「名もなき生涯」彼の選択を最初は誰もが批判するけど、とても尊いことだったと理解が出来ます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「名もなき生涯」の試写会に行ってきました。cocoさんの独占試写会でした。

 

ストーリーは、

第2次世界大戦下のオーストリア。山と谷に囲まれた美しい村で、妻フランチスカと3人の娘と暮らしていたフランツは、激化する戦争へと狩り出されるが、ヒトラーへの忠誠を拒んだことで収監される。裁判を待つフランツをフランチスカは手紙で励ますが、彼女自身もまた、裏切り者の妻として村人たちから酷い仕打ちを受けていた。

というお話です。

 

 
初めて会った時から互いにひとめで惹かれ合ったフランツとファニは間もなく結婚し、この幸せがずっと続くと思っていた。時は1939年、オーストリアの小さな村、ザンクト・ラーデグント。豊かな自然をたたえた山と谷に囲まれた畑で、村人のほとんどが農業を営む平和なこの地にも、第二次世界大戦でオーストリアを併合したナチスドイツの影が、少しずつ広がり始めていた。
 
1940年、エンス基地での軍事訓練に召集されたフランツは、ナチスの不穏な動向を見つめるうちに、「国に何が起きた?」と不安を綴るようになる。そんな中、フランスが遂に降伏し、戦争は終結するかに見えた。フランツも生まれたばかりの3人目の娘が待つ我が家へと帰還し、母とファニの姉レジーと共に、再び平穏な日々を送り始める。
 
 
だが、戦火はやむどころか日に日に激しさを増し、村の男たちはいつ召集されてもおかしくない状況となる。そんな中、フランツは「兵役は断ります。罪なき人は殺せない」と、神父に告げる。心配した神父が司教のもとへフランツを連れていくと、司教からも「祖国への義務がある」と諭されるのだった。
 
フランツが兵役を拒否しようとしていることは、あっという間に村に広まり「裏切り者」とレジーや友人、近隣の人々から口々に責められるが、フランツは「悪しき指導者」だと確信するアドルフ・ヒトラーに、忠誠を誓うことなどどうしてもできなかった。
 
 
そんなフランツのもとに、とうとう召集令状が届く。フランツはあらためて信念を貫くと決意し、1943年3月2日、フランツはエンスに出頭し、ヒトラーへの忠誠宣誓を拒絶し、ただちに逮捕される。1943年5月4日、ベルリンの拘置所へと移送されるフランツ。「僕なら大丈夫だ」とファニに書き送るが、しかしそのファニも、窮地に追いやられる。3人の娘を一人で育てながら、畑仕事に疲れ果てる上に、村の人々から憎しみをぶつけられ、完全に孤立していたのだ。

1943年7月、帝国軍事法廷にて裁判が開かれ、フランツに死刑の判決が下される。弁護士と神父と共にベルリンへ駆けつけたファニは面会を許される。もうすぐ戦争は終わるのだから表面的に誓えばいいと、処刑中止の請願をするよう説得されるフランツだが、自らの命よりも大切なものがあると信じるフランツは・・・。後は、映画を観てくださいね。
 

 

フランツ・イェーガーシュテッターという実在の人物の生涯を元に映画が作られました。彼は映画の通りの人物で、彼の死後、何年も経ってから、ローマ教皇により殉教者として認定されたそうです。テレンス・マリック、やっぱり凄い監督でした。この映画、とっても静かな映画なのですが、その中に、憎しみや哀しみ、苦しみが詰まっていて、フランツという人物が、最初はバカな男に見えるのに、最後には彼の姿が荘厳な仏様みたいに見えてくるんですよねぇ。キリスト教なのに。

 

第二次世界大戦で、オーストリアはドイツに占領されて、オーストリア人はナチスドイツの兵士として召集されて行くんです。フランツも何も解らずに訓練に参加させられるのですが、段々と、これはダメな戦いだと感じ始めるんです。そしてナチスの兵士として闘わない選択をするんです。

 

 

確かに、ヒトラーの部下として戦うなんて嫌だと思ったのは理解出来ます。でも、自分の国を支配してしまった訳だし、反発すれば、自分だけでなく、家族にも何があるか分かりません。嫌でも、適当に誓いますって言っておけば、それで終わるのだからそうすべきでしょ。キリスト教に反すると言っても、それくらいの罪は許してくれます。ペテロだって、3回イエスを知らないと言っても、神は愛してくれたのだから。なのに、このフランツは、どうしてもヒトラーに忠誠を誓いません。誰もが、一言、嘘で言いから、家族の為に、サインをして欲しいというのですが、とことん拒否をします。

 

観ていてイライラしました。どうして誓わないの?嘘でいいんだし、神様だって許してくれるって神父も言っているし、家族の為にもサインをするだけでイイのにって、何度も思いました。でもね、そのフランツを観ていて、悪に一度加担してしまったら、自分の心が壊れてしまうのだという事が、段々と理解出来てくるんです。例えば、もし家族の為に嘘のサインをして、罪を免れて、家に帰ったとしても、信念を曲げた自分を許せなくなり自殺をしてしまうのではないかと思ったんです。

 

 

嘘を付くのは簡単だけど、自分に対しては嘘を付き通す事が出来ないんです。いつも自分が信念を曲げた事を悔いて、曲げなければならない原因となった家族を恨んだかもしれない。悪魔に心を売った自分を許せないと思うんです。それが彼には解かったから、こういう選択をしたのかなと思いました。

 

私なら、ハイハイってヒトラーに忠誠を誓っちゃうけどね。どんなにイヤな奴でも、家族を守る為なら悪魔にだって魂売っちゃいますよ。だって、私には、神より何より、家族が大切ですもん。自分の魂一つで守れるなら、いくらでも売ってやります。でも、フランツのように高潔な人は、それが出来なかったのでしょうね。

 

凄く考えさせられる映画でした。本当に最初はバカ男としか見えません。でもね、心の奥を理解出来てくると、何て人なんだろうって思うんです。こんなにも高潔で、家族とか小さな単位ではなく、人間として正しい事をするべきだと考えて行動する彼には、脱帽でした。最後に言葉が流れるのですが、えーっと確か「小さな正義は何の足しにもならないけど、それがあるからこそ、マシな世界になっているのだ。」というような言葉でした。一見、大したことじゃないけど、それがあるからこそ、大きな悪が勝つことは無いんだって事らしいんです。結構、心に響きました。やっぱり少しづつでも良い事しようっと。毎日、一つづつ、良いことしたら世界が良くなるかもしれませんね。

 

 

私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。静かで眠くなるような進み方だし、流れですが、これが理解出来たら、凄く感動すると思います。バカな男だけど、神のような男なんです。同じような行いは出来ないけど、小さな良い事は出来そうでしょ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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