「佐々木、イン、マイマイン」を観てきました。
ストーリーは、
俳優になるために上京したものの鳴かず飛ばずで、同棲中のユキとの生活もうまくいかない日々を送って悠二は、高校の同級生の多田と再会をする。悠二は多田との再会で、在学当時にヒーロー的存在だった佐々木との日々を思い起こす。悠二はある舞台出演のため稽古に参加するが、稽古が進むにつれ、舞台の内容が過去と現在にリンクし、悠二の日常が加速していく。そんな矢先、悠二の電話に佐々木から数年ぶりの電話がかかってくる。
というお話です。
(この写真、”セトウツミ”みたいですね。)
石井悠二は、俳優になるために上京したものの、鳴かず飛ばずの日々を送っていた。 別れた彼女のユキとの同棲生活も未だに続き、彼女との終わりも受け入れられない。
そんなある日、高校の同級生・多田と再会した悠二 は、高校時代に絶対的な存在だった “佐々木”との日々を思い起こす。 常に周りを巻き込みながら、爆発的な生命力で周囲を魅了していく佐々木。だが佐々木の身に降りかかる“ある出来事”をきっかけに、保たれていた友情がしだいに崩れはじめる。
そして現在。 後輩に誘われ、ある舞台に出演することになった悠二だったが、稽古が進むにつれ、舞台の内容が過去と現在とにリンクし始め、加速していく。
そんな矢先、数年ぶりに佐々木から着信が入る。悠二の脳内に鳴り響いたのは、「佐々木コール」だった。後は、映画を観て下さいね。
この映画は、何というか、忘れていた懐かしい何かを思い出すような、何とも言えない気持ちを味合わせてくれる映画でした。悠二は佐々木たちは、高校の頃、まだ未来も何も見えず、田舎の町でどうして行こうかなぁとぼんやり考えながら、友達と騒いで遊んで、楽しい時間を過ごしながら不安を忘れるような日々を過ごしていたのだと思います。騒いでいれば、不安って忘れていられますもんね。
悠二は、俳優をしながら仕事をしていて、行き詰っているように見えました。そんな時に、懐かしい友人にあって、高校の頃に、一緒に大騒ぎをしていた佐々木という仲間の事を思い出します。佐々木は、髪の毛がもじゃもじゃで、ノセると直ぐに全裸になって踊り出す、面白い奴でした。悠二と多田と木村、そして佐々木の4人で、いつもどこかにたむろって遊んでいたのです。佐々木の家に遊びに行き、一緒にゲームをしたりしていました。時々、父親が帰ってくるようでしたが、あまり家にいないようでした。
自分の昔の事を思い出しました。友達の家に行って、一緒にゲームをしながら騒いで、それが楽しくて、別に、何か特別な事をしている訳ではないんだけど、毎回、同じことをしているんだけど、それが楽しいんですよね。同級生ならほとんど一緒に過しているから、同じことをしていて、話す事なんて無さそうなんだけど、いつまでも話は尽きないのよ。不思議な年代でした。あの頃って、何でも新鮮で楽しかったんだろうなぁ。この映画では、そんな眩しい過去の象徴が佐々木なんですよね。
悠二は、きっと、目の前が暗くなっていたんだけど、佐々木の名前を聞いて、あんな眩しい時代があったなぁという事を思い出したんだろうと思います。そして、自分が役者になる事を、とても喜んでくれて、応援してくれていたのも佐々木だったんです。
その頃、悠二は後輩から新作舞台の脚本を渡され、悠二さんならこの役は出来ると思うんですと言われます。その脚本は、少し、悠二に被っていたんです。そして演出家に「一人でいても、誰かといても、孤独を感じられるという人間の姿を、悠二くんは演じられると思う。」と言われます。このセリフで、あー、そうなんだよなぁ、と感じました。
みんなで騒いでいると一瞬寂しさを忘れるけど、ふと気が付くと、どんなに周りに人がいても、孤独を感じるのよね。別に、表面だけの付き合いをしている訳ではないんだけど、でも、一瞬、自分の周りの空気がビニールコーティングされて、外とは隔離されているような孤独を感じることがあるんです。直ぐに意識を戻して、周りに溶け込むんだけど、その孤独感は残るのよ。その孤独感って、悪い事では無くて、一瞬、自分を冷静に見れて、周りもの判断が出来ているということでしょ。それは生きて行こうという意志がある事の証のような気がします。ぼんやりしたままじゃ、どーでも良くなっちゃうからね。それは生きる為に必要な孤独感だと思いました。
佐々木は、地元に残ってパチプロになっているんだけど、なんか、それなりに自分のルールを作って、正義感に溢れる感じで生きているようでした。ナンパしたらカッコ悪いかなぁと心配したり、まるで考えている事は高校の頃と変わらないんです。でも、みんな大人になっている。悠二も多田も木村も、社会に出て、生活をしているんです。佐々木だけ、足踏みをしているように見えるんですけど、あれは彼なりの生き方だったのかな。
そして、ある時、佐々木の携帯から悠二に電話がかかってくるんですけど・・・。ネタバレしたくないから書けないけど、どこまでも佐々木は佐々木だったんだなって思えるような内容でした。そして悠二も友達たちも、そんな彼を尊重しているところが、友達だよなぁと思いました。一緒にいなくても、何年ぶりの電話でも、声を聞いたり、顔を見れば、直ぐに高校の頃に戻れる、良い友達だったんです。その絆は、幾つになっても変わらないですよね。うーん、良い空気の映画でした。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。何とも言えない内容が心に残りました。上手く説明が出来ないんだけど、青春を過ごしてきた人にとって(社会人になった人にとって)、懐かしさを感じさせる内容でした。若い人には、ちょっとこの感覚は伝わらないかもしれません。私は、佐々木を演じていた細川さん、イイ役者だなぁと思って、また観たいなって思いました。主役の藤原さんも素敵ですけどね。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「佐々木、イン、マイマイン」