「滑走路」難しい問題を描いていて、とても濃い内容の映画でした。今回、最後の方にネタバレしてます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「滑走路」を観てきました。

 

ストーリーは、

厚生労働省の鷹野は、激務の中で仕事への理想を失い、無力な自分に思い悩んでいた。ある日、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストが、NPO団体によって持ち込まれる。鷹野は、リストの中から自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、彼が死を選んだ理由を調べ始める。一方、将来への不安を抱える30代後半の切り絵作家・翠は、子どもを欲する自身の思いを自覚しながらも、夫との関係に違和感を抱いていた。また、幼なじみを助けたためにイジメの標的となった中学2年生の学級委員長は、シングルマザーの母に心配をかけまいと1人で問題を抱え込む。そして・・・。

というお話です。

 

 

厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務に追われる中、理想と現実の狭間で苦しんでいた。ある日、陳情に来たNPO団体が持ち込んだ“非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリスト”の中から自分と同じ25歳で自死したひとりの青年に関心を抱き、死の真相を探り始める。

30代後半に差し掛かり、将来的なキャリアと社会不安に悩まされていた切り絵作家の翠。子どもを欲する自身の想いを自覚しつつも、高校の美術教師である夫・拓己との関係性に違和感を感じていた。

幼馴染の裕翔を助けたことをきっかけにいじめの標的になってしまった中学二年生の学級委員長。シングルマザーの母・陽子に心配をかけまいと、攻撃が苛烈さを増す中、一人で問題を抱え込んでいたが、ある一枚の絵をきっかけにクラスメートの天野とささやかな交流がはじまる。



 

年齢も時間も違う3人だが、ある時代に彼らの時間は交差していたのだ。分かれていても、彼らの紡いだ言葉は時を超え、それぞれを支えていく。未来へ飛び立つための滑走路として。しかし言葉を紡いだ彼は・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

3人の話が並行して描かれるのですが、最初の頃は、時間設定が解からないんです。それが現在なのか、過去なのか、同時に起こっている事なのか解からず、ちょっと混乱しました。ワザとこういう構成にしていたのだと思いますけど。最後の方で、3人がいつの時代の話をしているのかが解るのですが、ちょっと、ヒントが少ないというか、あの場面を忘れちゃってたら判らなかっただろうなという感じで、もう少し、親切にして欲しかったなと思いました。3人とも時代が違うんです。

 

まず、高校生の男子が、友達が虐められているのを助けるんです。彼は学級委員長をしている子で、今度は、そのいじめっ子たちに目をつけられて、ずーっと虐めを受けるようになるんです。母子家庭に育っている彼は、虐めを受けている事を誰にも訴えることが出来ず、精神的に追い詰められていきます。そんな様子がずっと描かれています。

 

 

次に、厚生労働省に勤めている鷹野です。彼はエリートコースに乗り、国家公務員となり、上司に言われるまま仕事をこなす日々です。これ、きっと昔の1種の人、現在の総合職試験に受かったキャリア組です。

 

一般の組織などから請願や陳情を受けて話を聞かなければならないのですが、その中に、NPO法人からの非正規雇用に対しての待遇をどうにかしろという請願がありました。非正規雇用が原因で自殺した人が多くいるというのです。強く言われて、善処しますと答えるのですが、後から上司に適当に答えてはダメだと怒られます。でも、彼はその事が気になって、NPO法人に連絡を取り、何故自殺するようになってしまったのか、調べてみようと思い立ちます。

 

あまり詳しくは書けませんが、頑張ってキャリア組となったのに、自分の意見は言えず、言われるがままの仕事だけの自分は、このままで良いのかと考え始めていて、非正規雇用とどこが違うのかと思ったのではないかと思います。ホント、私も見て知っていますが、キャリアと言っても、コピーをしたり文書を書いてばかりで、何かの決定権なんて何もありません。それに耐えて耐えて、部長クラス以上になると、ある程度の決定が出来るようになります。地方に飛ばされて、戻ってくると役付きになり、その部署の大学の派閥で出世が決まります。東大とか京大とかね。局長や審議官に先輩がいれば上がれるのよ。ドロドロがすんごいです。だから、途中で辞めたくなるのは、非正規と同じかもしれません。

 

 

非正規雇用の辛さと一言で言うけど、何が辛いのか、実は全く解りません。突然にクビになるとか、給料が安いとか、それって普通に勤めていても同じじゃないの?私から見れば、雇って貰えてお金が貰えるんだから十分に幸せなような気がするけど、どうなんでしょ。私のような自営業だと、自分が必死で頭を下げて、嫌な事もやらなければ仕事は入ってきません。コロナ禍だと、仕事がどうなるのか全く先が見えません。非正規雇用より、底辺だと思います。でも、死のうと思いませんよ。なので、非正規だから自殺したと訴えられても、どうして?と思ってしまうんです。話が反れましたが、厚生省の男性は、非正規で自殺をした男性がどうして亡くなったのかを追って行きます。

 

もう一人、切り絵作家の女性・翠が出てきます。彼女は結婚して、夫は美術教師、自分は切り絵作家として仕事をしています。そろそろ子供が欲しいかなと思っている時期に、翠の仕事は順調になって行きますが、夫は学校の方針により仕事が無くなり、精神的に不安定になってしまいます。そんな時に翠の妊娠が解り、どうするのかという所で話がいったん切れてしまいます。

 

 

この3つの話が出てくるのですが、これ、やっぱりネタバレさせてください。ここから、時間軸に関してだけ書きたいと思います。もし、まだ観ていない方がいらして、知りたくないようでしたらこの先は、観た後に読んでください。

 

この映画、学生時代は3人が中学時代の事を描いています。そして、厚生労働省の鷹野の部分が確か28歳と言っていたと思うので、それから13年後くらい。そして翠が個展を開いている時が、鷹野の話から13年後くらいかなと思いました。確か、翠の友人の話で、13年前に亡くなったらしいよというのがあったと思います。なので、大体、13年ごとの事を描いていたのかなと思いました。

 

で、非正規雇用だけで自殺をしたのではなく、中学の頃のいじめがトラウマとなっていて、自殺に至ってしまったということなのだと思いました。ここでいじめについてですが、やっぱりいじめは学校が把握して、対処するべきだと思います。だって虐めている方は、悪い事だと思っていないんだから。それを教育するのが学校じゃないの?先生同士で虐めをしているなんて論外です。それ、教師になる資格がないから。

 

 

あのね、虐められたと思った子がいたなら、それは虐めなのよ。学校側が調査をして虐めと認定なんてするのおかしいでしょ。虐められたと思った子がいた時点で、虐めはあったんです。みんなが虐めと認識しないとダメって言ったら、誰もが隠れて虐めますよ。判らないようにね。そんなの当たり前じゃないですか。自分が誰かを虐めようと思ったらどうするか、考えれば解るでしょ。

 

現在の学校はあまりにも能力が無く、教育委員会=日教組が教育現場を甘やかしたせいで、何の責任能力もありません。文科省が大鉈を振るって、解体するくらいしないと、誰も教育の責任を取らなくなります。教育委員会には教師から上がってきた人物ではない人を入れて、各学校の校長や教頭などは、教育者ではない人間を入れるべきです。ぬるぬると教師をして、最後に校長や教頭になれば年金を貰って安泰なんて思っている輩は、一切向上心がありませんから。

 

なんだか、凄い考えさせられる映画だったので、沢山書いてしまいました。色々な問題を含んだ映画で、非正規雇用で歌人だった方の歌をベースにした映画でした。今を生きる人の叫びのようなものが描かれていたような気がします。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これだけ書きたくなるって事は、面白かったのだと思います。うーん、長くなっちゃった。ごめんなさい。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「滑走路」