「影裏」の試写会に行ってきました。Fan's Voice (@fansvoicejp) さんの独占試写会に当たりました。この映画、早く観たかったので、凄く嬉しかったです。
ストーリーは、
転勤で岩手に移り住んだ今野は、慣れない土地で出会った同僚の日浅に心を許し、次第に距離を縮めていく。2人で酒を酌み交わし、釣りをし、遅れてやってきたかのような青春の日々に、今野は心地よさを感じていた。しかし、ある日突然、日浅は何も言わずに会社を辞めてしまう。しばらくして再会を果たした2人だったが、その後は顔をあわせることなく時が流れていく。そしてある時、日浅が行方不明になっていることを知った今野は、日浅を捜すが、その過程で日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまう。
というお話です。
芥川賞受賞作を映画化した作品なので、やっぱり濃密で、深く考えさせられました。友達をどこまで信用して良いのか。そもそも、友達の真実なんて知る必要があるのか。友達なのだから表面だけではなく裏の部分まで知った上で信頼関係を結ぶべきなのではないか。色々な考え方があるけど、誰だって好きな人には自分の悪い所を見せたくないという気持ちがあるし、本当に好きなら悪い部分があろうと無かろうと好きだろうし、本当はどうなんでしょうね。
この今野は、本当に良くいる普通のサラリーマンのイメージです。ただ一つ、彼はゲイだってことかな。そんな私生活の事で色々あり、会社の転勤を機に、全てを捨てて地方に来たという感じなんです。知り合いも無く、積極的に友達を作ろうともしていなかった今野ですが、ある日、会社で日浅と出会います。優しくて、さっぱりした性格に見える日浅に惹かれて行き友達になるのですが、今野は段々と友達以上の存在に彼が見えてきてしまいます。
好きだという気持ちが大きくなり、抑えられない!というところで、突然に日浅が会社を辞めて、消えてしまいます。自分に何も言わずに消えてしまい、少しガッカリしていると、ある夜、突然に一升瓶を抱えて訪ねてきます。新しい仕事が上手くいっているようで、また親友として一緒に居られるようになります。でもねー、良い時間は続かず、段々と関係が崩れて行くんです。この崩壊していく時間って、観ていても苦しかった。訪問の営業なんて、いつまでも上手く行く訳がない。保険屋さんだって、知り合いを全員入れたらお払い箱でしょ。残酷な商売よね。
またも突然に消えてしまった日浅を探して、父親のところとか、お兄さんのところに行くのですが、取り合って貰えないんです。震災で行方不明者が沢山出ているのに、あいつの事で手を煩わせたくないっていうんです。家族なら、探して欲しいと思うだろうに、それ程に、家族には色々な事があった様なんです。
私ならどうかな。自分の知らない所で、借金してたり、浮気してたりしたら、やっぱり、信用が出来なくなっちゃうかもしれないなぁ。でも、自分が裏切られた訳じゃなくて、人から色々聞いただけなら、信じたいし、私は味方になってあげたいと思うかもしれない。相手によるかもしれません。
凄く考えさせられてしまい、今も答えが出ません。それくらい、良い映画でした。でね、始まってすぐに、綾野さんが、パンイチでベッドに寝てるんだけど、最初、下半身と背中だけ映ると、あまりにも綺麗で艶めかしくて、もしかして女性⁈って思ってしまいました。綾野さんが、凄く美しく映してあります。なので、松田さんと二人でいると、本当に仲の良い恋人同士に見えんるです。映像も素晴らしかったです。自然が美しいの。
最後にひとつ。二人でザクロの実を食べる場面で、ザクロは人間の味がするという台詞があるんです。確かにザクロって、鬼子母神が子供を拐って食べていたのを、仏様が子供の代わりにザクロを与えて、子供を守る神様になったっていうお話しがあるので、人間の味なんですよね。ザクロによって鬼が神に変わるという事で、日浅に今野が出会って神に変わってくれていたなら、また、幸せな日々が戻ってくるかもしれません。でも、それは現実では起こらない事なのかも・・・。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。静かな映画ですが、心にずっしりくるような内容です。腐女子の方は必見です。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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