【TIFF2020】「チンパンジー属」人間の姿だけど中身は猿以下の人たちが住む島って・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭2020で「チンパンジー属」(ワールド・フォーカス)を観てきました。

 

ストーリーは、

パウロ、バルド、アンドレスの3人は鉱山で労働をしています。フィリピンでは貧困が蔓延しており、彼らのように出稼ぎに出ているのでした。鉱山の元請けに搾取され、僅かな給料で働いているのですが、その上、パウロとアンドレスは、彼らにこの仕事を紹介したバルドに紹介料を払わなければなりません。どんなに頑張っていても、大した給料は残らないのです。

一通りの仕事が終わり、彼らは何日も歩いて帰路に着きます。20代のアンドレスは家も貧しいし、姉も病気なので、お金に困っていて、バルドに助けて欲しいと頼みますが、約束をしたのだから、紹介料は払えと言われてしまいます。



 

何処までも搾取されるこんな生活から抜け出したいとアンドレスは思っていますが、この島から抜け出すことが出来ません。この島しか知らないのですから。

長い帰路の最後に3人は酒を酌み交わし、仕事での苦労を労いますが、何処からかパウロとバルドが喧嘩となり、それを止めようとしたアンドレスは、勢い余って二人を殺してしまいます。そんなつもりは無かったのですが、仕方ないので二人を山に埋めて、彼らの荷物とお金を家族に届けます。アンドレスは正直者なので、彼らの荷物から盗まず、真実を告げます。

しかし、この島で正直者など意味がありません。誰もが自分の利益しか考えず、人から搾取することしか考えていないのです。アンドレスが村に帰り、パウロとバルドの遺族にお金が入ったらしいと聞きつけた村の男は、全てを自分のモノにしようと考えて・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

うーん、この映画、どう評価して良いのか解からないです。題名どおり、その島の人々は、チンパンジーと同等の行動しかしていないというか、この人たち、猿以下ですねって言いたくなるほど、酷い人間ばかりで、腹が立ちました。2時間半以上の大作なのですが、この監督にしては、短い方らしいです。

 

モノクロで撮影されていて、前半は、山の中を少し歩いては、座って話をして、喧嘩をしてというのの繰り返しです。いつまで、これやってんのかなーって心配になってくると、やっと変化が訪れて行くのですが、本当に、このまま映画が終わっちゃうんじゃないかと思わせるほど、しつこく、同じ事が繰り返し描かれていて、随分と続いたころ、少し寝ようかなーなんて思ったほどです。

 

これ、何処まで書いたらネタバレになるのかなぁ。結末は、もちろん書いちゃマズいだろうけど、それ以外のどこまでを書いて良いのやら、解りません。とりあえず、私があらすじで書いた部分までにしておきますね。

 

 

3人の男が出稼ぎから村へ帰るのですが、その帰り道がすんごく長くて、バルドに紹介料を払えとか、パウロが肩代わりするとか、色々、お金のやり取りがあり、3人の中でモヤモヤした部分があるんです。そして、最後の最後で喧嘩が起きてしまい、若いアンドレスだけ生き残るんです。二人の喧嘩を止めようとして、二人とも殺してしまったんです。

 

彼らが住んでいる島は、とても貧しくて、誰もが貪欲になっています。力の強い者に上納金を払わなければ守って貰えないし、いつもビクビクして過ごしているんです。そんな島から出て行けばよいのですが、昔からそこに住んでいるし、お金も無いので、簡単には出て行けないんです。

 

誰もが、自分の事しか考えていないんですよ。みんな、同じ立場で、同じように家族がいるのだから、平等にお金を貰えばよいと思うのですが、相手にも家族がいるというのは、全く考えないんです。自分だけが大変だと主張するんです。うーん、たまに周りにいますよねぇ。自分だけが大変で、苦しいんだと主張する人。そりゃ、苦しいんだろうけど、他の人達だって、同じなんだぞって思えないんです。

 

 

それって、相手の事を想像出来ないって事ですよね。想像力が乏しい、先の事が見れない、という事は、猿以下かなって事なんです。んー、猿でも、一度経験すれば同じ間違いはしないし、自分の手下は守るとかするんだけど、この島の人たち、そういう考えは全く無いみたいに見えました。マジで酷かった。教育がされないのに、資本主義が入って来てしまったから、こうなってしまったのかしら。酷い状態でした。

 

でも、この弱肉強食状態が続き、強い者が弱い者を全て食いつぶしてしまったら、自分たちだって死ぬしかないのに、それを想像も出来ないのでしょうね。ただ、目の前の欲望を満たすためだけの行動しかしていませんでした。

 

そんな人間の姿が、生々しく描かれていて、観ているのが辛くなるような部分もありましたが、モノクロなので、血も目立たないし、思ったほど残酷ではありませんでした。それにしても、この監督の描き方、人間の本質に迫ったような映像と、構成で、圧倒されました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。ですが、一般的な映画が好きな方は、やめた方が良いかもしれません。玄人向けだなぁと思いました。私も、観ている時は、本当にいつまでも同じで退屈だなぁ~とか、キツいなぁ~とか、そんな場面が連なっていて、途中で何度も寝てしまいたいって思いましたが、何故か、映像が目に焼き付いてしまい、興奮して眠れないんです。映画通の方は、こういうタイプの映画は好まれるんじゃないかな。私は、こういう作品、嫌いではないですが、何本も観るのは無理かなぁ。でも、面白かったです。日本公開は解りませんが、これ、どこかで配信してくれないかしら。長い作品なので、映画館で上映は辛いんじゃないかな。他の作品と共に、この監督作品を配信してくれたら、このタイプが好きな方々は喜ぶんじゃないかな。気になった方は、ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「チンパンジー属」