「記憶屋 あなたを忘れない」を観てきました。
ストーリーは、
大学生の遼一は年上の恋人・杏子にプロポーズするが、その翌日から彼女と連絡が取れなくなってしまう。数日後に再会した彼女は、遼一の記憶を失っていた。信じられない思いの遼一は、人の記憶を消せるという都市伝説「記憶屋」のことを知り、大学の先輩で弁護士の高原に相談して杏子の記憶喪失の原因を探り始める。幼なじみの真希や高原の助手・七海らと調査を進めるうちに、人々の中にある忘れたい記憶やその奥にある思いに触れていく遼一だったが・・・。
というお話です。
大学生の遼一は、就職先も決まり、後は卒業の準備をするだけだった。そんなある日、恋人の杏子に連絡が取れなくなり、彼女に会いに行こうと駅に行くと、向こうのホームに杏子がいることに気が付く。急いで駆け寄って、どうしたの?と聞くが、彼女から帰ってきた言葉は”どなたですか?”だった。驚いた遼一だが、杏子は本当に遼一を忘れているらしい。前回に逢った時にプロポーズをし、指輪も渡していたのにどうしてと思ったが、その場は仕方なく引き、今話題になっている「記憶屋」をネットで調べ始める。
「記憶屋」とは、忘れたい記憶を忘れさせてくれるらしく、遼一は、以前、杏子と同じように記憶を消された人物を知っていた。幼馴染の真希が誘拐事件に遭い、戻ってきた時には誘拐事件の事を全て忘れていたのだった。本当にそんな人物が存在するのか分からないが、もしいるなら、杏子の記憶を戻して貰おうと思ったのだった。
大学OBで有名弁護士となった高原が講演に来て、その授業で発言をした遼一が「記憶屋なんていないですよね。」と言った言葉に反応した高原は、講演後に遼一を呼び、記憶屋についての話をする。実は、都市伝説と思ってはいても、気になっていた高原は、「記憶屋」についての調査を始めていた。恋人の記憶が消されてしまったという遼一に、一緒に探してみないかと言い、一緒に、記憶屋という人物が行ったとされる記憶消去の事件を探し始める。
調査をしていくと、連続強姦事件にあった高校生が、全てを忘れてしまい、高原の知り合いの医者の所に通院しているらしい。高原は、実は脳腫瘍があり、手術出来ない場所で腫瘍が大きくなっているらしく、余命宣告をされていた。高原の主治医が、事件の高校生も見ているのだった。
忘れてしまいたい程、辛い事があったら、記憶屋に消してもらう事も必要だろうと考える高原と、どんなに辛い記憶でも消す事は良くないという遼一と、考え方は違うが、どちらも記憶屋を探している。高原は、死に行く自分の記憶を娘から消してやって欲しいと思っており、遼一は杏子の記憶を返して欲しいと思っていた。そして、調査が進んで行くと、それを妨害するように、調査をした秘書の記憶が消されたりして・・・。後は、映画を観てくださいね。
面白かったとは思うのですが、イマイチ、観た後にモヤモヤしています。辛い記憶を記憶屋に消して貰うというお話なのですが、この主人公の遼一と同じように、私は、辛い記憶でも、やっぱり消してしまえば良いというのは、違うような気がするからです。
確かに、子供の頃に誘拐されたりという辛い経験は消してあげた方が良いのかもしれませんが、もし、また同じ誘拐という事件にあったらどうするんでしょう。同じ経験をしても、忘れているから対処法が判らず、同じように被害に合う訳でしょ。もし、記憶が消えていなければ、誘拐にあったらどうしようと、いつも考えているだろうから、いくらでも対処法を思いつきそうだけど、忘れていたのでは、また最初からなんですよね。うーん、経験が何の役にも立たないと言うのは、被害の受け損だと思うのですが。
人間は、経験によって成長していく生物だと思うので、その経験を忘れてしまったら、何の成長も無いと思うんです。辛い記憶を忘れたいと思うのは、誰でも思うと思います。でも、忘れてしまうというのは、逃げているという事でしょ。一度逃げたら、いつまでも逃げ続けなきゃいけなくなるし、臭い物に蓋をするのでは、何の解決にもなりません。
それに、自分の記憶は無くなっても、周りの人たちや、事件に合ったと言う記録は残っているので、後からそれを突き付けられた時に、2度目の被害に合う事になりますよね。うーん、何処まで考えても、記憶屋に記憶を消して貰うというのは、マイナスばかりに感じるのは私だけなんだろうか。
それに、この記憶屋さん、私利私欲で人の記憶を消すこともあったりして、それはダメだろ~って思いました。苦しむ人の助けになるだけなら分かるけど、自分の利益になることや、自分の存在を隠すために、人の記憶を消していくというのは、犯罪ですよ。酷いなぁと思いました。結局、記憶を操作された人たちは、何だか変な感じが残ったまま、その後の人生を続けなければいけなくなるんです。
この原作はホラー小説らしいので、まぁ、記憶屋を化物と考えるなら、これで良いのかしら。記憶屋には出会いたくないけど、出会ったとしても、その記憶を消されてしまうので、何事も無かったようにということなのでしょうね。
山田さんの遼一、普通の大学生っぽくて、良かったです。必死で彼女の記憶を取り戻そうと記憶屋を探す姿は、本当に恋人を取り戻したいという男性のようでした。そんな遼一に寄り添う真希役の芳根さん、どこか秘密を抱えているような表情が良かったです。彼女は上手いですね。若手の中でも演技はトップクラスで、どんな役でも出来そうで素晴らしいです。佐々木さんや杉本さん、田中さんなど、大御所がしっかり周りを固めていたので、安心して観ていられました。
最初にも書いたように、面白いとは思うけど、スッキリしないし、答えが出ないお話なので、ちょっと凄く面白いとは言えなかったなぁ。記憶というものの残酷さを考えさせられました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。モヤモヤはするけど、人間の記憶というものが、それぞれの人にとって、どんな存在なのかという事を、今一度、考えさせてくれる作品だと思いました。でも、スッキリしないので、モヤモヤ作品が嫌な方は、ちょっと止めた方が良いかもしれません。山田さんや芳根さんは、とても頑張っているので、彼らを見るだけでも良いかもしれませんよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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