「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」大戦前のソ連の繁栄は人の犠牲により成り立っていたんです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」を観てきました。

 

ストーリーは、

1933年、ヒトラーへの取材経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズは、世界中で恐慌の嵐が吹き荒れる中、ソビエト連邦だけがなぜ繁栄を続けているのか、疑問を抱いていた。ジョーンズはその謎を解くため、単身モスクワを訪れ、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、疑問の答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。しかし、凍てつくウクライナの地でジョーンズが目にしたのは、想像を超えた悪夢としか形容できない光景だった。

というお話です。

 

 

1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズには疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れるなか、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。ジョーンズは仕事を解雇されたのを機に、単身モスクワへ向かおうとする。前首相のデビッド・ロイド・ジョージの顧問をしていた事があり、今も顧問だと嘘をついて手配を済ませ、モスクワへ入り込むことに成功する。

ヒトラーにインタビュー出来た経験から、スターリンから話を聞こうと交渉するが、記者が首相に直接会うなどと鼻で笑われ、決められたホテルで自由行動も制限され、1週間滞在予定も2泊に変更されてしまう。



 

ホテルには複数のイギリス人のジャーナリストや技術者が駐在しており、彼らと交流を図りながら状況を把握していく。

このままでは、何も取材が出来ないと思い、デビッド・ロイド・ジョージの外交官だと偽り、ソ連の現状を見るための視察旅行を用意してもらう。そして地方へ向かう列車に乗り、ウクライナ辺りに差し掛かったところで列車から飛び降りて、小さな村に辿り着く。そこには、人々が強制労働をさせられて飢餓に苦しみ、死体が転がっているような状況だった。彼らは空腹から樹皮やそれ以上のモノを食べていたのだ。



 

ジョーンズは、この悲惨な状況を知らせなければと思うのだが、モスクワで拘束されてしまう。本来ならスパイとして監禁となるのだが、ウォルター・デュランティの口添えでイギリスへの強制送還となる。デュランティはピューリッツァー賞受賞者で、実はソ連に都合が良い記事を捏造して利益を得ていたのだった。

帰国したジョーンズは、真実を伝えようと新聞社や政府関係者を周り訴えていくのだが、誰も取り合おうとはせず・・・。後は、映画を観てくださいね。
 

第一次世界大戦が終わり、世界恐慌に陥って、まだまだ苦しんでいた1933年。既に、第二次世界大戦への道筋が出来始めていた頃、世界が苦しんでいるのに、ソ連だけは好景気で華やいでいたらしいんです。このジョーンズは、ソ連だけが好景気なんてあり得ないはずだと考えて、それを探ろうとするのですが、その探り方が酷いんですよ。

 

 

昔からマスコミは、こういう酷い事をするから嫌われると思うのですが、嘘ばかりを重ねてソ連に入り込み、その上、また嘘を重ねて、ウクライナへ行くんです。事実を暴かなければと偉そうな事を言うのですが、ただ、自分の利益の為だけでしょ。その嘘に利用された人の迷惑は全く考えていないんです。自分の名前を使われた人は、もちろん知らない人が勝手に使ったと訴えるだろうけど、信用は落ちますよね。人の迷惑など何とも思わない人間に、真実を伝えるという言葉を使って欲しくないです。自分は平気で嘘をついているんですから。

 

そんな事をするジョーンズだったので、最初から印象は最悪で、いくら正義感を持った真実を追うジャーナリストと言われても、全く、共感が出来ませんでした。

 

 

もちろん、ソ連の政府が悪いし、スターリンは悪い事をしていたんだと思うし、沢山の人々が苦しんでいたのは事実だろうと思います。そして、このジョーンズが強硬手段を取って取材をしたから、この真実が知られたのかもしれません。でも、何も変わらなかったんでしょ。だって、その後、直ぐに第二次世界大戦に陥ったのだし、ドイツが侵攻していったんだから。

 

このソ連がひた隠しにした事実は、きっとジョーンズが書かなくても、誰か知っている人が後から記事を書いただろうと思います。ジョージ・オーウェルだって、ソ連の事を小説に書いている訳だしね。もし、このジョーンズが、正当な取材手続きをしてソ連に拒否されたとして、本国イギリスの政府に許可を貰って、その依頼で内密にソ連を訪れて探るというなら、国のスパイということで恐慌な取材も理解は出来るのですが、いかにもパパラッチ的に嘘をつきまくって記事を書いたのでは、誰も信用が出来ないですよ。いくら真実でもね。

 

 

映画としては、あまり起伏が無くて、ずーっと暗い感じで息苦しい雰囲気でした。ドラマチックな展開にしていないので、どちらかというと大人しい感じで、事実に基づいて進んで行ったのだと思いますが、もう少し、ウクライナの酷い惨状を大げさに描いたり、見張られている感じをピリピリと描いた方が、映画としてはメリハリがついて面白かったのではないかと思いました。

 

ジョーンズは、確かに、真実を伝えた素晴らしい記者だったんだろうけど、私は、悪役として描かれていたウォルター・デュランティの気持ちも分からないでは無かったです。ピューリッツァー賞を貰った記者がソ連の片棒を担いでいたのは、確かに自分の利益の為だったかもしれないけど、彼のおかげで、ソ連に居たイギリス人たちは守られていたんだと思います。ジョーンズが、拘束されてへき地へ送られて強制労働なんてさせられずに戻れたのは、彼のおかげなんですから。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。但し、ハリウッド映画ではないので、暗くて、進み方がモッタリしています。単館系の映画に慣れている方には大丈夫だと思いますが、そうでないと、観ていてウトウトしてしまうかもしれません。でも、面白い内容でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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