「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」を観てきました。
ストーリーは、
年老いた美術商オラヴィのもとに、音信不通だった娘から電話がかかってくる。その内容は、問題児の孫息子オットーを、職業体験のため数日間預かってほしいという。そんな中、オラヴィはオークションハウスで1枚の肖像画に目を奪われる。価値のある作品だと確信するオラヴィだったが、絵には署名がなく、作者不明のまま数日後のオークションに出品されるという。オットーとともに作者を探し始めたオラヴィは、その肖像画が有名な画家の作品であるという証拠を見つけ出すのだが・・・。
というお話です。
この映画、題名からして絵画の売買で凄い駆け引きがあるのかと思っていたのですが、そういう事は全く無くて、謎の絵画を購入してからが色々な駆け引きがあって、楽しめました。
このオラヴィは、昔から仕事一筋で娘にあまり構っていなかったらしく、電話でも、とてもよそよそしいんです。そんな娘から、息子を頼まれ迷惑がっているようだったのですが、結局、孫息子の活躍で、絵画の作者情報が解ってくるんです。とても賢い子で、こんなに要領が良いという事は、子供の頃から苦労をしたんだろうなと思えるような子でした。
でもね、さすがに、孫息子にお金を出させた時は、酷い老人だなぁと思いました。いくら何でも、それだけはやっちゃいけないでしょ。たまたま、その絵画が凄い作者の作品だったから良いけど、もし、贋作だったらどうするんだったのかしら。オラヴィは、自分の目が正しいと思って、そこまでして手に入れたのだと思うけど、もしものリスクを考えたら、やっぱりダメだと思いました。たまたま、映画だから良かったけどね。
長年、美術商をしてきたから、もちろん素晴らしい観察眼を持っているのだと思います。でも、結局、画廊は大して流行っていなかった訳だし、どちらかと言うと商売に失敗しているのに、最後の賭けでこのやり方というのは、申し訳ないけど負け犬の遠吠えにしか思えませんでした。どうしてこういう人って、最後にこんな勝負の仕方をするのかしら。同じ商売人として、このやり方は賛成出来ないし、同じ轍は踏まないと思います。私には、老害としか思えませんでした。
この映画での救いは、孫息子。彼の、ひねくれながらも必死で生きているという姿は、とても可愛いと思いました。苦労しながら、母親を守ろうと頑張ってきたのだろうなと思いました。大体、娘が離婚して苦労していたことも知らないなんて、信じられない父親だなと思いました。
映画としては、まとまっていたし、楽しめたと思います。ムカ付くジジイが主人公だけど、一応、最後まで筋は通していたし、それなりに良かったのかなと思います。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。凄く面白い映画かと言われると、うーんと唸ってしまいそうですが、最後の勝負に出た美術商が、今まで触れ合ってこなかった家族と触れ合う事により、今までの生きてきた証のようなものを手に入れられたという感じで、満足が出来ると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
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