「his」を観てきました。
ストーリーは、
春休みに江ノ島を訪れた男子高校生・井川迅は、湘南の高校に通う日比野渚と出会う。2人の間に芽生えた友情はやがて愛へと発展するが、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と別れを告げる。出会いから13年後、ゲイであることを周囲に知られるのを恐れ、田舎で孤独な生活を送る迅の前に、6歳の娘・空を連れた渚が現れる。居候させてほしいという渚に戸惑う迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻と娘の親権を争っていることを明かし、ずっと抑えてきた迅への思いを告白する。
というお話です。
朝、ベッドには眠る二人の男性。仲良さそうに微笑み、身体を起こすと、一人が”別れようか”と言葉を発する。もう一人が”え?”と聞き返すが二人の表情は変わらない。
時は経ち、井川迅は、一人、岐阜の田舎町で暮らしていた。都会での暮らしに疲れ、移住してきたのだ。自給自足の生活を始めた迅は、周りの人々に助けられながら、安定した生活を送り始めていた。そこへ、突然に日比野渚が現れる。昔付き合っていた渚は、突然に別れを告げ、迅の前から消えて行ったのだった。
6歳の娘・空を連れて現れた渚に、今更何しに来たのかと聞くが、はっきりした事を言わずに、家に上がり込む。そして迅の家に居ついてしまうのだった。迅は渚に理由を聞くと、ぽつぽつと話し始める。
渚は迅と別れた後、オーストラリアへ行き、そこで通訳をしていた女性と出会い、子供が出来たので結婚をしたらしい。しかし渚は、自分はゲイだという事を再認識し、妻と上手く行かなくなってしまった。そして離婚をすることになったが、娘の親権の問題で争っているらしい。そして渚は、迅の事が忘れられなくてここに来た事を告白する。
空の親権を得るには、ゲイであっても子供を育てられる環境があることを求められるので、渚はこの町で仕事を探し始める。町の人々は、男二人と娘という組み合わせでも、それ程、気にせずに接してくれていたが、ある日、空が二人がキスをしているところを見てしまい、それを町の人々がいるところで話してしまう。ゲイだと疑われ始めてしまった二人は、そのまま二人でこの町には居られないと思い、仕事を見つけた渚と空を置いて、迅は一人で出て行こうと考え始めるのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、感動作でした。公式サイトなどにあるあらすじとは違い、二人の馴れ初めなどは映画では描かれず、別れの場面から始まりますが、それでも、二人がどれ程思い合っていたのかというのは、その表情と演技で感じるようになっており、よく出来ていたと思いました。
そして、社会の中でゲイの彼らが生きることが、どんなに大変だったのかという事も、良く描かれていたと思います。今は、随分と誰もがLGBTを理解するようになってきたと思いますが、今から10年前くらいは、まだまだ、偏見の目が強かったと思います。本当に辛かったんだろうなぁと、観ていて思いました。
そんな都会での暮らしに疲れた迅は、田舎へ移住して、自給自足の生活を始めます。過疎の町では、移住してくれる人に行政が生活の手ほどきなどをしてくれて、迅は、一人でも満足の行く生活をしていたように見えました。そこへ、突然に渚が現れるんですから、どうなっちゃうんだろうと思いますよね。それも、娘を連れて。何て勝手な奴なんだよって思うけど、迅はまだ渚のことが好きだったようで、それを許しちゃうんですよ。私は、追い出しちゃえよって思ったけどね。
ドロドロした恋愛映画だったら、ちょっとイヤかなぁって思っていたのですが、この映画、とてもシンプルで気持ちの良い恋愛映画でした。本当
に真っ直ぐに相手が好きで、でもゲイは周りには認められないかもと思ってその思いを表面に出さないのですが、それでも、気持ちだけは前に前に行ってしまう。そんな様子が良く描かれていて、人を好きになるって、こういう事だよなぁと、思い出しました。
主演のお二人と言って良いのかな?宮沢さんと藤原さんですが、とても透明感があり、凄く自然体でお互いを好きになったんだなぁという雰囲気が伝わってきて、上手いなぁと思いました。宮沢さんは、TVドラマで知っていたのですが、藤原さんを初めて知りました。今までも映画とかで観ていたみたいなのですが、ごめんなさい、知りませんでした。でも、この役、上手かったですねぇ。
考えたのですが、もし、私がこの渚の奥さんの立場だったら、やっぱりショックだろうなぁ。だって、自分を愛してくれたから子供も産んだし、結婚もした訳でしょ。だけど、ゲイと言われて、別れようと言われたら、本当は自分を愛してなかったのかなと思って、怒りがこみ上げるよね。残酷だと思いました。だから、最後に渚が取った行動は、正しいと思います。でなくちゃ、奥さん、可哀想すぎるでしょ。
この渚、最初は、突然訪ねてきて、図々しく迅の家に居つくから、鼻に付くなぁって思うんですけど、それが段々と、迅への思いと、娘を大切にする父親としての姿との二つからくるものなのだと分かって、温かい人物なんだってことが伝わってくるのよねぇ。それを感じるから、迅も渚を受け入れるし、この町で暮らそうと思うようになるし、そういう心の交流が良く描かれていたと思いました。
最後に、渚の子供の空ちゃん、凄く幸せな子だなって思いました。空ちゃんの為に、お母さんも、お父さんの恋人も、必死で卵を片手で割れるように練習する場面があるんです。子供の為に、こんなに努力する親って、そんなにいませんよ。本当にしあわせな子供だなって思いました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、最初、ちょっと躊躇しながら観に行きましたが、感動してしまいました。誰が誰を好きでも、恥じる事なんて何も無いんです。でも、それによって人を傷つけるのは良くないかな。やっぱりこの映画の中では、奥さんが酷く傷ついたと思います。その償いはしてあげないとね。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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