「おらおらでひとりいぐも」一人だと思ってるけどホントは周りに沢山いるんですよ。ほらね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「おらおらでひとりいぐも」を観てきました。

 

ストーリーは、

75歳の桃子さんは、突然夫に先立たれ、ひとり孤独な日々を送ることに。しかし、毎日本を読みあさり46億年の歴史に関するノートを作るうちに、万事に対してその意味を探求するようになる。すると、彼女の“心の声=寂しさたち”が音楽に乗せて内から外へと沸き上がり、桃子さんの孤独な生活は賑やかな毎日へと変わっていく。

というお話です。

 

 

1964年、日本中に響き渡るファンファーレに押し出されるように故郷を飛び出し、上京した桃子さん。

あれから55年。結婚し子供を育て、夫と2人の平穏な日常になると思っていた矢先、突然夫に先立たれ、ひとり孤独な日々を送ることに。

図書館で本を借り、病院へ行き、46億年の歴史ノートを作る毎日。しかし、ある時、桃子さんの“心の声=寂しさたち”が、音楽に乗せて内から外から湧き上がってきた!

孤独の先で新しい世界を見つけた桃子さんの、ささやかで壮大な1年の物語。(公式HPより) 後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画は、若竹千佐子さんの芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」の映画化です。監督は、私の大好きな沖田監督です。「横道世之介」という作品が一番好きだったのですが、今は「モリのいる場所」が一番かな。沖田監督、この難しい作品を、よく映像にしてくださいました。

 

芥川賞は、直木賞作品より映像化しやすい気がしているのですが、この「おらおらでひとりいぐも」は、大変そうでした。だって、桃子さんの想像の中の場面が凄く多いんですよ。それも、カンブリア紀とか、訳の分からない太古の動物とかが出てきて、それはなんなの?って思っていると、突然に、桃子さんの周りに3人の男が現れて、何を言っているのかと思ったら、”おらだばおれだ”って言っているんです。そう、桃子さんの心の声なんですよね。もー、これだけでも、映像化大変そうでしょ。(笑)

 

 

主人公の桃子さんは、突然に夫に先立たれて、子供たちも独立してしまっているので、自分一人での生活になります。心にぽっかり空いた穴。今まで、夫の世話と子供たちの世話で精一杯働いてきた桃子さんは、突然に世話をする必要も無くなり、何をしたら良いのか解からなくなっちゃったんです。そして、図書館に行って古代カンブリア紀などの生物を調べてノートに描き写したり、病院へ行ったり、体操をしたり、そんな事をする毎日。

 

きっと、みんな年を取って、夫婦のどちらかが亡くなったり、元々、一人で暮らしていたり、とにかく一人になると、何をしたら良いのか解らなくなるのかなと思いました。だって、仕事も無く、誰かの世話をするでもなく、じゃ、何するの?って思ったら、何も浮かびませんよね。私もそうですもん。

 

 

趣味をすればいいじゃんって思うけど、身体も弱ってくるし、若い頃と同じ趣味を続けられるのかというのもあるでしょ。だから、思ったんだけど、趣味はいっぱい持っていた方が良いのかなって思いました。出来なくなる趣味が出てくるから、減らして行けばよいですもんね。

 

そんな桃子さんは、どうしようって思って不安になり、自分の心の声が目の前に見えてきちゃうんです。あーでもない、こーでもないって、心の中で色々考えるじゃないですか。それが、自分の周りでワイワイ騒ぎ出すんです。うるさそうだけど、その声は全部自分の声で、自分の中に、こんなに沢山の思考があるんだと思ったら、寂しくなくなっていくんです。自分らしく、自分が考えるままに生きて行く、一人だけど一人じゃないんです。

 

 

自分の中には、今まで出会ってきた人の記憶が沢山あるし、その人達から色々なものを貰っているし、一人と言いながらも、沢山の人の記憶と思いを自分の中に貯め込んで、それこそカンブリア紀からの遺伝子の記憶もあるかもしれない。だから、一人だけど一人じゃないんです。そんな思いが伝わってきて、最後の方、気持ちよくなりました。

 

 

私、桃子さんが描いていた古代生物の”アノマロカリス”が好きで、ぬいぐるみを3匹も買ってあるんですよねぇ。本当は、ストラップとして付けたいんだけど、振り回すのが可愛そうで付けられないの。この古代生物のぬいぐるみって、沢山出ているんですよ。神奈川県の伊豆に、「命の星・地球博物館」というところがあって、そこで、古代生物などの紹介や、地球の創生からの歴史が展示してあったりするんですけど、そこに、古代生物のぬいぐるみが沢山売っているんです。とっても面白い博物館なので、一度、行ってみると良いですよ。コロナ禍でも、少しづつ開館しているみたいです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。不思議な映画でしたけど、観ている時は圧倒されて、よく意味が解らないかもしれません。でも、後から考えると、色々な事が理解出来ると思います。若い人だって、突然一人暮らしを始めたら、どうしたらいいのか解らなくなっちゃって、不安に押しつぶされそうになる事もあると思うんです。でもね、今までの自分の歴史と、心の声を聞いて、少しづつ外に出るようにしたら良いんじゃないかな。焦る必要は無いんですよ。出来る事からコツコツと始めてみたら良いんじゃないかな。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「おらおらでひとりいぐも」 

 

「神奈川県立 命の星・地球博物館」