「マザーレス・ブルックリン」を観てきました。
ストーリーは、
1957年、ニューヨーク。障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。
というお話です。
オープニングでこの映画での重要なメッセージが画面に現れます。「巨大な力を持つのは良い事だが、その巨大な力を使う人間は俗悪である。」完璧に覚えていないのですが、これと同じような意味の言葉が出てくるんです。この映画の内容を全て表している言葉だと思いました。それは、映画を最後まで観ると、理解が出来ます。
この映画の黒幕として描かれる都市計画の監察官モーゼス・ランドルフという男ですが、はっきり言って、都市計画をする人間としては、当たり前の事を言っているし、やっているだけなんです。もちろん強引だし、住んでいる人の事は考えていません。悪役と言われるけど、何処の国の何処の都市でも行われている事で、日本でも現在やられているでしょ。オリンピックに使われる土地の立ち退きだって、同じですよ。都市計画なんて、犠牲者が出なきゃ出来ないんですから。
と、建築をやっている側の人間は考えてしまいがちですが、そこに住んでいる貧困層の方々は大変ですよね。もちろん、出来れば完璧な代替地を与えてあげたいけど、予算は限られているし、借地権だけの人ばかりでしょ。土地を持っているならまだしも、借りて住んでいる人に同等の代替地なんてありません。出て行ってって言うだけです。権利が無いんですから。
そんな訳で、私はこのローズたちの反対運動には共感が出来ず、もちろんライオネルには、モーゼスは間違ってないんだよって教えてあげたくなりました。でもね、フランクは殺されているし、他にも何人もの人がこの都市計画に関係して殺されるので、まぁ、やっぱり悪い人たちですよね。都市計画を推し進めるのは分かるけど、人を殺しちゃダメよねぇ。まぁ、日本でも、昔は監禁して、どこかに連れて行くとかあったらしいけど。
悪役に共感してしまった私ですが、この映画、私が大好きなタイプでした。ストーリーが入り組んでいて、主人公がどこかハズれていて、謎を追って行くというお話で、とても楽しめて、惹き込まれました。特に、ライオネルのキャラクターは良いですね。とても穏やかで落ち着いていそうに見えるのに障害を持っていて、不思議な行動をしてしまうんです。でも、完璧な記憶力がある。まるでサヴァン症候群でしょ。
古いアメリカのブルックリンという街でストーリーが展開し、ハーレムではジャズが流れ、黒人たちがたむろする、何ともレトロな雰囲気がとても良かったです。そんな街で、黒い車でギャングのような男たちが殺し合い、それが行政に関わっているとなると面白いでしょ。ギャングと行政が組んで、街の再開発で儲けるという、絵に描いたような悪い奴らって感じで、それをエドワード・ノートン演じるライオネルが記憶力と直感で追って行くと言う、何とも素敵なストーリーでした。
映像は、ちょっと長回しだったかなぁ。途中、ダラダラする部分が無きにしも非ずでしたが、雰囲気が好きなので、私はそれほど気になりませんでした。どうせなら、もっとジャズを聞かせて欲しかったかな。
実は、私は同じ障害を持っている訳ではないですが、何かに集中すると、何故か、脳に浮かんだ言葉が口から出ていて、私が普段好きだと感じている単語の”ワーカビリチー”とか”エフロレッセンス”などなど、口走っているんです。その時の事とは関係無いのに、脳の回路が繋がっちゃって出ちゃうんでしょうねぇ。いつも不思議な顔をされますが、誤魔化します。(笑)人間の脳なんて、どこかおかしいんですよ。別に、それで生き難いとか思わなくてもいいんじゃないの?私なんて、こんなオバサンになるまで元気に生きてきたんだから。色々な人がいるし、それを理解して一緒にいてくれる人と仲良くしていればいいんです。それにしても、私、濁点が多い単語や、スイッとした単語が好きなんですよねぇ。あ、スミマセン、私のひとり言です。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は好きな映画でした。でも、長いし、単館系とレトロな探偵モノが好きな方じゃないと、ちょっとウトウト眠くなっちゃうかもしれません。でも、理解出来て、都市計画とは何ぞやと考えていくと、面白いと思いますよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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