった父を忘れられない母や自作の服をネット販売する兄と暮らす彼女は、ビルを改装してデザイン事務所にしようと思いつき、家の断捨離を開始。友達から借りたままだったモノを返してまわる中で、元恋人から借りたカメラも小包にして送るが、受取拒否され返ってきてしまう。整理されていく部屋に反比例して様々な思い出が溢れ出し、ジーンの心は乱れていき・・・。

というお話です。

 

 

タイ・バンコク。スウェーデンに留学していたデザイナーのジーンは、帰国後、母と兄のジェーと3人で暮らす自宅ビルのリフォームを思い立つ。

かつて父が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルを、北欧で出会った“ミニマルスタイル”なデザイン事務所にしようというのだ。しかし、ネットで自作の服を販売する兄は“ミニマルスタイル”をよく分かっておらず、母はリフォームそのものに大反対!内装屋の親友・ピンクには、年内中に家を空っぽにするよう諭されるが、残された時間は1ヶ月弱。

家じゅうに溢れかえるモノを片っ端から捨てて “断捨離”をスタートさせるジーン。雑誌や本、CDを捨て、子供の頃の成績表なども全て捨てようとする。兄に本当にいいのかと言われるのだが、思い入れが無いモノは要らないものだと言い放つ。ネットから探し出した日本の”断捨離”動画を見ながら、捨てることが良い事なのだと兄と二人で納得するのだった。



 

友人から借りたままだったピアス、レコード、楽器は、全て返して回ろうとする。すると今までジーンがどれほどいい加減な人間だったのかを表すように、今更というような反応を示す友人や、プレゼントを返されて憮然とする友人ばかり。

そんな中、元恋人エムのカメラ、そして、出て行った父が残したグランドピアノは捨てられず…。いよいよ年の瀬。果たしてジーンはすべてを断捨離し、新たな気持ちで新年を迎えることが出来るのか?後は、映画を観て下さいね。

 

日本でも、”断捨離”って一時、流行りましたよね。今も、時々、TVなどでやっているのかな。まぁ、要らないものを捨てるのは良い事かもしれないけど、やっぱりモノを捨てるのって大変です。大体、手に取ったら、いつ手に入れて何に使っていたのか思い出すでしょ。そしたら、もう手が止まってしまって、捨てられなくなっちゃう。そこで捨てるのが、思いを切り捨てての”断捨離”となるのだろうけど、そう簡単に吹っ切れるもんじゃないですよ。

 

 

主人公のジーンは、北欧でシンプルなデザインを学んだようで、スッキリした空間をデザインしたいようでした。なので、断捨離となったんだろうけど、あういうシンプルデザインの家って、収納部分が沢山あるので、別に捨てたからシンプルになっている訳ではありません。そういうデザインを望む方には、住居の全体の1/3くらいを収納部分として設計しています。なので、モノが無い訳では無いんです。機能的なデザインになっているというのは、そういう事なんですけど、どこか勘違いしちゃっていたのかな?シンプルになるのは、表面的なデザインだけではな

いので、素晴らしいとなっているんだけどね。

 

でも、まぁ、ジーンは捨てるというのだから良いんですけど、見ていたら、それは捨てない方が良いでしょっていうモノまで捨ててしまうんです。やっぱり思い出の品は、しまっておいた方が良いと思いますよ。それにずーっと観ていたら、ジーンはだらしない性格だからなのか、人から借りたり、預かっていたモノが多いんです。何かを頼まれたら、直ぐに対処して返していれば良いのに、借りたら借りっぱなし、頼まれたらそのまま放置しておくという感じで、酷いんです。

 

 

そういう性格の人が、シンプルライフなんて言っても、直ぐにモノが溢れてしまうのは目に見えているでしょ。どーせ、頼まれたものはその場所に置きっぱなしになるのだから、物が増えて行くわよね。うーん、自分の性格をまず治してからの方が良いと思うけどね。

 

それに、やっぱり友人から貰ったプレゼントを目の前で捨てるとか、貰ったけど返すとかいうのって、酷いですよね。どうしても捨てたかったら、相手に見えないように捨てないと。くれた人はへこむだろうし、気分が悪いと思います。映画の中で、ジーンが反対にプレゼントしたものを捨てられている場面があって、一応、その悲しさを理解したようでしたけど。

 

 

元カレのカメラが出てきて、返しに行くのが嫌で宅急便で送るのですが、受け取り拒否で返ってきます。そして悩んだ末に、近所なので届けに行くのですが、そこで元カレと、元カレの彼女との色々な問題が出てきます。この部分は、ネタバレになっちゃうので内容は書きませんが、元カレとのエピソードは、とても考えさせられました。元カレのエムは、結構、マトモな人物で、正しい事をいう人だなぁと思いました。ジーンとエムと、その彼女のエピソードは、ぜひ観て欲しいと思いました。

 

もう一つ、重要なエピソードは、家に置いてあったピアノをどうするのかという問題でした。母親は元々、ジーンが断捨離するというのに反対をしていて、1階でお母さんは過ごすことが多かったのですが、1階を事務所にするから2階に行って欲しいとジーンが言うんです。断固拒否をする母親ですが、ジーンはそんな母親の気持ちを無視して、断捨離を進めてしまいます。ちょっと酷いでしょ。確かに、家族で住んでいる家だけど、母親の家であって、ジーンのモノでも何でもないのに、酷いと思いました。

 

 

子供は、家に住んでいるけど親の持ち物です。持ち主のいう事を聞くべきで、どうしても何かしたいのなら、他に家を借りるべきなんです。タイの家族の考え方って違うのかな?相続をしたのなら権利を主張出来るけど、母親が住んでいるなら、母親の意見に従うべきで、どうしても何かしたいのなら、説得してからしなくちゃね。母親が可愛そうでした。思い出のモノを捨てられ、父親の音楽教室のピアノも捨てると言われてしまいます。誰も弾いてないでしょって言われて、私が弾くと言ってピアノを弾く姿が悲しそうでした。

 

断捨離、流行っているけど、捨てる事は偉い事じゃないですからね。捨てなくて良いなら、捨てない方が良いに決まっています。場所が無いから捨てなくちゃいけないんでしょ。まぁ、思いを断ち切るという気持ちもあるのだと思いますが、済んでしまった事は、全て良い思い出と思っていれば、捨てる必要は無いんじゃないの?私、悪い事も良い事も、今の自分を作るための試練だったと思うようにしているから、嫌な思い出のモノが残っているというのは無いんです。

 

 

そんな断捨離なんてする必要が無いように、普段から必要無いものは、直ぐに捨てるようにすればイイんじゃないの?と言いながらも、捨てるのを面倒くさがって、溜まっていたりもするんですけどね。

 

この映画を観て、何でも捨てれば済むってもんじゃないぞって事を思い知りました。一つ一つのモノに、色々な思い入れがあって、それ以上に人との関係も詰まっていて、そう簡単なもんじゃない。人との関係を適当に済まして、誤魔化して生きていると、後からしっぺ返しを食らいますって思いました。

 

この断捨離って、ヨガの行法から来ているようですが、物を捨てるというより仏教の”執着を捨てる”事からきているようで、確かに執着はあまり持たない方が良いとは思います。その場その場で判断をして、良い選択をしていく事が、執着を捨てることに繋がるのではないかなと思います。いつまでも同じ所に留まらず、先に進むことが大切でしょ。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。主人公がちょっとイヤな奴に思えるけど、この”断捨離”という行為を、ただ素晴らしいと思っているのは間違いじゃないのっていう事を教えてくれます。タイ映画って、最近、面白い作品が出てくるようになり、注目しています。でもね、まだあまり慣れていなくて、タイ語が馴染まないのでちょっと変な感じがします。ぜひ、観に行ってみてください。12/11に公開です。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ハッピー・オールド・イヤー」