「ミッドナイトスワン」母娘は血より愛の強さだと思えました。LGBTの方は生き難い社会です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ミッドナイトスワン」を一足先にオンライン試写会で観せていただきました。オンライン試写会の後に、Zoom会議がありまして、参加したら、な、な、なんと、主演の草彅剛さんと内田監督も参加されました。オンラインながら生でお声が聴けることなんて、嬉しい限りでした。

 

ストーリーは、

故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。

というお話です。

 

 

新宿のニューハーフショークラブ「スイートピー」で働く、トランスジェンダーの凪沙。洋子ママが白鳥に扮した凪沙、瑞貴、キャンディ、アキナをステージに呼び込み、今夜もホールは賑わっている。

一方、広島のアパートでは、泥酔した母・早織が住人に因縁をつけていた。そんな母親を背負うように部屋に連れ帰る一果は、ソファに倒れ込む母親をなだめようとするが、母親は一果に「あんたのために働いとるんで!」と言って激しく殴る。一果は洗面に逃げ込み、自分の腕を噛んで、叫びたいのを我慢するのだった。

凪沙に母親から電話が入り、親族の子が虐待を受けたと通報され、しばらく母親と離すために預かって欲しいという連絡だった。凪沙は、しばらくと言う条件で預かることにし、一果を迎えに行く。叔父だと思い訪ねてきた一果は凪沙の姿を見て戸惑い、そんな一果に「好きであんた預かるんじゃないから。わたし子供嫌いなの」と凪沙は言い放ち、二人の奇妙な生活が始まる。



 

一果を学校に連れて行った凪沙を中傷したクラスの男子に一果がイスを投げつけ、凪沙は学校から呼び出しを受ける。あんたが何しようと構わないが私に迷惑をかけないでと言う凪沙だが、一果が気になり始め、一果は部屋を掃除し始める。

ある日、バレエ教室を見つけた一果はバレエの先生・実花に呼び止められ、後日バレエレッスンの体験入学することにする。一果は、バレエの楽しさに気が付き、習いたいと思うが月謝が払えない。すると友人が違法なバイトを紹介してくれて、始めるのだが、警察に保護されることになってしまう。



 

警察で家庭環境を中傷され傷つく一果に「うちらみたいなんは、ずっとひとりで生きて行かなきゃいけんけぇ・・・。強うならんといかんで。」と凪沙は優しく慰める。そしてバレエの先生に一果は才能があると知らされ、凪沙は一果の為にまともな仕事を探し始める。自分が一果を守るという気持ちが芽生えたのだった。そして・・・。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、泣けたなぁ~。トランスジェンダーの凪沙は、自分だけでも大変で必死で生きているのに、突然に親族の子を面倒見なければならなくなります。自分だけでも精一杯なのに、イイ人なのよ。独りが二人になることで、トランスジェンダーの方が一般的な社会で働くことの難しさが描かれていました。この凪沙だって、本当は一般企業に就職して、お金を稼いで、性別適合手術を受けたいと思っていたんだけど、これほどLGBTが有名になっても、簡単にこだわりの様なものが無くなる訳ではなく、就職するなら男性の名前で働くしかないようでした。

 

 

私の友人は30代後半くらいだったかな、自分が性同一性障害だと診断され、そこから病院へ1年以上通って診断書を貰い、まず戸籍を女性に変えました。そしてお金を貯めてタイで手術を受けて、2週間ほど入院し、日本に帰ってきてからも入院、通院をしてたかしら。凄く痛いと言っていて、2年ほどは外に出てきませんでした。手術費用も高く、手術費以外にも、渡航費用、入院費、帰国してからの治療費、ホルモン剤の投与など、本当に莫大なお金がかかったようで、大変そうでした。

 

この映画でも、トランスジェンダーの方の生きづらさが詳しく描かれていて、よくリサーチしているなと感心しました。普通の人って、簡単に手術しないの?とか言うけど、簡単に受けられるもんじゃないし、確か、戸籍を変える前に手術しちゃうと、戸籍が変えられなくなるとか言ってたような気がするし(思い出したけど、補助金が申請出来ないって言っていたと思います。)、手術後のケアをしないと、命に係わるとも言っていました。なので、映画の中で医者が手術しないの?と言う場面があるけど、凪沙が性別適合手術が出来ないという事がよく解りました。簡単には出来ないよね。

 

 

凪沙は、自分の事で悩んでいるんだけど、段々と、それが一果の事でいっぱいになって行くんです。自分だけだった人生が、一人の姪っ子を育てる内に、母親のような感情が芽生え、守らなければという気持ちになって行く姿が、あまりにも伝わってきて、涙が出てきちゃうんですよねぇ。

 

一果の母親は、娘を虐待しているけど、でも娘を愛しているんです。愛しているのに、自分を抑える事が出来ずに暴力を振るったり、言葉で虐待したりしてしまうようでした。どうしてなんでしょうね。娘は自分のモノという気持ちが強く、人に取られるのは嫌だけど、迷惑だったり、自分の思い通りにならないと虐待してしまう。子供は迷惑をかけるのが当たり前なんだけど、それを許せないというのは、親が成長していない証拠のような気がしました。そんな親が増えている事が悲しいです。

 

 

一人の女性が母親になっていく、一人の少女が子供になっていくという様子が、微妙な変化なんだけど少しづつ近づいて行って、親子じゃないんだけど、母娘になって行くんです。それが上手かったなぁ。草彅さん、本当に女性みたいでしたもん。驚きました。ただ、オネェを真似ているだけじゃないんですよ。母親になっているんです。その演技があまりにも凄くて、愛があって、泣けちゃいました。観ていたら、全く男性に見えなくて、女性であり母親としか見えなくなっていくんです。これは凄かった。

 

娘役の服部さんは新人らしいのですが、ほとんど話さないんだけど、目で訴えるんです。それがいじらしくて、悲しさが訴えていて、良かったなぁ。もう、上手いとかそんな言葉では表せないような、心からの眼力みたいな感じで、それだけで感動でした。

 

 

本当は、もっと詳しく書きたいことが沢山あるんだけど、これから公開だし、ネタバレしちゃったら皆さんが楽しめないので我慢します。でもね、本当に凄いのよ。血のつながりではない、母と娘の愛の物語であり、それとは別に、トランスジェンダーの方々が、どれほど社会で苦労をしているのかという事を詳細に描いていて、本当に良く調べられているなぁと感心しました。

 

私、友達のトランスジェンダーの子に話そうと思っています。出来れば一緒に観に行きたいけど、映画館のイスに長時間座るのは辛いかな。性別適合手術をした方は、長時間、同じ形で座っているのが辛いようです。いつもドーナツ型の座布団を持って出かけてますもん。でも、観せてあげたいな。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは感動でした。何というか、凄くハッピーになる訳じゃないけど、みにくいアヒルの子が大きな愛を受けて白鳥になり、大空に羽ばたく姿を見せて頂いたような、そんな気持ちになる映画でした。自分が愛を与える方でも、与えられる方でも、きっと幸せな気持ちだっただろうと思えて、良い映画に出会えたなという気持ちになりました。この映画、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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