「ラストレター」その手紙は恋を語るでも哀を語るでもなく、娘への愛を語っていたと思いました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ラストレター」を観てきました。

 

ストーリーは、

姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるため同窓会へ行く裕里だったが、学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通することに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりはじめる。

というお話です。

 

 
裕里の姉の未咲が、亡くなった。未咲の娘・鮎美は、静かに母親を送り、葬儀は滞りなく終わる。裕里の娘・颯香は、休み中は鮎美と一緒にいたいと言い、裕里は颯香を実家に預けて、息子と帰路につこうとする。すると鮎美が、未咲宛に来た同窓会の手紙をどうしたら良い?と裕里に見せる。裕里は、自分が返事をしておくと言い、手紙を持って帰る。鮎美は祖父母と一緒に暮らしており、そこにしばらくは颯香も泊まることになる。
 
裕里は、姉の同窓会に行き、未咲の死を伝えるつもりだったが、何故か、その場で未咲に間違われてしまい、未咲の名札を付けて姉の同窓会に出席することになる。そこに、裕里の憧れだった先輩の乙坂鏡史郎も出席しており、ドキドキした裕里は、途中で同窓会を退席してしまう。すると、裕里を追ってきた鏡史郎に声をかけられ、ちょっと話をしないかと誘われる。しかし、裕里は急いでいるのでと言って、連絡先だけ交換して別れてしまう。
 
 
家に帰った裕里は、鏡史郎から連絡を貰う。裕里を未咲だと思っている鏡史郎は「今も君に恋している。」というショートメールを送り、たまたま、それを見てしまった裕里の夫の岸辺野宗二郎は、同窓会に行って浮気か!と思い、裕里のスマホを風呂の中に投げ込み”スマホ禁止!”と怒ってしまい、裕里は鏡史郎に連絡が出来なくなってしまう。
突然に連絡が出来なくなり、申し訳ないと思った裕里は、鏡史郎に手紙を書くことにする。そして、手紙を書きながら、高校時代の事を思い出す。
 
高校時代、3年の6月に転校してきた鏡史郎は、友人に誘われて入った部活で裕里と出会う。話をしているうちに、裕里の姉が生徒会長だと聞き、いつもマスクをしている生徒会長の顔が見てみたいと思い始める。そして裕里に顔が見てみたいと言うと、たまたま自転車で帰宅する未咲に会い、挨拶をするのにマスクを取った顔を見て、鏡史郎は未咲に一目惚れをする。そして、想いを伝える為に手紙を書いて、裕里に、”お姉さんに渡して欲しい”と頼むのだった。何通も渡した後、実は、未咲に手紙が渡っていないことが分かり、裕里が鏡史郎に恋している事も分かり・・・。
 
 
そんな淡い恋心の行き違いがあった高校時代を思い出す裕里。一方、鏡史郎の方も、心に蓋をしていた未咲への思いを抑えられず行動を起こし始める。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

いやぁ、良かった。本当に良かった。良い映画だった・・・。もう、余韻にずーっと浸かっていたいような作品でした。岩井監督が創ると、何でこんなにも、人が愛おしく思えるような作品になるのかしら。映画全体に、ペール系ライトベージュの薄い空気が流れているようで、何もかもが優しい雰囲気に充たされているように観えるんです。良い所も悪い所も、罪深くてどうしようもなくバカな所も、全てが愛おしいと感じるんですよねぇ。

 

 

未咲と裕里という姉妹がいて、姉の未咲に恋した乙坂鏡史郎は、書いたラブレターを未咲に渡して欲しいと妹の裕里に渡すんです。でも、裕里は鏡史郎が好きなので、手紙を渡さないんですよねぇ。そこから、話がややこしくなるんですけど、凄く解るなぁと思いました。好きな人のラブレターなんて、届けたくないですよねぇ。

 

時は経ち、主婦となった裕里でしたが、初恋だった鏡史郎の事は、いつまでも忘れていません。だけど、今の夫をもちろん愛しており、とっても良い夫婦となっています。裕里と夫の掛け合いは、本当に愛し合っている夫婦という感じで素敵でした。夫に、こんなに嫉妬心剥き出しで怒られたら、自分は本当に愛されているんだと思って、凄く満足しちゃいそう。素敵なご主人でした。

 

 

しかし、姉の未咲は幸せな結婚生活ではなかったようで、哀しい結末を迎え、娘の鮎美は一人残されてしまいます。未咲にそっくりな娘なのですが、明るくてみんなの憧れだった未咲とは違い、まだ高校生くらいなのに、苦しんできた生活がにじみ出ているようでした。同じ、広瀬すずさんが演じているのに、全く違う人物に見えて、やっぱりトップを走る女優は若手でも違うなぁ、と感心するほど素晴らしかったです。広瀬すずさんは、観る度に成長しているようですね。

 

 

未咲に一目惚れした鏡史郎は、成長して小説家となります。彼の処女作は”未咲”という題名で、賞も貰ったようですが、それ以降、良い作品が書けず、今は挫折寸前になっています。今も、未咲を思っており、それだけ聞くと、ちょっとストーカー?って思ってしまいそうだけど、そんな事は無く、プラトニックに思い続けているんです。だけど同窓会で逢った事から、その思いが盛り上がってきちゃいます。ま、でも、福山さんが演じられている事でも分かるように、変態ぢゃありません。ちゃんと、本当に”恋”なんです。この、大人になっても心の中に秘める”恋”というものが、何とも言えないほどせつなくて、哀しくて、深いものだという事が、素晴らしく描かれていて、このせつなさに涙が出そうになりました。こんなにも思われていたら、思っていたら、それだけで生きていけるかもしれないなぁ。

 

 

そんな大人たちの恋を知ることになる娘たち。鮎美と颯香は、これから恋をして、成長していくんです。鮎美は、母親の想いを知り、気持ちが和んだのかなと思いました。鮎美は、辛かった母親しか見ていなかったと思うので、この鏡史郎との恋が母の幸せな時間だったのだと知って、良かったと安心したと思います。だからラストレターは、娘への贈り物だったのかなと思いました。”あなたの母親は幸せな人生を送ったのよ。悲しまないで。”っていうメッセージなのかなって。最後の娘への愛だったのかなって。うーん、本当に深いなぁ。良いお話だったなぁ。

 

 

この映画、思いがどんどん出てきちゃって、感想が止まらなくなるので、ここら辺で止めましょう。この映画は、何度も観たくなる映画なので、また、気が向いたら、感想を書きます。うん、本当に良かった。

 

最後に、豊川さんが衝撃的な役で出演されていて、ちょっと驚きました。私は、”Love Letter”の続きのような感覚で、豊川さんと中山さんを見ていたので、どんな人物か判った時に、”嘘でしょ~!”って思っちゃいました。あの二人とは違う人なのね。あの二人は幸せになっているわよね。うーん、ちょっとビックリでした。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは傑作です。今期と言わず、今年と言わず、ずーっと観ていたい映画になると思います。岩井監督の”スワロウテイル”もそうだけど、ずーっと保存したい映画になりました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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