「ジョゼと虎と魚たち」を観てきました。横浜ブルグ13の試写会が当たり、観に行きました。ペアでしたが、一席空けて次のペアというようにしてくださっていて、気を使ってくださっているんだなと感動でした。
ストーリーは、
大学で海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコに生息する幻の魚を見るという夢を追いながら、バイトに勤しむ日々を送っていた。そんなある日、坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性ジョゼを助ける。幼少時から車椅子で生活してきたジョゼは、ほとんどを家の中で過ごしており、外の世界に強い憧れを抱いていた。恒夫はジョゼと2人で暮らす祖母チヅから彼女の相手をするバイトを持ち掛けられ、引き受けることに。口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たるが、そんなジョゼに恒夫は真っ直ぐにぶつかっていく。
というお話です。
趣味の絵と本と想像の中で、自分の世界を生きるジョゼ。幼いころから車椅子の彼女は、ある日、危うく坂道で転げ落ちそうになったところを、大学生の恒夫に助けられる。
海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れをいつかその目で見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる勤労学生。
そんな恒夫にジョゼとふたりで暮らす祖母・チヅは、あるバイトを持ち掛ける。それはジョゼの注文を聞いて、彼女の相手をすること。
しかしひねくれていて口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たり、恒夫もジョゼに我慢することなく真っすぐにぶつかっていく。そんな中で見え隠れするそれぞれの心の内と、縮まっていくふたりの心の距離。その触れ合いの中で、ジョゼは意を決して夢見ていた外の世界へ恒夫と共に飛び出すことを決めるが・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、私は良かったな。以前、実写映画で作られた「ジョゼと虎~」とは違って、私は、ストーリーはこちらのアニメ映画の方が好きです。あまり詳しくは書けないけど、17年前に作られた実写版は、結構、辛いお話だったので、今回のアニメで救われたような気がしました。
恒夫は、普通の大学生。でも、夢を持っていて、メキシコに行って、魚の研究をしたいと言うんです。そのために、今まで必死で勉強をしてきて、バイトも沢山して、お金を貯めているんです。もちろん、人生が思い通りに行くなんて思っていないだろうけど、恒夫は、とても順調に進めてきたと思いました。
そんな時に、坂道を落ちて来るジョゼと知り合います。下半身不随のようで、車椅子に乗っているのですが、ほとんど外に出たことが無い女性でした。若く見えるけど、24歳のジョゼ。本当の名前ではなく、サガンの小説に出てくる”ジョゼ”という人物の名前で呼べと言うんです。そしてジョゼの祖母に頼まれて、彼女の世話をすることになります。
突然の出会いですが違和感も無く、恒夫はジョゼの家に通うようになります。そしてお互いの事を知っていくのですが、その微妙な距離感がとても上手く描かれていました。それまで、男性と付き合ったことが無いだろうジョゼが、必死で年下の恒夫をけん制して、自分の方が凄いみたいに見せるところが、かわいくて楽しいんです。でもジョゼの描き方が、ちょっと幼過ぎたような気がしました。私、最初見た時は、16~17歳くらいなのかなと思ったのですが、恒夫より年上でした。ま、家から出ず、社会の事を知らずに育ったのだから、幼く見えるのは当たり前なのかもしれません。
でもね、祖母のチヅはほとんど外に出さず、生き方も教えていないんです。自分の年齢が高く、もうすぐジョゼが一人になってしまうであろうことは判っていたはずなのに、何も教育していなかったんです。これは保護者として酷いと思いました。自分が居なくなっても、ジョゼが一人で生きて行けるように教えておけば、一人になったジョゼが困る事も無かっただろうに、もう少し、考えてあげるべきだったと思いました。
ジョゼは、恒夫が来るようになり、少しづつ外に出て、色々な事を学ぶようになって行きます。図書館にも行くようになり、人との関わり方も、少しづつ覚えて行きます。ジョゼは、恒夫相手だととても我が儘ですが、それ以外の人には人見知りして、あまり近づかなかったんです。でも、本についての話もするようになり、社会性を身に着けて行きます。
実写版とは違い、幾つか展開があって、恒夫にも大きなことが起こります。これ、脚本が上手いなと思いました。障害を持つジョゼが弱者のように見えるけど、精神的には昔から鍛えられているので、結構、強いんですよね。反対に、恒夫とか、普通に生きてきた人たちは、逆境が訪れると、本当に弱く、潰れてしまいそうになる。それまで苦しんでこなかった分、一気に苦しくなるんです。そんな部分がよく描かれているお話だと思いました。いつも助ける方だと思っているけど、もしかしたら助けられている事も多いのかもしれないことがよく解ります。
声も上手かったなぁ。恒夫の中川さん、ジョゼの清原さん、共にピッタリで、気持ちよく観れたし、共感が出来ました。凄く自然に聞こえて、とても満足でした。最初、ジョゼの大阪弁がイヤかなと思ったけど、それも慣れて行きました。
私、この映画、とても気に入りました。超!超!お薦めしたいと思います。実写の”ジョゼと虎~”も良かったけど、私は、こちらのストーリーの方が好きです。暖かくなれて、自分は一人で生きているんじゃないという事を教えて貰える作品だと思いました。辛い事や耐えられない事も起きるけど、それでも人は前に進んで行き、きっと幸せになれるんです。そんな気持ちになれる作品でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ジョゼと虎と魚たち」