【TIFF2020】「息子の面影」メキシコの暗く辛い現実が描かれています。衝撃のラストでした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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東京国際映画祭2020で「息子の面影」(ワールド・フォーカス)を観てきました。

 

ストーリーは、

 

辺境の地から仕事を求めて息子が旅立ちます。母親・マグダレナは、今の状態でも幸せだと言うのですが、息子を止める事は出来ません。国境へ向かったところまでは連絡があったのですが、それ以降、連絡が無くなり、息子がどうなったのか解りません。

 

警察に行った母親は、息子を探して欲しいと頼むのですが、自分の意志で出て行き、一度は母親も同意したのなら、捜査することは出来ないと話す。それでもという母親に、分厚いファイルを渡す。ここ最近に、国境付近で見つかった、身元不明の遺体の写真だった。一人の母親が泣き崩れる。息子の写真があったのだ。しかし、マグダレナは息子を見つけられない。

 

 

生きているのか、死んでいるのか、家から持って出たリュックは見つかるが、息子の姿はない。マグダレナは自分で探すしかないと思い、国境を目指して旅を始める。

 

一方、米国から強制退去となった青年が故郷を目指し、歩き続ける。彼も母親を置いて、一人で家を出たのだった。家の近くまで来たところで、息子を捜しに来た母親と出会う。母親は、息子の面影を宿す青年と話すうちに、息子のように思えてきて・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

メキシコから国境を渡って、アメリカで仕事をするっていうお話は多いですよね。特に、トランプ政権になり、メキシコとの国境に壁を作ると言ってから、そんなに大変なことになっているんだという事を知りました。トランプの政策でメキシコからアメリカに入り難くなったのは解るし、強制送還される人も増えたのでしょうね。

 

国境を超える時に国境警備隊に捕まったり、撃たれたりするのは解るんです。仕方ない事だと思いますけど、その国境に入る前に、メキシコの国境付近にカルテルという組織がいて、国境を超えようとする人たちを襲撃して、物を奪っている事を、この映画で知りました。国境を超える為の敵はアメリカ人かと思っていたら、メキシコ人だったんですね。仲間同士で殺し合って、何を考えているのでしょうね。

 

 

マグダレナは、どんなに探し回っても息子に辿り着かず、遺体も見つからない。生きているのか、死んでいるのか解からず、段々と疲れてきてしまい、息子に似た青年に息子を重ねて、そこで諦めちゃうのかなと一瞬思ったのですが、そこから、また急展開があり、恐ろしい結末に辿り着くんです。そこに行きつくまでも、沢山の問題があって、メキシコって、こんなに危険な場所なのかと思ったのですが、最後まで行きついたら、もう、息が出来ないほどの驚きと衝撃で、悲しくなりました。

 

それにしても、あまりにも多くの人が国境近くで殺されているという事を、初めて知りました。毎日、こんなに死体が転がっていて、それも事故などではなく、殺人という事に驚きました。まるで戦争のようですね。内戦と言って良いのではないでしょうか。ビックリしました。

 

悪魔に魂を売ってでも生きたいと願う事は悪い事なのか。この映画を観た後、何が正しくて、何が間違っているのか、よく解らなくなりました。マグダレナは普通の息子思いの母親だし、息子だって母親思いで、仕事をして、母親を楽にしてあげたいと願っただけだと思うのに、こんな結末に辿り着いてしまうのかと衝撃でした。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。メキシコの現状を描く、衝撃作だと思いました。暗い映画なので、問題作だし、観るべきメキシコの現状なのだろうけど、あまり観たいと思う人は少ないかしら。辛い映画なので、単館系なら、日本公開してくれるかもしれません。さすがに心が痛む作品だったので、万人受けする映画とは言えません。でも、気になった方は、ぜひ、公開されたら観てみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「息子の面影」