【TIFF2020】「第一炉香」朱に交われば赤くなる、白かった少女はもう無垢には戻れない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

東京国際映画祭2020で「第一炉香」(ワールド・フォーカス)を観てきました。

 

ストーリーは、

上海事変によって一家で香港に移り住み、香港の高校に通うグー・ウェイロン。一家はお金が続かず、上海に帰ることになったのだが、ウェイロンはもう少しで高校を卒業することが出来る。何とかお金を工面して、高校卒業をしたいウェイロンは、父方の叔母に手紙を送る。

 

叔母は、正妻として嫁いだのではなかったため、一族から良く思われていなかった。ウェイロンの父親も連絡を取っていなかったのだが、一族が没落していき、資金も無くなり、ウェイロンが頼れるのは叔母だけになっていたのだった。突然に援助して欲しいというのも図々しいと思ったウェイロンは、まず、挨拶だけでもと叔母の家を訪ねる。

 

 

大きな豪邸に住むリャン婦人は、若く美しく、お金もあり、生活を謳歌していた。パトロンがおり、若い恋人もいる。そんなリャン婦人の前に、みすぼらしい田舎娘が姪ですと言って訪ねてくる。最初は、相手にもしなかったのだが、ウェイロンは若く美しく聡明で、彼女の未来を見たリャン婦人は、彼女を迎えて、高校に行かせることにする。

 

リャン婦人の交友関係は広く、多くの人物に紹介されたウェイロンは、富豪の息子・ジョージに惹かれていく。しかし、ジョージは、リャン婦人とも関係があり、その上、酷いプレーボーイで、次々と女性と関係を持っていたのだ。彼は結婚などまっぴらだと言い、生涯、結婚はせず、その場限りの関係を女性と続けて行くと公言していた。

 

 

そんなジョージだが、ウェイロンは彼に惹かれていく自分を止められず、とうとう、彼と関係を持ってしまう。しかし、彼にとっては、ウェイロンも大勢の中の一人。リャン婦人の屋敷のメイドとも関係を持っていて・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、凄く美しくて、素敵で、感動する映画でした。香港の上流階級で華やかに暮らしているリャン夫人の所に、田舎から姪が訪ねてきます。この時代、上海でお金持ちだったこの一族は、愛人となったリャンに白い目を向けたんです。ウェイロンの父親もその一人で、妹のリャンには連絡を取るなと家族に言っていたんです。

 

 

でも、愛人と言っても現代とは違い、正妻に了承して貰って愛人となるようで、愛人というよりも第2夫人という感じでした。何人も愛人を持つのは男性の器量良しの証だったのかしら。とにかく、男性は愛人が何人もいて、妻は文句を言えないような世界でした。

 

そんな香港で暮らしていたウェイロンの一族ですが、お金が底を尽き、香港で暮らせなくなって、上海へ帰ることになるのですが、ウェイロンはあと少しで高校を卒業出来るので香港に残りたいと思うのですが、お金も無く、住むところもありません。叔母に頼もうと思うのですが、父親が酷い仕打ちをしているので、一応、挨拶だけと言って訪ねて来るんです。うーん、マジで図々しいですよね。リャンが苦しかった時に何も助けなかったくせに、自分たちが苦しいと助けて欲しいという、厚顔無恥とはこの事です。最初は、リャンも追い返そうとするのですが、ふと気が変わって、ウェイロンを受け入れます。ウェイロンの中に、自分と同じような素質を見つけたのかもしれません。

 

 

ウェイロンは、リャン夫人の家で暮らし始め、高校へも行かせて貰います。最初は、おどおどしていて、メイドにも馬鹿にされるような感じでしたが、段々と貫禄を付けてきます。そこの生活にも慣れ、叔母のパトロンの英語の通訳などもするようになり、上流階級の一員となって行きます。

 

リャン夫人の相手でもあったジョージは、富豪の息子でイケメンなんです。沢山の女と関係を持っているのですが、ウェイロンもジョージに憧れて、彼に惹かれて行きます。彼と付合う事を願いますが、ジョージは特定の恋人も持たないし、結婚もしないという主義で、ウェイロンの恋は終わってしまいます。しかし、どうしても諦めきれないウェイロンは、ある行動に出ます。うーん、不毛な恋愛だと思うけど、それでも好きだというなら仕方ないですね。

 

 

そんな事を経験して行く内に、ウェイロンは、豪華に見えて何不自由なく好き勝手に生きているように見えていたリャンが、実は、凄く苦労をして、辛い思いをして、今の地位を築き、今現在も持続させているのだということを理解して行きます。そりゃそうですよ。女一人で、上流階級を渡り歩き、大きな力を持つようになるには、並大抵の努力じゃなかったハズなんです。このリャン夫人が、凄く素敵で、美しくて、燦然と輝いて見えるんですよ。上に立つ者の貫禄が備わっていて、彼女には、みんなひれ伏すだろうという感じが、素晴らしかったです。もちろん年齢は高いし、ウェイロンや、他にも、若くて美しい女性は沢山出てくるのですが、リャン夫人の美しさの前には、誰も立っていられないという感じでした。

 

この時代の後、日中戦争があって、第二次世界大戦になり、香港はイギリス領となるのかな?私は、あまり歴史的な事は知らないのですが、この映画、もっと歴史的なモノを知っていると、面白かったのかもしれません。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この雰囲気、大好きでした。美しい映画だったなぁ。衣装はワダエミさんで、音楽を坂本龍一さんがやっています。映画祭だと、こじんまりした映画が多いのですが、この映画は、豪華で大スクリーンで観るに値するような、美しい風景と映像でした。日本公開、ぜひして欲しい作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : これ、原作本、日本ではまだ出版されていないのかしら。アイリーン・チャンさんの有名な小説だそうです。読んでみたいなぁ。

 

 

「第一炉香」