「海辺の映画館 キネマの玉手箱」を観てきました。
ストーリーは、
尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」を見ていた3人の若者は、突如として劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島にたどり着いた彼らは、そこで出会った移動劇団「桜隊」の人々を救うため、運命を変えるべく奔走するが・・・。
というお話です。
宇宙に漂う船から今の時代を語る”爺・ファンタ”。地球の尾道に向かっているようです。尾道へ着いて歩いていると、”瀬戸内キネマ”の支配人に会い、今日が瀬戸内キネマの最後の日だと聞き、必ず行くからと話します。
尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が、閉館を迎えた。
嵐の夜となった最終日のプログラムは、「日本の戦争映画大特集」のオールナイト上映。上映がはじまると、映画を観ていた青年の毬男、鳳介、茂は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。
江戸時代から、乱世の幕末、戊辰戦争、日中戦争、太平洋戦争の沖縄。3人は、次第に自分たちが上映中の「戦争映画」の世界を旅していることに気づく。そして戦争の歴史の変遷に伴って、映画の技術もまた白黒サイレント、トーキーから総天然色へと進化し移り変わる。
3人は、映画の中で出会った、希子、一美、和子ら無垢なヒロインたちが、戦争の犠牲となっていく姿を目の当たりにしていく。3人にとって映画は「虚構(嘘)の世界」だが、彼女たちにとっては「現実(真)の世界」。彼らにも「戦争」が、リアルなものとして迫ってくる。
そして、舞台は原爆投下前夜の広島へ。
そこで出会ったのは看板女優の園井惠子が率いる移動劇団「桜隊」だった。3人の青年は、「桜隊」を救うため運命を変えようと奔走するのだが!?(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。
この映画に、私のような人間の薄っぺらな感想なんて要らないっていうくらい、戦争は嫌だ!、人間が壊れて行ってしまう!、というような叫びが描かれていて、大林監督が人生をかけて訴えてくれたことを守って行かなければという思いにかられました。映画の内容は、楽しく、軽く、宇宙船が出てきたり、映画の中に入っちゃったり、ミュージカルがあったりと、バラエティーに富んでいて楽しめるものなのですが、その根底には、やっぱり暗い戦争の影がちらついているんです。
希子という少女を追って映画の中に入ると、そこには江戸時代が広がっていて、幕府解体、文明開化と、時代は進んで行きます。そんな時代にほおり込まれた毬男と凰介と茂は、何となく歴史の勉強で知っていることを思い出しながら、初めて観る時代を楽しみます。
でも、段々と暗い時代に突入し、戦争が近づいて行きます。彼らも戦争の空気を感じ取り、それは悲劇に繋がっている事が解っていながら、止める事が出来ない自分たちにイライラしながらも、出来れば、追ってきた希子や、他の人々を少しでも助けられないかと考えるんです。でも、よく考えれば、映画の中の話なので、変わることは無いのですが、それでも、と思って行動する彼らの悔しそうな姿は、とても共感が出来ました。
映画やドラマ、小説などで、何度も戦争の酷さを見るたびに、何でそうなったんだろう、何で止められなかったんだろう、何で、何でという言葉ばかりが浮かんできて、タイムマシンで過去に戻れたら戦争を止められるのかと考えたり、でも止めてしまったら自分は生まれていないかもしれないとか、そんな事を考えてしまいます。起こってしまった事は変えられないので、未来には決してそんな悲劇を起こさないと、誰もが思わなければならないと思いました。
それでも他国から攻撃されて、沢山の日本人が亡くなったらどうなるんだろう。中国韓国に嫌われて、嫌がらせをされている日本には、いつミサイルが降ってきてもおかしくないのかもしれない。そんな不安が戦争に向かわせてしまうのかなとも思っています。ただ日本だけが戦争はしないと言っているだけでは無理ですよね。話し合いで解決するような相手ではないので、何か対抗策を持っていないと平和的解決は出来ないように思います。「右の頬を打たれたら左の頬を差し出す」のでは外交は出来ません。右の頬を打たれないように防御をするしかないんです。そうすれば戦争にならないもんね。
そんなことを、沢山考えてしまいました。昨日、広島の原爆記念日で、ニュースを見ていたのですが、亡くなった方を静かに思ってあげたいのに、周りで政権に対してデモをするような常識の無い人がいて腹が立ちました。静かに送ってあげる日なのにね。日本人としての配慮が無いので、日本人ではないのかもしれません。
話が反れましたが、この映画を観て、戦争について、再度考えました。特に、原爆記念日だったのもあるかと思います。あんな悲しい事は二度と起こしてはいけない。それは日本が率先して訴えて行かなければいけませんよね。大林監督は、最後まで私たちに伝えてくださっていたと思います。
この映画、私は、超!超!お薦めしたいと思います。特に、この夏に観て欲しいです。原爆記念日、そして終戦記念日のある、この夏、特にコロナという病気と戦争してる時に、観て欲しいです。戦い方は違うけれど、ただ、怖がって騒いで逃げ惑うのではなく、みんな冷静に向き合って、今度は悲劇を起こさないように、落ち着いて対処していくべき時です。本当に、この映画、頭から離れません。良い映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。3時間程の長編です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : あまりにも素晴らしい映画なので、長くなってしまい、出演者について書けませんでした。豪華な出演者が揃っていて、稲垣吾郎さんも出演していましたよ。高橋幸宏さんに驚きました。大林組常連の方が一杯でした。白石さんはさすがでした。キャストについてだけでも、1本感想が書けそうですが、止めましょうね。(笑)