「鵞鳥湖の夜」カッコいいフィルムノワールサスペンスです。映像の美しさにため息が出ました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「鵞鳥湖の夜」を観てきました。

 

ストーリーは、

2012年、中国南部。再開発から取り残された鵞鳥湖(がちょうこ)周辺の地区で、ギャングたちの縄張り争いが激化していた。刑務所を出て古巣のバイク窃盗団に戻った男チョウは、対立組織との争いに巻き込まれ、逃走中に誤って警官を射殺してしまう。全国に指名手配された彼は、自身にかけられた報奨金30万元を妻子に残すべく画策。そんな彼の前に、見知らぬ女アイアイが妻の代理としてやって来る。鵞鳥湖の水辺で娼婦として生きる彼女と行動をともにするチョウだったが、警察や報奨金強奪を狙う窃盗団に追われ、後戻りのできない袋小路へと追い詰められていく。

というお話です。

 

 

2012年、中国南部。7月19日。土砂降りの雨の中、鵞鳥湖近くの高架下で妻を待つチョウ・ザーノン。チョウはバイク窃盗団の幹部だ。彼に声をかけてきたのは赤い服の女。妻は来ないと言う。彼女は”水浴女”でリウ・アイアイというらしい。本当にチョウなのかと聞く彼女に、2日前にあった出来事を話し始める。

 

7月17日。鵞鳥湖の周辺地区でバイクの窃盗を生業としているギャングたちがいた。チョウも、長年その一人として仕事をしており、逮捕され刑務所から出てからもその仕事に戻った。窃盗団のリーダーが構成グループに担当地区を割り振るのだが、チョウのグループはベテランという事で、良い窃盗場所を当てがわれていた。

 

 

しかし、若手の”猫目、猫耳”のグループがチョウの地区が欲しいと言い出す。喧嘩となり、チョウのグループの”金髪”が銃を出して、猫耳の足を撃ってしまう。兄弟を撃たれた猫目は金髪を許さず報復し、チョウまでも殺そうと襲ってくる。銃で撃たれたチョウは逃げ、途中で目の前に現れた男を撃ってしまうと、その男は警察であり、チョウは警察殺しで指名手配されてしまう。

 

7月18日。動物病院で撃たれた傷を治療してもらったチョウは、地域の”水浴女”の元締めであり友人であるホアに、妻に連絡を取って、高架下で会いたいと頼んでいた。ホアはアイアイにチョウの妻を連れに行くように指示をし、アイアイが妻を連れてホアとチョウの手下であり妻の弟であるチャンと会う。チョウは、この状態で逃げ切ることは不可能だと考え、自分にかけられた30万元の報奨金を妻に手に入れさせて、自分は逮捕されるしかないと考えていた。妻は既に警察が張り付いていると伝え、チョウに会えないと泣き崩れる。

 

 

7月19日。アイアイは妻の代わりに会いに行き、報奨金の一部を貰うと言う約束で、妻の代わりに警察に通報することを約束する。鵞鳥湖でチョウを見掛けたと警察に通報し、逮捕させるという計画を立てる。

 

7月20日、アイアイは鵞鳥湖でチョウと再会し、湖畔の集合住宅302号室の鍵を渡します。チョウはその部屋で警察を待つつもりでしたが、ドアを開けると、そこには猫目と猫耳が待ち伏せしており、アイアイに裏切られたことに気が付きます。猫耳を倒し、猫目に追われながら、アイアイを探し始めます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

ノワールサスペンス映画で、展開が予想できず、面白い映画でした。久々に超カッコいいノワールという感じです。映像があまりにも美しくて、ストーリーも良いのですが、映像に惹き込まれました。アイアイという謎の女性も、最初は、何なんだろうと思うのですが、段々と彼女も逃れられない渦の中にいることが判ってきます。チョウもカッコイイし、アイアイも美しく、この二人が行く当てもなく鵞鳥湖で彷徨う様は、何とも言えない雰囲気を醸し出していました。

 

チョウは、妻を愛していたのだと思いますが、自分が犯罪をしていることで迷惑をかけているとずっと思っていたのだと思います。なので、長い間逢いに行っていなかったと思いますし、今回の事件を起こしてしまったことで、最後に彼女にお金を残したいと思ったのでしょう。ですが、そう簡単に事は運びません。警察はもちろんチョウを追っていますが、チョウを恨んでいる猫目たちも追っています。猫目は、チョウが生きたまま捕まってしまうと、自分たちの悪事も暴かれてしまうので、警察よりも先にチョウを殺そうと思っているんです。

 

 

そんなチョウの味方はアイアイだけ。ホウも妻も、警察にマークされていて、何も出来ません。猫目も狙っています。チョウは、アイアイを信用して約束をするのですが、裏切られてしまいます。アイアイも、ホウの下にいるので、猫目に目を付けられて、どうしようもなくなるんです。追い詰められたチョウは、どうするのか、楽しそうでしょ。ドキドキ、ワクワクで、本当に最後まで楽しめる内容でした。

 

でも、チョウがもう少し早く猫目たちを倒していれば、問題なく、妻に報奨金を手に入れさせて、逮捕されるように出来たと思うんだけど、どーも、そこら辺の詰めが甘いんです。金髪が殺された時に、そこで猫目と対決していれば、こんなゴタゴタしたことは起きなかったと思うんだけど、結局、逃げ回った事で、沢山の人間が死ぬ事になってしまっていて、アイアイも逃げ回らなくちゃいけなくなって、アホだなと思いましたが、これが無かったら、ノワールサスペンスにならなかったから仕方ないのかな。

 

 

内容はともかく、映像があまりにも美しくて、本当にカッコ良かったです。色の使い方も上手いんですよ。赤やピンク、光と闇を上手く使って、陰影が美しいんです。どの場面も切り取って、写真として飾れるほどにイイんです。私は、鵞鳥湖でのチョウとアイアイの映像が良かったなぁと思いました。

 

アイアイは売春婦で信用出来無さそうに見えるのですが、義理堅い女性だと思いました。それこそ”イイ女”なんだと思います。でも、色々なしがらみにより、チョウを裏切ることになったりして、可哀想でした。

 

それにしても2012年という設定だけど、中国ではこんな感じだったんですね。今からたった8年前なのに、すっごいゴタゴタしていて、警察なんて犯人を捕まえたら記念写真を撮ったりしていて、昭和初期かっ!って思いました。中国って、発展しているようで、人々の意識は変わっていないのかしら。警察は酷かったです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、面白いし、映像が美しくて、ノワールとして良く出来ていると思いました。本当にカッコイイ映画です。日本がこういう映画を作ると、映像がここまで美しくないんですよね。この芸術性は、中国ならではかなと思いました。素晴らしいです。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

鵞鳥湖の夜|映画情報のぴあ映画生活