「THE UPSIDE 最強のふたり」キャストは良いのにフランス版に負けていたなぁ。残念です。

「THE UPSIDE 最強のふたり」を観てきました。

ストｰリーは、

スラム街出身で職もなく、妻子にも見放されたデルは、全身麻痺で車椅子生活を送る大富豪フィリップの介護人として働くことになる。秘書のイヴォンヌをはじめフィリップの周囲の人々は、キャリアも教養もなく、お調子者のデルを雇うことに否定的だったが、周囲の反対をよそに、フィリップとデルは互いにひとりの人間として接し、充実した日々を送る。しかし、フィリップは誰にも言えない秘密を抱えており、ある日、ふたりの友情を揺るがす出来事が起こる。

というお話です。

スラム街出身で、前科があり、刑務所から出てきたデルは、職を探していた。妻と息子に見放され、職を探さなければ養育費も払えない。失業保険を貰うには、面接を受けても職に就けないという証明をしなければならず、デルは仕方なくレストランや工場などに行き、面接官にサインだけしてくれれば良いという。そして３件目に面接に行ったのが、あるマンションの清掃員の仕事だったはずなのだが、間違えて、そのマンションのペントハウスに住む大富豪フィリップの介護人の面接に行ってしまう。

３つ目のサインを貰えれば失業保険が貰えると喜んでいたデルに、フィリップは君を雇いたいと話す。はぁ？と聞き返すデルとフィリップの秘書のイヴォンヌ。そんながさつな人間に介護は無理だというイヴォンヌに、彼がイイんだと言い、今日はサインをしないから、明日までに仕事をするか考えて、もう一度来るようにとデルに話す。

次の日、やってみようかなとフィリップの所に来たデルは、提示された金額を見て、月給？と聞くと”週給”よと言われ、がぜんやる気が出たデル。やってやるという気持ちになっていたが、排泄の処理や尿管ステントなどのやり方をレクチャーされ、人の排泄補助をするなんてと怖気づいてしまう。しかし、家族に認めて貰うためにはこの仕事をやり遂げるしかない。とりあえずは出来ることから始め、失敗しながらもその仕事に慣れて行った。

フィリップは最愛の妻を亡くし、自分の身体もままならないので、気持ちが死へと向かっていた。デルなら、自分の呼吸が止まっても、蘇生措置をしないで、自分を逝かせてくれるのではないかと思って、デルを雇ったのだった。しかしデルの、何者に対しても同じように接し、腫物を扱うようにフィリップを扱わない所に惹かれていく。そして生きることが楽しくなっていくのだった。ある日、文通相手と直接会うことになり・・・。後は、映画を観てくださいね。

この映画、キャストも良いし、面白いのですが、フランス版の「最強のふたり」と、構成も進み方も全く同じなんですよ。本当にそのままを焼き直しで、少しだけ変えていたのは、デルが妻子持ちだったことと、秘書のイヴォンヌとの距離が近い事、文通相手との関係、くらいが違っていたかしら。でも、彼らの行動はフランス版とほとんど一緒でした。

そこで、音楽の問題なのですが、今回はオペラが主に流れているんです。フランス版は、オペラもあるけどアース・ウィンド＆ファイアーの”Ｓｅｐｔｅｍｂｅｒ”が流れたんですよね。あのテンポが、富豪と介護人の関係を友人に変えていくというのが、あまりにもピッタリしていて良かったのですが、今回はオペラの流れで行くので、どーも気持ちよくならないんです。二人が近づいて行く雰囲気が伝わりにくいんです。

とは言え、キャストは素晴らしくて、ブライアン・クランストンがフィリップ、ケビン・ハートがデル、イヴォンヌがニコールだったので、演技は良かったですよ。フランス版に負けず劣らず、気持ちも伝わってきて、フィリップが柔らかくなり、デルが成長して行く姿も良く描かれていました。なので、やっぱり不満は構成と音楽かな。フランス版そのままを、俳優を変えただけというのでは、ちょっと悲しいですよね。

私はこれならフランス版「最強のふたり」を観た方が良いなぁと思いました。まぁ、フランス版を知らなければ、このハリウッド版でも満足するのかもしれませんが、フランス版を観ていると、フランスならではの上品さや、障がい者への目や、貧困層の生活などが、結構、真に迫っていたんです。ハリウッド版だと、貧困だと言いながらも犯罪が多発しているという感じの場所ではなく、フェラーリが停まっていても写真を撮るくらいでした。本当のブラック街に停めたら、一瞬で無くなっているからね。（笑）

という感じなので、私は、この映画、お薦めしたいと思います。が、私のようにフランス版を観ていると、ちょっと物足りないと思うと思います。やっぱり一番の失敗は音楽かな。あの”Ｓｅｐｔｅｍｂｅｒ”の曲をバックに夜の街をフェラーリ（違うかも）で爆走して警察に捕まって、というのが最高なんですもん。ああー、また観たくなっちゃった。ＤＶＤ出さなくちゃ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。

・THE UPSIDE／最強のふたり|映画情報のぴあ映画生活

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