「人間の時間」人間の汚い欲望を存分に描きすぎた映画だと思います。私は観ていて辛かったです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「人間の時間」を観てきました。

 

ストーリーは、

恋人とともに旅行を楽しむ女性、有名な議員とその息子、そして謎の老人と、さまざまな人びとを乗せ、船は出航する。かつては軍艦でありながら退役後はクルーズ船となったその船が大海原へと出た頃、開放的になった乗客たちは酒、ドラック、セックスと、さまざまな顔を見せていった。狂乱の後、疲れ果てて眠りについた彼らが目を覚ますと、船は霧に包まれた未知の空間に突入していた。何が起こったのか理解できない現実を前に呆然とする人びと。やがて乗客たちは生き残りをかけた悲劇的な事件を次々と起こしていく。

というお話です。

 

 

休暇へ向かうたくさんの人々を乗せ、退役した軍艦が出航する。 乗客には、新婚旅行にきた女性と恋人のタカシ、有名な議員とその息子、彼らの警護を申し出るギャングたち、謎の老人など、年齢も職業も様々な人間たちがいる。

大海原へ出た広々とした船の上で、人々は酒、ドラッグ、セックスなど人間のあらゆる面を見せ始め、荒れ狂う暴力と欲望の夜が訪れる。新婚旅行の男性は殺して海に捨てられ、女は男たちにレイプされてしまう。そして美しい彼女を欲しがった有名議員と息子の所に連れていかれ、彼らの欲望にもさらされてしまう。



 

誰もが疲れて眠りにつき、船は霧に包まれる。ゆっくりと船は進み、未知の空間へと入って行く。翌朝、目が覚め、船の外を見ると、海が無くなっており、雲海が広がっている。自分たちがどこにいるのかわからず、そこから出られるのかもわからない状況に唖然とする人々。

いつ地上に着くのかもわからず、このままでは食料も無くなっていく。今度は生き残りをかけて、人間の欲望が悲劇的事件を次々に起こしていく。船を掌握した議員とその手下のヤクザたちは、1丁の銃で乗客たちを黙らせるが、それもいつまで続けられるかわからない。そして一人、また一人と減って行き・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、凄い問題作だと思いました。本国では監督の性暴力の問題で公開されていないとのことですが、それが無くても、韓国では公開が難しいんじゃないかな。これ、今回はストレートにではないけど、ネタバレさせていただかないと、感想が書けないので、申し訳ありませんが、まだ観ていない方は、ここから下を読まない方が良いかもしれません。でも、まぁ、観なければ意味が解らないだろうから、観た時に気が付いてくださいって感じなので、読んでいただいても、問題は無いと思います。

 

韓国での公開が難しいんじゃないかという事ですが、韓国では近親者との婚姻や姦淫などは禁止でしょ。日本のように緩くないので、この映画だと、どう考えても、人間は全て罪人の子孫と言うことになってしまうので、許されないと思うんです。聖書だって、アダムとイブが最初ということなら、どう考えても近親者との婚姻で子孫が増えて行かなければならないので、人間は全て罪人なんですけどね。この映画は、そんな雰囲気の事が描かれているんです。

 

 

引退した軍艦がレジャー用の船になるなんて初めて聞いたのですが、こんな事が韓国ではあるんですね。元軍艦なので、レジャー用になっても、満足な寝室がある訳でもなく、プライバシーが守られるわけでもないんです。船旅と言いながら、なんか、自衛隊の訓練に参加させられているような感じで、食事も簡易的な感じのモノが配られるだけなんです。よくこんな酷い旅行に行くなぁと思ったのですが、結構、乗客は楽しんでいるように見えました。

 

しばらくすると、何故か、欲望を剥き出しにした男ばかりになって、女性が襲われるんです。もう、ここら辺は理解が出来ませんでした。日本ではあり得ないストーリー展開で、ちょっと驚きました。船に男グループで乗っていた奴らが、女とヤリたいといって、乗っている女性をレイプするんです。女性の夫はボコボコにされて捨てられるんですよ。はぁ?と思ってしまいました。もう人間じゃないでしょ。ヤリたいから、そこらにいる女性をレイプするって、動物でもやらないんじゃないの?韓国の人って、こんな感じなのかしら。恐い国だと思いました。

 

 

で、レイプされて悲しむ女性を、またもヤクザの男が来てレイプ、その後、その女性を議員の所に連れて行って、好きにどうぞって言って、そこでもレイプ。いやぁ、さすがに観ていて辛かった。というか、観たくない場面でした。確かに、映画としては、ここで女性が沢山の男にレイプされることが、後の話に繋がっていくのですが、それでも、女性がこんな風に扱われるのは辛いです。それも、女性は日本女性で、男は韓国人なんです。慰安婦とかの仕返しの嫌がらせだったのかしら。

 

キム・ギドク監督の映画は、確かに衝撃的だけど、こんなにも嫌な思いをしたのは初めてでした。本当に気分が悪かったです。

 

船は海に浮いていたのに、気が付くと空に浮いていて、いつ地上に下りれるか判らない。食料も尽きてきて、性欲の次は食欲で、食べ物の取り合いが始まるんです。そして殺し合いが始まり、人がどんどん死んでいき、食料が無いので、人間の肉に手を出し始め・・・。これも気分が悪かったです。

 

 

最後まではネタバレしませんが、人間の欲望を次々と描いていて、映画としては凄いのかもしれませんが、私はちょっと受け入れがたかったです。映画の中では、七つの大罪である、「傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲」が全て描かれていたようで、その為に、政治家やヤクザ、詐欺師、半グレ、娼婦などが出てきたのかなと思います。

 

最後まで観ると、題名「人間の時間」という意味が解り、壮大な物語だったのだと理解出来るのですが、途中が衝撃的過ぎて、私は、ちょっと辛かったです。これ普通の考えの人が観ると、頭が狂いそうになるんじゃないかなぁ。常識というものをハズしたような映画なんですもん。何とか耐えて、最後まで観ましたが、韓国で上映出来ていない理由が少し分かるような気がします。

 

 

私は、この映画、あまりお薦めが出来ません。キム・ギドク監督の映画をほとんど観ていて、グロい系やぶっ飛んだ話でも大丈夫だと言う方でしたら良いと思いますが、さすがに、一般的な考え方で普通の映画しか観ていない方は、辞めた方が良いと思います。途中で映画館を出たくなるんじゃないかしら。オダキリジョーさんが出演されているので、気軽に観に行くと、痛い目を見ると思います。オダギリさんの出演は最初の方の少しだけです。それでも観てみたいと思ったら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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