東京国際映画祭2020で「ファン・ガール」（TOKYOプレミア）を観ました。
ストーリーは、
人気スター、パウロ・アヴェリーノの大ファンの女子高生ジェーンは、モールに映画キャンペーンに訪れていたパウロが乗っているランクルピックアップの荷台に隠れて忍び込み、そのままパウロの家まで付いて行ってしまう。パウロは気が付かず、家に着いて入って行ってしまう。荷台から出たジェーンは家に忍び込み、彼の家の中を物色している。
ジェーンを見つけたパウロが追いかけると逃げ出すのだが、また戻って来てパウロに”あなたの熱狂的なファンなんです。”と訴える。必死のジェーンに折れたパウロは、遅いから泊って行きなさいと２階の部屋を案内する。しかし興奮しているジェーンは眠れずに、パウロのところへきて、写メを撮ったり、やりたい邦題。まだ16歳というジェーンに、仕方ないと思ったのか、写メを撮ってあげて、ポスターにサインも。
次の日にジェーンを送って行こうと車を走らせると、ある女性とそれ違い、そこからパウロが荒れ始める。その女性と何かあったようだった。パウロは、彼女との事を涙ながらに話だし、それに呼応するように、ジェーンは、自分の母親と義父の虐待について話し出す。問題を吐き出した2人は、出かけるのを止めてしまい、またパウロの家に引き返す。そして･･･。後は、映画を観て下さいね。
この映画、最初はホラーでした。トラボルタの「ファナティック」や、「ミザリー」のように、ファンだと言って妄想が暴走し、相手の私生活まで入り込んで行くというのが、凄く恐ろしいと思いました。こういう子が、隠れて写メを撮って、どんどんアップしちゃうんだろうと思いますが、怖いですよねぇ。このパウロも人が良いから、ファンだと言うジェーンを家に入れてしまいます。これ、日本だったら未成年だから犯罪になっちゃうからね。
ジャニーズの山下さんとか亀梨さんとかも同じだったんじゃないかと思ってしまった。優しければ優しいほど、こういう子に騙されてしまうんだろうと思いました。可哀想だと思って連れて行ったら、写メを撮られたりして、訴えられてお金を取られるとか、はっきり言って、美人局ですよね。恐ろしいです。日本で、もし家に入られたり、付いてこられたりしたら、直ぐに警察に連絡してくださいね。未成年だからって可哀想と思ったらお終いですから。最近の子供は恐ろしいです。
この映画が面白いのは、途中まで、ストーカーとしてジェーンがパウロを追い詰めているような感じに見えるのですが、途中から反転して、今度は、パウロが自身の問題を持ち込んで、フィリピンでの男女差別の問題になって行きます。
ジェーンの家庭は、父親が出て行ってしまい、母とジェーンと弟の３人だったのですが、母が新しい男を連れてきます。家で母親が義父にDVを受けていて、別れれば良いのにと言っているのに、母親はDVを受けていても、義父と別れようとしません。いつも母親に酷い言葉をぶつけていて精神的虐待をしており、時には殴ったりもしているのに、母親は口答えせず、そのままなんです。
ジェーンは、何故、女だからというだけで、こんなにも卑下されなければならないのか、我慢しなければならないのか、どうしても許せません。大好きなパウロは、そんな酷い男とは違うと思っていたのに、段々と彼を一緒にいると、彼の本性が見えてきて、女のくせにというような考え方が出てきます。男がやる事は正しくて、女は従うべきだという考え方をジェーンの父親も、パウロも持っていて、フィリピンではこれが普通なのかなと驚きました。日本でも、そう思っている人もいるのだろうけど、今時、それを言葉に出したら、時代遅れでパワハラだと言われて、訴えられますよね。でも、まだまだ、横暴な男性に反発出来ない女性もいるのかな。
ジェーンの理想の男性パウロも、フィリピンにいる一般的な男性と同じなんだと言う事が解っていき、ジェーンの思いも変わって行くという感じでした。それにしても、ストーカーは怖かった。女子高生、恐るべしです。いくら可愛くても、関わらない方が身のためですよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。面白かったです。でも、ちょっと途中で、話の展開が変わってしまうので、頭を切り替えて観ないといけないかな。訴えることが変わるので、上手く自分の中で切り替えて観てあげる事が必要かもしれません。日本公開は、うーん、どうかなぁ～。もし、公開されたら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ファン・ガール」 https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP11
