「パブリック 図書館の奇跡」人が死んだらどうすんのよっ!公共施設が考えるべき事とは? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「パブリック 図書館の奇跡」のオンライン試写会に参加しました。Fan's Voice(@fansvoicejp)さんのご招待で観せていただきました。観た後に、NPO法人自立生活サポートセンターもやい理事の大西さんのお話も聞くことが出来ました。

 

ストーリーは、

 

オハイオ州シンシナティの公共図書館で働くスチュアート。朝から館長に呼ばれて、先日、あまりにも臭いが強かったホームレスを図書館から出したことで訴えられたと検察官に責められる。市が和解金を払えば取下げられると言うが、その責任をスチュアートに押し付ける。しかし図書館にいる人々の迷惑になっていたから仕方なかったのだ。

そんな話を聞いた後、図書館室に戻ると今日もホームレスで一杯だ。と、裸で大声で歌っている男もおり、警備員と制しようとするといきなり倒れてしまう。直ぐに救急車を呼んで搬送したが、毎日、何が起こるか分からない。



 

ある日、普段通りの閉館時間が近づき、片付けを始めるのだが、ホームレスたちが出て行こうとしない。シンシナティでは寒波が続いており、路上生活者の死が相次いでいた。そんな中、既にシェルターは一杯で、彼らは図書館から出たら路上に横たわるしかない。出て行かない!と頑張る約70人のホームレスたち。

彼らの苦境を察した図書館員スチュアートは図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする事にする。。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。



 

しかし、市長選を控えた政治的イメージアップをねらう検察官やメディアのセンセーショナルな報道により、図書館員のスチュアートがホームレスを人質に立て籠もったと報道され、過去の問題から、心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまう。

間違った情報が錯そうする中、スチュアートの同僚たちや、彼を良く知る大家さんが真実を伝える為に動き始める。そして、この立て籠もりが社会問題なのだと広がり始め・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、良かったぁ~!エミリオ・エステベスさんが監督・主演・脚本・製作と、全てをやっています。今、世界でも問題になっている貧困。日本でも同じように問題は大きいようです。特に、今、コロナで失業してしまったりという事もあり、今後、どうなるのかと心配しています。そんな問題を取り上げた本作は、とてもよく出来ていました。

 

シンシナティの図書館で、ある日、突然に起こった事件。外は寒波が襲っており、ホームレスが凍死しているんです。そんな時に図書館から出たら行くところが無いホームレスたちをほおりださなければならないって、辛いですよね。でも、公共の施設だし、規律に従わなければ逮捕されてしまいます。

 

 

最初にスチュアートは、ホームレスを臭いで外に出したことで訴えられ、今度は外に出さないことで逮捕されそうになるんです。おかしいでしょ。何で、人の心とは関係なく、法律で左右されなくちゃいけないのか。疑問が出るんです。

 

映画の中でスチュアートがホームレスに、”じゃぁ、お前の家に泊めてくれるのか?”って聞かれるシーンがあるのですが、普通、突然に家に泊めろと言われて、泊められる人はいないですよね。相手がどんな人かわからないし、自分のテリトリーを侵されるのは嫌だと思うんです。そうなると、ホームレスを助けるには公共施設しかないじゃないですか。公共施設なら入って貰っては困る部分には鍵がかけられるでしょ。図書館なら例えば会議室などを開放すれば、本が盗まれることは無いだろうし、警備員は24時間いる訳でしょ。

 

 

でも、公共施設には規則があり、沢山の人の税金で成り立っているから、一部の人間だけの為に開放が出来ないというのだと思うんです。それも理解出来ない訳じゃないけど、でもね、人間が死ぬか生きるかって時に、市民の税金とか、規則とか、言っている場合じゃないでしょ。そういう場合こそ、報道などを使って、こんな問題が起こっているから命を助ける為に開放します、了承してくださいっていうメッセージを出せばいいと思うんです。

 

スチュアートは、彼らの為に一緒に立て籠もるのですが、何故か自分が立て籠もり犯になり、ホームレスを人質にしていると言われてしまい、過去までさらされてしまいます。踏んだり蹴ったりだよねー。人間として当たり前の事をしただけなのに。そして、その真実を伝え始めると、段々と共感する人も出てきて、これが事件ではなく、社会問題なんだと気が付き始めるんです。それに気が付かないのは、市長選を控えた検事だけ。検事役をクリスチャン・スレイターが演じているのですが、またこれが憎たらしい感じなのよー。昔はヒーローだったのにぃ~!

 

 

貧困って、実は、いつも自分の横にあって、もしかしたらいつ自分もそちらに転んでしまうか分からないんですよね。仕事が無くなったり、誰かに騙されたり、事故に遭ったり、いつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない事なのに、普段はあまり見ないようにしてしまっている事だと思います。私も、欲しいものを買って、食べたい物を食べて、娯楽をして、何も考えてないけど、いつこれが無くなるのか分からない。そう思うと、本当に怖いです。

 

 

だから同じ人間として、何か助けられることがあるならばしてあげたいと思うし、それでもこれだけは譲れないという事は出来ないし、難しいですよね。だって、助けてくれって言われても、全てが信用出来るとは限りませんもん。人間って、ズルい部分もありますから。もし自分が貧困になったとしたら、お腹が空いてなくても、死にそうだからお金をくださいって言うだろうしね。それは人と人との関わり方で、また違ってくるのだと思います。

 

凄く良い映画だったので、つい長くなってしまいました。この映画は、誰もが観るべき映画だと思いました。見て見ぬ振りをしていないで、日本も直面している問題を考えるべきだと思いました。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。この映画、ダラダラと観ていると、色々なシーンが、前半と後半でリンクしている事に気が付きません。図書館の外に出す出さないとか、仲間の一人が居なくて凍死したとかしないとか、裸の男がいるとかいないとか、スチュアートの現在と過去とか他にも、とても上手く対比させているんです。それも見どころです。そういう部分を見逃すと、只のホームレス図書館になっちゃうので、良く観てくださいね。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S

この映画と一緒に考えて欲しい問題がひとつ。

「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」というドキュメンタリー映画があるのですが、現状、DVDに出来る目途が立っていないようです。日本の図書館もこんな風に出来たらという指標になるような映画で、貧困の事も取り上げられています。配給会社ミモザフィルムズさんから、この映画を記念して行われたディスカッションの動画紹介がされていたので、ここに紹介しておきます。

https://note.com/mimosafilms/n/n652ef4e129f0

 

NPO法人自立生活サポートセンターもやい

https://www.npomoyai.or.jp/

 

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