「生きちゃった」を観てきました。
ストーリーは、
高校時代から仲のよい幼なじみの山田厚久と山田奈津美、そして武田。厚久と奈津美は結婚し、5歳になる娘がいる。なにげない日常を送っていたある日、厚久が奈津美の浮気を知ってしまう。突然のことに、厚久は奈津美に怒ることもできず、悲しむこともできずにいた。感情に蓋をすることしかできない厚久、そして奈津美、武田の3人の関係はこの日を境に次第にゆがんでいく。
というお話です。
幼馴染の厚久と武田。そして奈津美。学生時代から3人はいつも一緒に過ごしてきた。そして、ふたりの男はひとりの女性を愛した。
30歳になった今、厚久と奈津美は結婚し、5歳の娘がいる。ささやかな暮らし、それなりの生活。
だがある日、厚久が会社を早退して家に帰ると、奈津美が見知らぬ男と肌を重ねていた。妻の浮気を目の前にして、声を失う厚久。怒りたいのに怒ることが出来ず、涙も出ない。すると奈津美は厚久に、結婚してからずっと辛かったと告白する。愛してくれないから、こんなことになったんだと厚久を責める。
厚久は、自分なりに奈津美を愛しているし、子供も愛している。ただ、上手く伝える術を知らないのだ。淡々と離婚について話す奈津美は、このままここに住みたいから出て行って欲しいと厚久に言う。家を出た厚久だが、割り切れてはいない。しかし、既に奈津美は新しい男と一緒に住んでいる。
奈津美は、新しい男との生活を始めるが、クズ男で仕事を直ぐに辞めてしまう。男は元夫に金を貰えと言い、奈津美は生活費を厚久に要求していた。そしてどんどん悪い方向へと向かって行く。
一方、武田は、そんな厚久と奈津美を心配しており、厚久が言いたくて言えない気持ちを汲んで、静かに寄り添っていた。
そんなある日、厚久の閉じこもっていた兄が厚久の住んでいた部屋を訪ねると、既にそこには厚久はおらず、奈津美と新しい男が住んでいた。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
石井監督の新作ですが、以前に比べて、ちょっと内容が暗くなっているような気がしました。石井監督の作品って、どこか笑える部分があったりして、凄く考えさせられるけど、ちょっとした部分で心を軽くしてくれるトリックがあったような気がしていたのですが、今回は、心が救われないのよ。辛い映画でした。
主人公の厚久は、真面目でイイ奴なんだろうけど、口数が少なくて、伝えたい事を伝えられないタイプなんです。そんなタイプの男には、もっと優しくて、気が付く子があっていると思うんだけど、高校時代に知り合った奈津美は、全くそういう女性じゃないんです。高校時代に知り合って、仲が良かったからといって、結婚が上手く行くとは限らないですよね。
こんなに合わない二人が、どうして結婚したのかなって思うのですが、どーも事情があったらしく、厚久が元々、婚約していた女性は、彼にピッタリなタイプのようでしたが、色々あって、奈津美と結婚したようなんです。そこで間違えているよって思ったのよね。なんで武田が言ってくれなかったのか、凄く不思議です。武田だけは、二人のタイプが違う事を知っていたし、もし上手く行って欲しいなら、厚久は口下手だけど奈津美の事を愛しているからと伝えてあげれば良かったのに。そうすれば、奈津美の心が離れる事を止められたかもしれないのにね。
ま、でも、私の考えを言わせて貰えば、奈津美がクズだという事かな。まず、厚久が婚約していたのに破棄させて、自分と結婚してくれたのに、結局浮気をして、寝ている現場を見られて、厚久に家を出て行ってくれと言い放つって、どーいう女よ。厚久と暮らしていた家に、平気で浮気相手の男を連れ込んで、一緒に暮らし始めるという、あまりにも人の気持ちを逆なでするような行動にイライラしました。
そんな奈津美に、厚久の家族まで振り回されることになり、最終的には、結構、悲劇的な結末に辿り着くのですが、まぁ、仕方ないかな。またも言ってしまうけど、自業自得って気持ちがしました。自分の夫をバカにして、酷い仕打ちをしたんだから、それなりの罰はあるよ。まるで、厚久が悪いような事を言われていたけど、厚久は、全然、悪くないからね。口下手ってだけで悪いと言われたら、それは可哀想でしょ。
仲野さん、本当に良いんだけど、今回の若葉さん、良かったなぁ。それほど、出演シーンが多くは無いのですが、彼の優しさが最後の救いになったような気がして、最後まで辛いんだけど、一息は付けたような気がしました。大島さんは、女優の貫禄が出てきましたね。上手くなったし、このクズをクズらしく演じていて、良かったなぁと思いました。こんなに憎らしく思えるなんて、凄いですよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても良い映画なんだけど、明るい映画ではないので、あまり万人にお薦め出来ないかなぁと思いました。観た後に落ち込むもん。自分はどうかなとか、色々考えてしまって、良い作品なんだけど、辛かったです。でも、映画好きな方には、見応えのある、面白い作品だと思いますよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「生きちゃった」