「窮鼠はチーズの夢を見る」これは恋愛映画です。BLを通り越して恋愛の苦しさを教えてくれます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「窮鼠はチーズの夢を見る」の試写会に行ってきました。Fan's Voiceさん(@fansvoicejp)の独占最速試写会でした。久しぶりのオンラインではない、試写会場へ行っての試写でした。東京でウロウロするのは、ちょっと怖いので、恐る恐る、ササッと行ってきました。

 

ストーリーは、

優柔不断な性格から不倫を重ねてきた広告代理店勤務の大伴恭一の前に、卒業以来、会う機会のなかった大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。今ヶ瀬は妻から派遣された浮気調査員として、恭一の不倫を追っていた。不倫の事実を恭一に突きつけた今ヶ瀬は、その事実を隠す条件を提示する。それは「カラダと引き換えに」という耳を疑うものだった。恭一は当然のように拒絶するが、7年間一途に恭一を思い続けてきたという今ヶ瀬のペースに乗せられてしまう。そして、恭一は今ヶ瀬との2人の時間が次第に心地よくなっていく。

というお話です。

 

 

学生時代から「自分を好きになってくれる女性」ばかりと受け身の恋愛を繰り返してきた、大伴恭一。流され侍と呼ばれるほどで、結婚した今も、流されて不倫を楽しんでいた。

そんな恭一の前に、大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。久しぶりと喜ぶ恭一に今ヶ瀬はある資料を渡す。今、今ヶ瀬は興信所に勤めており、恭一の浮気調査の依頼が妻からあったというのだ。書類には、恭一が妻以外の女性と楽しんでいる写真が綴られていた。妻には知らせないで欲しいという恭一に”どんなお返しをしてくれるんです?”と返す今ヶ瀬。

今ヶ瀬は、とりあえず食事をおごるという恭一と一緒に寿司を食べ、帰りにキスさせてもらうのを条件に、浮気に関しては話さないという約束をする。不倫を妻に知られないで済んだと思った恭一だったが、実は、妻の方が他に好きな人が出来て、離婚したいがために恭一の不貞を探して離婚を有利に進めようとしていたのだった。



 

妻と離婚し一人になった恭一の家に、引っ越し祝いを持って現れた今ヶ瀬。不倫ネタを妻に伝えないでくれた今ヶ瀬を信用した恭一は、部屋に入れ、飲んで泊っていくのも自由にさせていた。それをいいことに、今ヶ瀬は「昔からずっと好きだった」と告白し、恭一の傍に居続ける。戸惑う恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、流され侍の要素もあり、何となくそのまま一緒に暮らすことになってしまう。

今ヶ瀬のただひたすらにまっすぐな想いに、恭一も少しづつ心を開いていくのだが、恭一の元彼女・夏生が現れ、ふたりの関係が変わりはじめてゆく。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。


 

この映画、BL漫画原作を実写化と聞いていたので、「性の劇薬」っぽいエログロだったらどうしようと不安だったのですが、この映画、もうBLという枠を飛び越えて、本当の恋愛映画になっていて、キワどい部分もとても美しく映像化されていました。男女の絡みよりも、グロくなくて綺麗に見えてしまった。本当に究極の愛の映画になっていました。

 

”流され侍”という名前を付けられるほど、何となく誘われれば女性と寝てしまうというような恭一ですが、彼は本当に人を好きになったことが無いのだと思いました。最初に、妻の事が好きだと言っていましたが、それは結婚したのだから好きじゃなきゃいけないという気持ちだけだったのだと思います。だから、結婚しても心の繋がりが無かったと妻に言われてしまうし、妻の不貞も気が付かなかったんじゃないかな。

 

 

そんな本当の恋愛を知らない恭一の前に、彼をずっと恋焦がれてきた今ヶ瀬が現れて、その熱い求愛に押されていきます。男となんて無理だと言っているのに、押されると押し返せないのよ。押されて押されて、深い関係になって行けば行くほど、今ヶ瀬は嫉妬深くなり、恭一を独占したくなってしまうんです。ここら辺は、BLとか、ゲイとか関係なく、この恋愛は、男女でも同性愛でも、同じだと思いました。好きになればなるほど、相手を独占したくなり、優しくされたら浮気しているのではないかと疑心暗鬼になり、自分が壊れて行ってしまうんです。

 

どんな恋愛でも、好きになり過ぎたほうが負けというけど、本当に好きで長く付き合って行きたいと思ったら、適度な距離が必要なんですよ。近づきすぎると、目の前にいるのに姿が見えなくなってしまうんです。適度な距離で、相手の全体像をいつも見れるようにすれば、相手を信用出来るし、相手も見てくれているという安心感から逃げることは無いんです。それが、好きになり過ぎると出来なくなるのよねぇ。今ヶ瀬の状態がそれでした。もう、好き過ぎて、恭一に何を望んでいるのかも、よく解らなくなってしまうんです。

 

 

恭一の方は、そんな今ヶ瀬の気持ちがよく解らない。だって、今まで真剣な恋愛なんてしたことが無いんですから。いつも通りの行動をしているのに、ちょっと優しくすれば疑われてしまって、戸惑うばかり。でも、今ヶ瀬がとても苦しそうな事には気が付いていて、このままでは良くないと思い、別れようと言うんです。

 

あー、やっぱり無理かぁ~って思うのですが、その後にもまだまだ展開がありまして、楽しめましたよぉ。この先は、ネタバレになるので書きませんが、おお~!って思うような展開になって、ちょっと驚きました。お楽しみにね。

 

 

そうそう、映画中盤で、恭一と今ヶ瀬が同居して仲良くなっていく中で、マンションの屋上で、何故か、”チクビ当て”をイチャイチャする場面があって、監督はこれを”乳繰り合っている”と言っていたのですが、あまりにも二人が楽しそうで、観ながら大笑いしてしまいました。こういう映像があると、本当に恋人同士がいちゃついているって感じが出ていて、良かったです。

 

私が気になったのは、恭一がゲイバーに行って今ヶ瀬を探す場面があるのですが、そこが切なくて崩れそうで、抱きしめてあげたくなりました。それまで冷たい雰囲気の恭一が、涙を流して嗚咽する姿は、可哀想だったなぁ。

 

 

それに対して、今ヶ瀬が恭一を心から求めている眼差しは、マジで見てはいけないレベルの魅力で、あまりの美しさと愛おしさで爆弾を投下されたような衝撃でした。まだ映画館で観ているから良かったけど、この眼を現実に見たら、まじで石になる、いやいや溶岩のように溶けると思います。(笑)

 

それにしても、恭一役の大倉さんと今ヶ瀬役の成田さん、よくこの役を受けましたね。はっきり言って、マッパ(真っ裸)の場面が幾つもありました。もちろん、〇〇は映りませんがSEX場面もありましたし、マジでキワどい場面が沢山あるんです。35歳の大倉さんにアイドルと言ったら失礼かもしれませんが、そんな彼が、よくここまでやってくれた!という感じでした。成田さんは役者としてやってくださったと思いますが、こちらもよくここまでというほどでした。本当にありがたい!お宝のような作品でした。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。恋愛映画の金字塔と言って良いほどの作品です。こんなに人を好きになったら、どうなってしまうのかという事が、良く描かれていました。愛は美しくて、哀しいです。ちょっとキワどい場面もあるので、お子さんはダメだけど、これから恋愛をする方たち、これまで恋愛をしてきた人たちは、観て欲しい作品だと思います。さすが行定監督作品という感じで、恋愛をガツッとぶつけてくれています。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S :映画の後に行定監督とカツセマサヒコさんがいらして、映画についてお話をしてくださいました。お二人もBLというより恋愛映画だとおっしゃっていました。お話がとっても楽しくて、もっと聞きたかったです。

 

 

 

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