「カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」を観てきました。
ストーリーは、
ネイサン・ガードナーと妻のテレサは子どもたちとともに大都会の喧噪から逃れるため、閑静な田舎に移住してきた。しかし、前庭に隕石が激突して以来、一家の生活は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との戦いに明け暮れ、理想としていた静かな田舎暮らしは悪夢へと変わってしまう。
というお話です。
ネイサン・ガードナーは、都会から家族で田舎の家に引っ越してきた。父親が亡くなり、その家を相続したのだ。閑静な田舎で、スマホは使えず、ネットも繋がりにくく、病院へ行こうとすると車で長時間かかるような場所だった。子供たちは辟易していたが、広大な土地の静かな田舎で馬に乗り、アルパカを飼って、犬も幸せそうだった。
そんな家での暮らしを始めてからしばらくして、その土地にダムを造るという話が持ち上がり、大学の研究者が水質調査に訪れる。ネイサンの娘・ラヴィニアと出会い、交流を持ち始める。
ある夜、空から大きな隕石が落ちてくる。それは不思議な色をしており、不気味に見えた。直ぐに警察と役所に連絡を入れると調査に訪れるが、隕石は何故か突然に消えてしまう。あんなに大きかった石が何処へ行ったのかと思ったが、消えてしまったモノは仕方が無い。
隕石が落ちた日から、次男のジャックは井戸を見つめて、あの中に何かがいると言っている。水道をひねると、どーも色がおかしいような気がする。ネイサンがシャワーを浴びると、排水溝にゼリー状のものが溜まり、持ち上げると触手が蠢いていた。驚いたネイサンは、直ぐに水の異変を訴え、研究者が水質調査をすると言ってくれる。妻のテレサは、通信障害が出ており、仕事が出来ないとネイサンに訴えていた。
あの日から何もかもがおかしくなり、家族に異変が起こり始める。ラヴィニアがここから出なければと訴えるが、ネイサンは何故か何処へも行こうとしない。そんな時、井戸を見ていたジャックに井戸の中から光が襲い、ジャックを助けようとしたテレサも一緒に光に飲み込まれる。不思議な光に飲み込まれた二人は解けて一つの物体となり・・・。後は、映画を観てくださいね。
H・P・ラヴクラフトの作品の映画化なので、まぁ、グロいとは思っていたけど、あの”遊星からの物体X”を超えました!きっと、この映画を観て、みんな、気持ち悪かったと思うけど、私は”物体X”がとっても好きなので、喜んで笑ってしまいました。やってくれるなぁ。
ラヴクラフトといえばクトゥルー神話が有名で、ほとんどの作品が、それに通じるものなんです。私も全作品を読んでいる訳ではありませんが、一時期、このクトゥルー神話をむさぼるように読みました。昔、小説家の栗本薫さんが”魔界水滸伝”という小説を書いていて、それにクトゥルー神話が絡んでいたので、理解する為に読みました。この神話、バラバラとしているのですが、ちゃんと体形が組まれていて、読み始めると面白いんです。
この作品もそんな神話に基づいたもので、この隕石に付いてきた”なにか”が、人間を脅かし始めるんです。この田舎の名前は映画では出てきませんがアーカムです。ここはクトゥルー神話に良く出てくる町で、邪神が巣くっていて悪さをする地域らしいんです。近隣の町にインスマスがあり、その町も邪神に呪われた町です。
そんな町に隕石が落ちてきて、井戸に”なにか”が巣くうんです。最初はピンクパープルのような波が一帯を漂い、おかしな花が咲いたり、木々が動き始めたり、動物にも異変が生じて行きます。もちろん人間も段々とおかしくなっていきます。
井戸から何かが襲ってきてから、早い展開で異変が起きて、時間の流れもおかしくなっていきます。本当は、この異変について書きたいんだけど、それを書いちゃうと面白さが半減するので、それについては書きません。凄い事が起きます。人間にも、動物にも、とんでもない事が起きてしまい、誰も止められません。
このお話で怖いのは、敵の姿が一切見えない事です。目に見えるのは不思議な色だけ。その色が襲ってくるんです。きっと、その色を纏った何かがいるんだろうけど、その姿は見えません。何がいるのか、何が目的なのかが一切解らない所に、このお話というか、クトゥルー神話の面白さがあるんです。
この映画に理屈を求めてはいけません。こういう地域があって、宇宙から隕石が飛んできて、何か変なモノが動き始めて、その地域が狂っていくんです。それ以上に何も求めないでください。狂っていく姿を怖いと思って、ゾッとする映画なんです。うーん、ラヴクラフトって、やっぱり面白い。ちょっとだけネタバレですが、アルパカの融合体が最高です。可愛いんだか、気持ち悪いんだか、モフる事が出来るのか、笑っちゃいました。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。ですが、”遊星からの物体X”が好きな方で、スプラッター映画が大丈夫な方で、クトゥルー神話を知っている方限定です。神話を知らず、スプラッターがダメな方には、何が何だか解らないし、ただグロいだけなので、お薦めは出来ません。でもね、クリーチャー系が好きな人は大喜びしてくれそうなんですよ。こういうの久しぶりですもん。これは楽しめます。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―|映画情報のぴあ映画生活