「十二単衣を着た悪魔」出演者の問題よりも映画自体の問題を考えた方が良いと思いました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「十二単衣を着た悪魔」を観てきました。

 

ストーリーは、

就職試験に落ちてばかりのフリーター・雷は、京大に合格した弟に対し劣等感を抱いていた。ある日、アルバイトで「源氏物語」の世界を模したイベントの設営をした彼は、帰宅途中に激しい雷雨に襲われて意識を失ってしまう。目を覚ますと、そこは「源氏物語」の世界だった。アルバイト先で配られたあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御に見いだされた雷は、息子を異母弟・光源氏との帝位争いに勝たせるべく闘う彼女に振り回されながらも次第に触発されていく。自身の境遇と重ねつつ、悪名高い弘徽殿女御に仕えていくことを決意する雷だったが・・・。

というお話です。

 

 

伊藤 雷は日雇いのバイトで「『源氏物語』と疾患展」の設営に参加。イベント会場に流れる『源氏物語』の登場人物紹介で「デキた弟・二宮」と「後塵を拝した長男・一宮」の関係を知り、シンパシーを抱いた。なぜならば、同じく弟は頭脳明晰かつ眉目秀麗で、かたや自分は現在、就職試験59連敗中のフリーターの身。かねてからのコンプレックスを一層こじらせている日々なのである。

バイト後、恋人と顔を合わせたのだが何とフラれてしまい、おまけに帰宅途中、近所の知り合いから弟が京大医学部へ合格したことを教えられて、卑屈さはMAXに! 祝賀会が開かれる実家に帰るのはバツが悪く、バイトの土産でもらった手提げ袋を持ったまま、家の周囲をアテもなくうろつく始末。



 

その心の内と同期するように、空には雷鳴がとどろき、激しい雨に見舞われると、雷はバイト先でも目撃した不思議な光に吸い込まれて、気を失った。やがて目覚めて驚く。どういうわけかそこは1000年以上も前の平安時代、女流作家・紫式部によって書かれたあの『源氏物語』の世界であったのだ。

タイムスリップしてしまった雷は当然、不審者と見なされ、烏帽子をつけ袴を履いた家臣たちに牢へと閉じ込められた。思いも寄らぬことばかりでパニくったが、手提げ袋に入っていた『源氏物語』のあらすじ本のおかげで大まかな世界観を把握、口から出まかせで陰陽師・伊藤雷鳴を名乗り、さらにはこれもバイトの土産だった頭痛薬が皇妃に効いて、後宮でまんまと陰陽師として重用されることになる。

皇妃の名は、弘徽殿女御。彼女は現代のキャリアウーマン顔負けの逞しいハートと冷静な分析力で、「一宮」である息子を帝にしようと野心に燃えていた。皇位を争うのは一流の男、「二宮」こと異母弟の光源氏だ。雷は自分の境遇を「一宮」と重ねつつ、辣腕で悪魔的に強き女性、“弘徽殿”に翻弄されながらも次第に触発され、運命を共にしようと決心する。後は、映画を観て下さいね。

 

 

源氏物語の世界にスリップした、現代に住む伊藤雷。タイムスリップというか、物語の中にスリップなんだけど、私、「いいね光源氏くん」がお気に入りなので、どーも源氏物語関係のタイムスリップというと、比べてしまって、よく思えないんです。

 

この映画、公開前に出演者に色々な問題が出てしまい、公開が危ぶまれたとかありましたが、無事に公開出来て良かったです。でも、これ、出演者は良かったと思いますが、映画として、構成というか作り方が酷かった。これは出演者という問題以上に、映画として、楽しめる作品とは言えませんでした。

 

 

まず、構成が悪いなぁ。源氏の世界に行ったのは良いけど、あまりにもコントのような感じで、いい加減なのよ。とりあえず弘徽殿女御に取り立てて貰い、陰陽師として生きて行くことになるんだけど、一気に何か月も何年も年月が飛んでしまうんです。源氏物語は誰もが知っているだろうと思って飛ばすのかもしれないけど、これ、源氏物語を知らないと、誰がなんでそんなことになっているのか解からないのよ。

 

桐壺帝は厭らしい感じで良かったんだけど、春宮と光源氏が全く光ってないんです。この二人をもっと輝かせてくれないと、何で争いになっているのか伝わってこないんです。春宮は、弟の源氏より劣っているという噂だけど、実際には堅実で聡明な人物で、見た目は美少年じゃないかもしれないけど、国を司るとなったら、春宮が良いと思わせないと、この話が盛り上がらないのよね。そこら辺も、とても薄い内容でした。

 

 

主人公の雷ですが、どちらかと言うと控えめな感じの立ち位置で、女性陣を引き立てる為のように見えました。やっぱり伊藤さん、上手いですよ。だって、俺が俺がって感じで前に出ていく雰囲気が無くて、弘徽殿女御がとても引き立ってましたもん。三吉さんがとても美しく、強い女性に見えて、カッコ良かったです。

 

弘徽殿のライバルとなる桐壺と藤壺の女御ですが、こんなに強い女性を持ってきたらイメージがバラバラです。全く儚げでは無いし、性格が悪そうに見えて、この二人が呪いそうに見えたもん。源氏物語というベースがあるので、映画の独特性を出したかったのかもしれませんが、この部分は変えると内容が持って行き難いという部分は変えなかった方が良かったと思います。

 

 

色々な俳優の問題は抜きにして、それぞれの俳優の演技は良かったと思います。皆さん、良かったのですが、やはり映画としての構成や映像、脚本の組み立てなど、そちらの方が上手く行っていなかったと思いました。映画が見難かったし、TV用の枠っぽく見えたし、先日も書いたけど、人物アップが多すぎるんですよね。セリフを言っているからって、人物アップにする必要は無いんです。

 

ごめんなさい。私は、この映画、ダメだったなぁ。伊勢谷さんと伊藤さんの問題は関係ないと思います。お二人は、十分な演技をしていたし、それこそ、演じている彼らに罪は無いと思いました。でもね、映画としてどうだと言われると、これは面白いとか、良かったとか言えませんでした。一応、源氏物語がベースなんだから、春宮VS源氏という部分は、輝かせて欲しかったし、それがあってこその、母親である弘徽殿女御の強さですよね。それに源氏物語なんだから恋愛シーンはもっと濃厚にエロく描いて欲しかった。この源氏物語がどうして人気なのかっていうと、昔の”ハーレクイン小説”と言ってよい内容だったからでしょ。そこら辺が、全く生かされていなかったのが残念でした。

 

 

申し訳ありませんが、私は、この映画、お薦め出来ません。お薦めしたいけど、面白いですとは言えないんですもん。もっと、色々なやり方があったと思うけど、私には、失敗しているように見えてしまいました。源氏にエロが無いなんて、そんな寂しいことありませんよ。俳優さんたちは素敵だったので、お好きな俳優が出演しているようでしたら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「十二単衣を着た悪魔」