「プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」を観てきました。
ストーリーは
南アフリカ人のティム・ジェンキンは、白人でありながら反アパルトヘイト組織「アフリカ民族会議」の隠密作戦をおこなった罪のより、同胞のスティーブン・リーとともにプレトリア刑務所に投獄される。ティム、スティーブンたちは、自由と平等を手にするため、最高警備を誇る刑務所からの脱獄を決意する。さまざまな脱獄方法を模索した結果、ティムたちが最後に選んだ手段は木片を集めた鍵を使った脱獄だった。鍵を作っては解錠を繰り返し、徐々に出口までの鍵が完成していった。投獄から18カ月、彼らは木鍵による鉄製扉の突破を試みる。
というお話です。
南アフリカ人のティムは、白人でありながらアパルトヘイトに反対するネルソン・マンデラ率いる組織「アフリカ民族会議(ANC)」の隠密作戦を行い、同胞のスティーブン・リーと共にテロリストとして 1978年にプレトリア刑務所に投獄されてしまう。
最高警備を誇るプレトリア刑務所に収監後、ティム、スティーブンらは、アパルトヘイト政権に対し抵抗の明確なメッセージを送るために脱走を決意する。
厳しい看守の目がある中、脱出の手段として無謀とも言える鍵の製作を試みる。刑務所の中で鍵に利用できるのは、木材以外に無かった。木で鍵の製作を初めてみるものの、加工は用意に出来ても、強度が弱いので鍵を回した時に折れてしまう危険性があった。しかし、手立てがこれしかないので、何度も何度も、沢山の木の鍵を製作し試すことにする。
綿密な観察、そして10の“鉄製”のドアを“木製”の鍵を上手く使って、突破しようと試みる。毎日のように、一つづつ鉄製のドアを開けられるか試しては部屋に戻り、その繰り返しを何日も行って、1年半ほどかかって、10のドアを開ける為の木製の鍵を用意することが出来る。
彼らは自由への道を歩み出す事が出来るのか。もし、看守に見つかれば、酷い拷問を受けるか、その場で射殺されてしまう。それでも、意を決した3人は、外へ出る為に鍵を使い始める。後は、映画を観てくださいね。
アパルトヘイトがまだまだ行われていた1970年代後半、白人でありながらネルソン・マンデラに共感して、アパルトヘイト廃止を掲げて運動をしていたティムやスティーブン。街のごみ置き場などに軽い爆弾を仕掛けて、チラシが自動的に撒かれるような細工をしていました。これが政治犯とみなされ、逮捕されてしまいます。収監された刑務所は、政治犯の白人ばかりがいて、何十年もの判決を受けていました。ティムとスティーブンも、同じように何年も刑期があるのですが、そんなに長くこんなところにはいられないということで、脱獄を計画するんです。
でも、見渡してみても、抜ける場所は見つからないし、鍵も手に入らない。それなら鍵を作るしかないと思うのですが、材料が木材しか手に入らないんです。普通、鉄製のドアの鍵だと、あまりにも重くて、木製では開けない(折れてしまいます。)のですが、固い木を組み合わせて、何とかドアを開けて逃げようとするんです。
鍵を作るのは、木材なので加工は容易なのですが、なんたって鉄製のドアだし、まして、ドアを外から開けるとかがあり、困難を極めます。もちろん、鍵の形を手に入れるのも大変で、収監者みんなが協力して、それを手に入れるんです。
そして、鍵を作ってはドアを一つ開けて、確認出来たら、また次の鍵を作る為に、部屋に帰って計画を練ると言う、もう、どれだけかかるんだろうと言う長い時間を費やして、脱獄を目指していくんです。その過程が、とても詳細に描かれていて、凄いと思いました。もちろん、この脱獄をしたご本人が小説を書いているので、本当にやったんだと思うと、驚くような辛抱強さだと思いました。
でも、1年半ほどで脱獄しているので、頑張ったんですよね。早いと思いました。だけど、木製の鍵で鉄製のドアを開けると言うのは、まず、難しいでしょうね。今でいうと、非常用ドアを木製の鍵で開けるのと同じなので、ちょっと考えられません。
この主人公を、あのダニエル・ラドクリフさんが演じていて、彼は、結構、良い役者になってきているなと思いました。こういう社会的な作品で良い演技をしているので、これからは、軽薄な現代映画よりも、歴史文学などに出演して行ったら良いなぁと思いました。ハリー・ポッターの印象が強いので、ちょっとかわいそうですが、役者としてちゃんと成長しているので、これからも期待したいと思います。
南アフリカでは、1990年にネルソン・マンデラを釈放し、1991年にアパルトヘイトの廃止を宣言したのですが、それからも争いが絶えず、1994年にマンデラ大統領就任により、完全に消滅したといいます。この映画のティムとスティーブンは、脱獄後にずっと逃亡を続けていたのですが、アパルトヘイトの廃止により赦免され、その後、マンデラが大統領に就任するまで、アパルトヘイト廃止の運動を続けていたそうです。こんな差別をする法律がまかり通っていたなんて、許せないけど、そういう現実があったんですね。
とても考えさせられる映画で、直接にアパルトヘイトを非難している訳では無いのですが、彼らの行動が差別に対する嫌悪の様なものを表していて良かったと思いました。同じ人間なのに、全く違うように裁かれたりするのはおかしいですよね。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。とても政治的な事を訴えている映画で、内容は素晴らしいと思いました。それに、脱獄出来るかどうかのスリルと誰かが裏切っているのではないかというサスペンス感は、ドキドキでした。但し、南アフリカの歴史などを知らないと、ちょっと理解が難しいかもと思いました。もし、観るのでしたら、ちょっとアパルトヘイトについて知ってから行く方が良いと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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