「風の電話」を観てきました。
ストーリーは、
8年前の東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女ハル。ある日、叔母が突然倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷・大槌町へ向かう。豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らす男や、ヒッチハイクで乗せてくれた新しい命を宿した女性、道中で出会った福島の元原発作業員・森尾と出会い、少しづつ落ち着きを取り戻して行く。そして大槌町に付いたハルは・・・。
というお話です。
この映画、良かったです。でも、ちょっと普通の映画とは違うような趣でした。凄い俳優さんが出ているのに、素人のような方々も沢山出てきて、まるでドキュメンタリーのように見える場面も多いんです。音楽もそれほど付いていなくて、不思議な感じでした。
ハルという少女が、自分の故郷に遺した家族に逢いに行くという内容なのですが、家族は津波で流され見つかっていないんです。失くなって8年、叔母と暮らしていたのですが、叔母が倒れたことをきっかけに、一人になる不安が爆発してしまい、故郷に帰ろうとするんです。
広島から岩手に行くという事なので、何も持ってないのでは、結構、無理があるのですが、映画なので出来ちゃいます。その道中、色々な人々と出会い、自分も不安だけど、どんな人にも、それぞれに問題があり、誰もが問題に向き合って頑張っているんだという事を知り、自分も向き合って生きて行かなければならないことに気が付いて行くんです。
多感な時期に震災で家族を失くすというのは、そう簡単には克服出来ませんよね。このハルのように、家族を失くして1人になってしまい、親戚のところに引き取られた子は、まだ良いと思いますが、本当に1人になってしまった方もいらっしゃるんじゃないかと想うと、心が痛いです。本当に酷い震災でした。
その後に、豪雨の被害など、幾つもありました。そして、今回のコロナの感染被害も大きくなり、一人じゃなく、みんなで力を合わせて戦わなければならないことが現実にたくさん出てきています。もう頭を切り替えて、自分だけじゃなく、みんなで助かろう、みんなで幸せになろうという気持ちにならないと、これからは生きて行かれなくなるのかもしれません。
風の電話というのは、ハルがある少年と駅で出会うと、少年が亡くなった父と話すために風の電話に行くというんです。風の電話というのは、2011年にガーデンデザイナーの佐々木さんという方が自宅の庭に設置した電話ボックスの中にある電話で、佐々木さんが死別した従兄弟と話したいという思いで設置し、「天国に繋がる電話」として沢山の方が訪れるようになったそうです。そこへ、少年も行くというので、ハルも家族と話したいという思いで、風の電話に行きます。そして家族への思いを全て掃き出します。きっと、この電話で話すことで、また先へ進むことが出来るのだと思いました。
とっても不思議な映画で、とても素人っぽく見える部分もありながら、有名俳優がグッとレベルを上げていたりして、そう思うと、ドキュメンタリーのように普通の家族の姿を追っていたりして、何とも面白い映画だと思いました。話としては、ちょっと無理がある内容ではありましたが(高校生が制服姿でヒッチハイクとか)、感動する部分がとても大きいので、バランスは、それで取れているのかなと思います。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。上手く雰囲気を伝えることが出来ませんでしたが、とても良い映画です。モトーラ世理奈さんもぎこちない感じが良かったし、周りが素晴らしい方ばかりなので、十分に納得出来ると思います。もう、公開している映画館が少ないかと思いますが、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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