【TIFF2020】「モラル・オーダー」100年も前に女性の権利を主張したカッコいい人物伝です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭2020で「モラル・オーダー」(TOKYOプレミア)を観てきました。

 

ストーリーは、

 

1918年、ポルトガル、リスボンの伝統ある新聞社の代表者のマリア・アデレイデ。祖父からの新聞社を相続し、社主は彼女で、夫に会社を任せていた。息子も会社で働いており、裕福な暮らしをしていた。

 

その時代、夫は愛人を持っている事が当たり前のようになっており、公の場で同席しても誰も咎めていなかった。しかし、女性が噂を立てられれば、あっと言う間に悪評が広がり、不貞だと責められる。そんな不公平になっとくがいかないマリアは、色々な鬱憤を最新小説を読んだり、友人たちと演劇をしたりで紛らわせていた。

 

 

ある日、慰問で病院へ行くと、以前、自分の家の運転手をしていたマヌエルが病に臥せっているのを見つける。流行り病にかかったようだった。可哀想に思ったマリアは医者を呼び、手厚い治療をするようにと話しをする。マリアも何度も通い介護をして、マヌエルは回復をする。その時には、既にマリアはマヌエルに恋心を抱いていた。しかし26歳も違う2人に対して、周りの目は冷たい。

 

マリアは、夫との生活にも、上流階級の”常識”とされる狂った認識にも耐えられなくなり、とうとうマヌエルと一緒に逃避行を決行する。誰にも見つからないように、マヌエルの友人に手引きを頼み家を抜け出し、豪華な生活を捨てて、貧しい新しい生活を始める。

 

 

夫のアルフレドは自分の新聞に行方不明の妻の記事を載せ、懸賞金を付けて情報を集め始める。すると、マリアが逃げる時に手を貸してくれたマヌエルの友人が懸賞金欲しさに裏切り、アルフレドに情報を伝えてしまう。隠れ住んでいた家に踏み込まれたマリアは、マヌエルと引き離され、言う事を聞かなければマヌエルを誘拐と監禁の罪で逮捕させると言われてしまう。彼を助ける為、仕方なく夫の言う通りにすると、精神異常とされて病院へ収監されてしまう。正常だと訴えるマリアだが、アルフレドの友人である高名な医者や学者が敵となり、どうしようもない。

 

そんな時、裏切ったマヌエルの友人が現れ、弁護士を紹介し、彼と共に、夫の不正と、マヌエルの無罪を主張します。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画は、ポルトガルの大手新聞社の相続人だったマリア・アデレード・コエーリョ・ダ・クーニャという人物の自伝的お話です。実際に、マリアは運転手と駆け落ちし、大問題になり、その後も法廷闘争が続いたそうです。男性だから愛人を持っていても良い、女性が愛人を持つことは許されない、という男性優位の考え方が根強かった時代に、それに抗うように行動に移したマリアの強い意志が描かれていました。

 

とても見応えのある映画で、もっと話題になって良かったんじゃないかなぁと思うような作品でした。主演女優さんも有名な方です。名前を忘れてしまいましたが、よく色々な映画に出演されている方でした。他の俳優の方々も、顔を知っている方がほとんどで、私、名前を覚えるのが苦手で、思い出せませんが、観て頂ければ分かると思います。

 

 

この時代に、新聞社を所有していた女性が、一介の運転手と駆け落ちして消えてしまうという前代未聞の実話なので、自伝も出版されて、映画化されたのだと思います。今時のセレブなんて足元にも及ばないような、本当の大金持ちですよ。政治をも動かすような世界の人が、駆け落ちですから、そりゃ、驚きます。

 

それに、この時、新聞社を政府系の会社に売るという話が進んでいて、マリアは新聞社は政治の片棒を担いではいけないと思っていたので、決して売らないと頑張っていたんです。でも、この駆け落ちをネタに、精神病の診断を下され、夫が後見人となり、結局、新聞社は政府系の会社に売られたそうです。その後、新聞社は、ポルトガルの独裁政治の片棒を担ぐことになったようでした。

 

新聞社の売買を考えると、もしかしたらマリアはハメられたのかもしれないと思うけど、映画ではマヌエルと本当に熱愛でした。実際も、マリアは亡くなるまでマヌエルと添い遂げたらしいです。26歳の差があっても、愛し合うって出来るんですね。ちょっと目から鱗が落ちた感じでした。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。実話を基に描かれたお話で、ポルトガルで、女性の権利を最初に主張した方なんじゃないかしら。ムカつく夫や弱い息子を出し抜いて逃げ出しちゃうなんて、カッコ良かったです。この映画、日本公開して欲しいなぁ。今から100年も前に、性差別について考えて、行動した女性のお話を、ぜひ、沢山の女性にも観て欲しいです。公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「モラル・オーダー」