「マザーレス・ブルックリン」発展途中のニューヨークで起こる都市開発の裏で蠢く影を追う探偵のお話。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「マザーレス・ブルックリン」を観てきました。

 

ストーリーは、

1957年、ニューヨーク。障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。

というお話です。

 

 
1957年、ニューヨーク。障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログ。ボスであり、施設にいたライオネルを引き取ってくれた恩人のフランクが、ある仕事を請け負い、ライオネルともう一人に指示を出し、取引の場所に入って行きます。指示が来ないことを不安に思い、ライオネルが行ってみると、フランクが撃たれ、犯人は黒い車で逃げて行きます。直ぐにフランクを病院へ連れて行くのですが、そのままなく亡くなってしまいます。
 
フランクを亡くしたライオネルはフランクが追っていた仕事を引き継ぎ、彼が殺された理由を探り始めます。ライオネルはトゥレット障害と強迫性障害を抱えており、突然に頭の中に浮かんだ言葉を口に出してしまったり、誰かに触れてしまったりを繰り返します。そんな障害を抱えながらも、抜群の記憶力と純粋な精神を持っており、フランクはそんなライオネルをとても大切にしていたのでした。
 
 
ライオネルは記者を装い、都市計画の説明会に参加します。フランクが遺した手掛かりから都市計画の監察官モーゼスへたどり着いたからです。説明会は、大規模な開発で汚れた貧困地域を一掃し、新しい都市計画で美しい街を作るというものでした。しかし、他の地域でも同じような事が計画され、酷い代替地に追いやられたという前例があり、住民からは不満の声が上がり、反対運動活動も始まっていました。
 
反対運動の中心で活動していたローラに記者として話を聞くライオネル。モーゼスの裏の顔と計画の内容を知ります。今度は酷い身なりをしたポールという人物と出会います。ライオネルが記者だと知り、モーゼスの裏の顔を話し始めます。モーゼスは、有色人種や貧困層を一掃し、裕福な白人の街を理想として都市計画を進め、昇り詰めてきたらしいのです。このポールという人物を調べると、モーゼスの本当の兄だという事が解り、兄弟の間に何があったのかも探り始めます。
 
 
そんなライオネルを危険だと思ったモーゼスは、ライオネルと会い、こちら側に付くようにと促しますが、ライオネルは返答をしません。するとモーゼスはフランクから預かった資料を渡せと脅しますが、ライオネルは全く覚えがありません。その場は誤魔化し、フランクが亡くなるときを思い起こし、「帽子」という単語を思い出します。そして・・・。後は映画を観てくださいね。

 

オープニングでこの映画での重要なメッセージが画面に現れます。「巨大な力を持つのは良い事だが、その巨大な力を使う人間は俗悪である。」完璧に覚えていないのですが、これと同じような意味の言葉が出てくるんです。この映画の内容を全て表している言葉だと思いました。それは、映画を最後まで観ると、理解が出来ます。

 

この映画の黒幕として描かれる都市計画の監察官モーゼス・ランドルフという男ですが、はっきり言って、都市計画をする人間としては、当たり前の事を言っているし、やっているだけなんです。もちろん強引だし、住んでいる人の事は考えていません。悪役と言われるけど、何処の国の何処の都市でも行われている事で、日本でも現在やられているでしょ。オリンピックに使われる土地の立ち退きだって、同じですよ。都市計画なんて、犠牲者が出なきゃ出来ないんですから。

 

 

と、建築をやっている側の人間は考えてしまいがちですが、そこに住んでいる貧困層の方々は大変ですよね。もちろん、出来れば完璧な代替地を与えてあげたいけど、予算は限られているし、借地権だけの人ばかりでしょ。土地を持っているならまだしも、借りて住んでいる人に同等の代替地なんてありません。出て行ってって言うだけです。権利が無いんですから。

 

そんな訳で、私はこのローズたちの反対運動には共感が出来ず、もちろんライオネルには、モーゼスは間違ってないんだよって教えてあげたくなりました。でもね、フランクは殺されているし、他にも何人もの人がこの都市計画に関係して殺されるので、まぁ、やっぱり悪い人たちですよね。都市計画を推し進めるのは分かるけど、人を殺しちゃダメよねぇ。まぁ、日本でも、昔は監禁して、どこかに連れて行くとかあったらしいけど。

 

悪役に共感してしまった私ですが、この映画、私が大好きなタイプでした。ストーリーが入り組んでいて、主人公がどこかハズれていて、謎を追って行くというお話で、とても楽しめて、惹き込まれました。特に、ライオネルのキャラクターは良いですね。とても穏やかで落ち着いていそうに見えるのに障害を持っていて、不思議な行動をしてしまうんです。でも、完璧な記憶力がある。まるでサヴァン症候群でしょ。

 

 

古いアメリカのブルックリンという街でストーリーが展開し、ハーレムではジャズが流れ、黒人たちがたむろする、何ともレトロな雰囲気がとても良かったです。そんな街で、黒い車でギャングのような男たちが殺し合い、それが行政に関わっているとなると面白いでしょ。ギャングと行政が組んで、街の再開発で儲けるという、絵に描いたような悪い奴らって感じで、それをエドワード・ノートン演じるライオネルが記憶力と直感で追って行くと言う、何とも素敵なストーリーでした。

 

映像は、ちょっと長回しだったかなぁ。途中、ダラダラする部分が無きにしも非ずでしたが、雰囲気が好きなので、私はそれほど気になりませんでした。どうせなら、もっとジャズを聞かせて欲しかったかな。

 

実は、私は同じ障害を持っている訳ではないですが、何かに集中すると、何故か、脳に浮かんだ言葉が口から出ていて、私が普段好きだと感じている単語の”ワーカビリチー”とか”エフロレッセンス”などなど、口走っているんです。その時の事とは関係無いのに、脳の回路が繋がっちゃって出ちゃうんでしょうねぇ。いつも不思議な顔をされますが、誤魔化します。(笑)人間の脳なんて、どこかおかしいんですよ。別に、それで生き難いとか思わなくてもいいんじゃないの?私なんて、こんなオバサンになるまで元気に生きてきたんだから。色々な人がいるし、それを理解して一緒にいてくれる人と仲良くしていればいいんです。それにしても、私、濁点が多い単語や、スイッとした単語が好きなんですよねぇ。あ、スミマセン、私のひとり言です。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は好きな映画でした。でも、長いし、単館系とレトロな探偵モノが好きな方じゃないと、ちょっとウトウト眠くなっちゃうかもしれません。でも、理解出来て、都市計画とは何ぞやと考えていくと、面白いと思いますよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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