東京国際映画祭2020で「メコン2030」(ワールド・フォーカス)を観てきました。
ストーリーは、オムニバス形式で5作品の短編がありました。
「ソウルリバー」(カンボジア)
2030年、メコン川は環境が悪化し、魚も取れなくなり、人々は川岸での生活が出来なくなり、移動をしました。ある男が、川岸で食料を取ろうと弓を構えていましたが、何かに躓いてしまいます。よく見ると、足元に古い仏像が埋まっている事に気が付き、掘り起こします。食料も取れず、お金もない男は、仏像を売ろうと考えますが、その土地のガードマンの男が寄ってきて、一緒に運んでやるから売ったお金の半分をくれと言います。二人は舟まで仏像を運び、人のいる村まで運び、売ろうとしますが・・・。
「チェ・ブラザー」(ラオス)
チェ兄弟は、長男・長女・次男と3人兄弟だった。次男は都会に出て大学に通っており、卒業の1ヶ月前に姉に呼ばれてメコン川の漁村の故郷に帰ってくる。
今、世界では奇病が流行っており、その病気の血清となる血液を持っている人を探していた。チェ兄弟の母親がその貴重な血液を持っており、長男が母親を連れて行き、企業に血液を売っているという。姉は、そんな兄から母親を取り返したいと思い、弟に協力させようと呼んだのだった。
そして、兄の所から母親を取り返そうと弟が向かうのだが・・・。
「メコンの忘れられた声」(ミャンマー)
メコン川の川岸の村。世界から取り残されたような村に若い村長が決まり、企業と契約をして、金の採掘を許可する代わりに、村民を雇用して道路も作って貰うようにしますと決めます。
一人の老女が反対をしますが、誰も話を聞かず、企業が村に入り込み、採掘の為に使う薬品で村を汚染して行きます。そして・・・。
「ライン」(タイ)
川の生態に焦点を当てた新しい展覧会を開く準備をしているアーティストがいるのですが・・・。
「見えない川」(ベトナム)
不眠症の治療法を求めて、下流の見知らぬ寺院を捜しに来るカップル。30年間探している恋人を上流に探しに来る中年女性。二つの物語が語られ・・・。
というお話です。
実は、最後の2作品、あまりにも眠くて、よく覚えていないんです。ごめんなさい。最初の3作品は、まぁ、面白かったのですが、最後の方は、雰囲気を伝えるような内容と映像で、単調が続くので、ウトウトしてしまったんです。
ソウルリバーは、イソップ童話の「よくばりな犬」の話とよく似ていました。貧すれば鈍するというけれど、何処までも欲をかいてしまうので、重い仏像を舟で運ぶのは危ない、ということを忘れてしまうんですよねぇ。仏像が高いお金で売れるということしか頭に無くなっていて、それが国の大切な宝であることも、仏様の化身であることも、全く考えていないんです。ただお金欲しさで2人の男が騒いで、取り分の事で揉めるので、仏様もムカつきますよね。バチが当たったのだと思います。そんな内容でした。最後は、ちょっとスッキリしました。
チェ・ブラザーは、母親の血が金になるとなったら、もう、”母親”ではなく、母親がモノになってしまうんですよ。母親を手に入れた者が、お金を手に入れるということで、兄姉で争奪戦を繰り広げるんです。それに利用された末っ子の弟は、誰も信じられなくなり、兄姉を軽蔑します。でも、自分もそのお金で大学に行かせて貰っているので、結局、何も言えなくなってしまう。悲しい結末でした。この作品も、貧困が問題だったのかな。これも貧すれば鈍するって感じでした。
メコンの忘れられた声は、この老女の声が忘れられた声なんです。必死で村の現状を守ろうとした老女の声を無視して、企業誘致をした為に、村が汚染されて、子供が毒に侵されるという事態が起きてしまいます。”後悔先に立たず”という事になってしまいます。うーん、これも救われない話でした。
ごめんなさい。あとの2作は、寝ちゃったので覚えていません。(笑)
メコン川流域の5カ国の監督が1本づつ作っています。ちょっと面白い取り組みで、それぞれの国の雰囲気が出ていたのかなと思いました。今のままで行くと、2030年には、こんな酷い事が起きるだろうという事を想定して、描いていたようです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。これ、私も疲れていなかったら、ちゃんと最後まで観れたと思います。最初の3本は、十分に楽しめたので、良い作品だったと思います。日本公開は、オムニバス映画なので難しいかなぁとは思いますが、何かイベントなどで上映してくれたら面白いかなと思いました。もし観る機会があったら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「メコン2030」